ISO9001キーワード  コミュニケーション | 平林良人の『つなげるツボ』

2025年3月19日
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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.501 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
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*** ISO9001キーワード  コミュニケーション ***
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今回からはISO9001箇条7.4に要求されている「コミュニケーション」について
お話をしていきたいと思います。

7.4 コミュニケーション
組織は,次の事項を含む、品質マネジメントシステムに関連する内部及び外部の
コミュニケーションを決定しなければならない。
a) コミュニケーションの内容
b) コミュニケーションの実施時期
c) コミュニケーションの対象者
d) コミュニケーションの方法
e) コミュニケーションを行う人

■■ 組織活動の基盤 ■■
コミュニケーションはいつの時代にも求められる古くて新しい課題です。人間は
一人では生きていけませんから、何らかの形で他人と協力しながら生きていかな
ければなりません。家族から学校、地域社会そして会社でとあらゆるところでコ
ミュニケーションが求められます。
ISOでも9001をはじめ、9000、そして9004規格でコミュニケーションに関する
指針、要求が規定されています。9001:2015年版では従来からの要求を一歩深め
てa)~e)までに細分化されました。
2015年版まではISOでのコミュニケーションは「朝会、会議、メール」が3大コ
ミュニケーションとして囁かれ、審査機関もマニュアルにどれかが書かれていれば
問題にしないという時代が続きました。

しかし、2015年版では要求が深くなりました。組織にはあらゆるところに解決し
なければ問題があります。問題解決には、まず何が今解決を求められている問題な
のかを明確にする必要があります。「a) コミュニケーションの内容」は問題を明確
にしていると自ずから決まると思います。

■■ 階層、業務の性格 ■■
「a) コミュニケーションの内容」には、階層、業務の性格によって次のようなも
のがあります。
1)経営層が行うコミュニケーション
  ・年度事業計画
  ・中期経営計画
  ・社内年次イベントでの方針説明 など
 「7.4 コミュニケーション」では品質マネジメントシステム(QMS)に関連する
 内部及び外部のコミュニケーションを要求しています。箇条の記述ではQMSと
 はなっていますが、EMSもOHMS、あるいはISMSも含め会社全体に関しての
 内部及び外部のコミュニケーションと考えてよいと思います。
 その意味では外部コミュニケーションとして、
  ・機関投資家への業績報告 
  ・株主総会報告
 は経営層が行うコミュニケーションには必須であると思います。以下の2)、3)に
 は外部のコミュニケーションの機会は少ないと思います。
 
2)部・課長が行うコミュニケーション
 部・課長のコミュニケーションで圧倒的に重要なものは部下とのコミュニケーシ
 ョンです。日常の業務を通じて指示、報告などの巧拙は業務結果のパフォーマン
 スに大きく影響を与えます。
 また、業務の成果に対する評価もコミュニケーションのあり方によって不満、そ
 うでもない、理解したというような結果になり、このことが次の業務へのモチベ
 ーションの多寡に繋がります。

2)監督者が行うコミュニケーション
 建設現場、工場現場におけるコミュニケーションは労働環境から大きな影響を受
 けます。暗い、うるさい、暑い、寒い、防護服・靴・マスク着用などの現場では、
 事前のコミュニケーションの他に作業中のコミュニケーションに阻害要因となる
 ものが多々あり、それらの阻害要因をクリアする工夫が大変重要です。
 例えば、建設現場で高所クレーンを扱う場合、クレーン操作者とクレーン末端の
 玉掛けをする作業者との間の通信によるコミュニケーションは事故防止の観点か
 ら、重複したコミュニケーションが必要になります。
 「b) コミュニケーションの実施時期」、「c) コミュニケーションの対象者」、
 「d) コミュニケーションの方法」、「e) コミュニケーションを行う人」について
 は次回お話をしたいと思います。