2025年4月2日
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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.503 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ISO9001キーワード コミュニケーション3 ***
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コミュニケーションの方法は言語(対面)とツール(非対面)によるものに分か
れます。今回は前者の対面によるコミュニケーションを考えていきます。最近次
のようなことがありました。都会では数分おきに電車が来ます。ちょっと待てば
いいのですが、その時の状況で電車に走り込む人が多くいます。1,2分を争う場
合に起きる危険行為です。私の目の前で起きましたが、次のような状況であった
と想像しています。
■■ 走り込み乗車する人の心理 ■■
走り込む(Yさん)人は、これから訪問する顧客とのアポイント時間に遅れそう
な状況にあります。今回の商談は3か月前に始まり、数回のメールのやり取り後
に面談させていただくことになった重要な機会です。Yさんはなんとしても今来
た電車に乗りたいと心に決めています。ところがその日は運悪くプラットホーム
が混んでいて、乗車口にたどり着くのに普段の倍の時間がかかってしまいました。
この時のYさんの心理状態は、
(1)なんとしてもこの電車に乗りたい、
(2)自分はやるべきことはやったが、普段より混んでいるために走り込むことは
危険であるが仕方ない、
というものです。少し自分をとがめる気持ちはあるものの、自分は悪くない、こ
れは予期せぬ外部要因に対する臨機応変な対応である、と言い聞かせています。
■■ 電車の車掌さんの心理 ■■
これに対して、ドア開閉に責任ある電車最後尾の車掌さんの心理は、会社規定通
りの業務執行をキチンと実施するというものです。当然のことですが、走り込み
乗車は厳禁ですし、そのようなことをする人に対しては厳格に注意すべきである
と考えています。彼/彼女には「安全走行」という絶対に譲れない責任が重くの
しかかっています。
さて、コミュニケーションの原則はたった2つのことだと申し上げました。
1.相手の言うことを聴く。
2.自分の思っていることを伝える。
上の例では、車内放送で「危険な飛び込み乗車は厳にお止めください」と車掌が
注意を喚起し、Yさんは周囲の人の目を気にしながら、バツの悪い数分を過ごす
ことになります。
Yさんには絶対にこの電車に乗るという決心があり、車掌さんには絶対に走り込
み乗車はさせないという責任があります。この2人の状況は真っ向から対立して
います。
■■ 行動のコミュニケーション ■■
上の例ではYさんの行動に問題があることは明らかですが、このような短時間な
行動においては、お互いにコミュニケーションを取る余裕などはありません。
実は日常的なコミュニケーション問題は、上の例のような瞬間的とは言いません
が、短時間な動的な状況において起きることが多いのです。
1.相手の言うことを聴く。
2.自分の思っていることを伝える。
この2つのことを守ればコミュニケーションはうまくいくと言われても、冷静に
考えられない突然訪れる場面でのコミュニケーションは、的確な対応は難しいと
おっしゃる方も多いと思います。そもそもこのような状況における行動はコミュ
ニケーションという範疇に入らないという方もいらっしゃるでしょう。しかし、
日常のコミュニケーションのためにこそ、突然訪れるいろいろな場面での行動は
大変重要です。組織では、例えばYさんの行動(走り込み乗車ではありません)
は、多様な場面で多くの人が見ています。多様な行動の観察を通じて、人はYさ
んという人の性格、特質、あり様をインプットしています。
(1)自分が思っていることは、必ずしも相手に受け入れられるとは限らない。
このことは日ごろから強く念じておくことは大変重要です。
一方で、自分の思っていることを相手に受け入れてもらうには、相手がどんな考
えでいるのかを知っておくことがポイントになります。今度は上で述べたYさん
になって他人の考えを知っておけば、自然と相手の考え方との違いを知ることが
できて、自分のことを受け入れてもらう作戦を立てやすくすることになります。