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ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-1 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.221 ■□■    
***ISO 9004:2018持続的成功を達成するための指針-1***
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今回からISO 9004 :2018「品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を
達成するための指針」についてお話をしていきたいと思います。
旧規格であるISO 9004:2009は、2018年4月に改正され2018年9月には
JIS Q 9004:2018が発行されました。
ISO 9001:2015の改正と比較して余り話題になりませんでしたが、組織が
継続して社会から信頼を得ることに関して、いろいろと役に立つガイド規格
であると思います。

■□■ 組織の品質 ■□■

この規格の名称には、”Quality of an organization”という今までにはない
英語が使われています。ISO 9001では、qualityは「製品・サービスの
品質を意味する」と言われてきましたが、ISO 9004では組織にもquality(質)
という概念があるとして組織の質を扱っています。製品以外へのqualityの
使用例としては、「quality of life 人生の質」などがあります。

人生とか組織とかは製品ではないので、“品”は取って“質”と訳すのが
よいとも思います。
昨今の製造業の品質問題の噴出にも、組織の質は大きく影響しており、
その意味でもISO 9004は品質問題の解決に一定の効用をもたらす内容で
あると思います。

■□■ ISO9001とのペア規格 ■□■

ISO 9004:2018は、ISO 9001:2015が発行された後に規格開発に着手され、
発行時期が2018年と時間が掛かりましたが、ISO 9001との整合性には留意を
しています。ただ、2000年頃までは、9001と9004はペア規格と呼ばれ、
箇条ごとに対比できる形で規格開発がすすめられましたが、それ以降は厳密に
対比できる形での作成はされなくなりました。

ISOのマネジメント規格には、Type AとType Bの2種類があります。
Type Aは要求事項が書かれている規格で現在30余あります。
Type Bは組織に推奨する位置づけで書かれたガイド規格で60~70位あります。
ISO 9004は品質マネジメントについてのガイド規格の一つです。

■□■ ISO 9004の狙い ■□■

歴史的にISO 9004という規格は何を狙いとして発行されてきたのでしょうか。
ISO 9004:2018の序文には次のように書かれています。

「JIS Q 9001:2015は,組織の製品及びサービスへ信頼を与えることに
重点を置いているが,この規格は,組織の持続的成功を達成する能力へ
信頼を与えることに重点を置いている。」

「この規格は,JIS Q 9001:2015に記載されている品質マネジメントの原則を
参照しながら,組織が,複雑で,過酷な,刻々と変化する環境の中で,
持続的成功を達成するための手引を提供している。」

旧規格ISO 9004:2009から10年経った中で、改正された規格の狙いはどこにあるのか、
について序文から読み解いてみたいと思います。

「組織の成功に影響を及ぼす要因は長年の間、断続的に出現,進展,増大又は
減少し,こうした変化への適応が持続的成功にとって重要である。
例えば効率,品質,迅速性などこれまでに検討されていたであろうものに加えて,
社会的責任,環境要因及び文化的要因が挙げられる。こうした要因をとりまとめる
ことが,組織の状況の一部となる。」

■□■ ISO 9004は品質に限定していない■□■

ここ10年、世界のいろいろな組織は、企業の社会的責任について指針、
ガイドなどを出しています。
4年前には国連からSDGsが出されています。SDGs(Sustainable Development Goals)
については、別の機会に紹介したいと思いますが、国連の主導するSDGsの
17の目標とISO規格との関連をISOは詳細に発表しています。

ISO 9004の特徴は、ISO9001が製品・サービスの品質保証、品質管理に
フォーカスしているのに対して、組織の品質経営に言及しているところに
あります。組織が持続的に成功するには、トップをはじめ管理者の学習、
リーダーシップが重要であり、トップ層のエンジンの強さが組織の改善
及び革新の達成をもたらし,持続的成功に導くとしています。
巻末には組織が自己評価するために評価事項一覧が掲載されています。
この自己評価ツールは、9004の概念をどの程度理解し、導入しているかを
レビューするために役立ちます。

■□■ ISO 9004の構造 ■□■

ISO 9004:2018規格の構造(目次)は次の通りです。

箇条1.適用範囲
この規格は,組織が持続的成功を達成する能力を高めるための手引を提供している。
この規格は, JIS Q 9000:2015で示される品質マネジメントの原則と整合している。
箇条2 引用規格
箇条3 用語及び定義
箇条4 組織の品質と持続的成功
箇条5 組織の状況
箇条6 組織のアイデンティティ(identity:個性)
箇条7 リーダーシップ
箇条8 プロセスのマネジメント
箇条9 資源のマネジメント
箇条10 組織のパフォーマンスの分析及び評価
箇条11 改善、学習及び革新
附属書A 自己評価ツール

統合化―ISO 9001-5 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.220 ■□■    
*** 統合化―ISO 9001-5 ***
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今回の「統合化」テーマは、ISO 9001:2015箇条5.1c)で要求されている
「組織の事業プロセスにQMS要求事項を統合する」に関して話を進めていますが、
「統合化」あるいは「統合」は、他の意味でも使われていますので整理が必要です。

■□■ 文書の統合 ■□■

1996年に、ISO 9001に続く2番目のマネジメントシステム規格ISO 14001(環境)が
発行されると、ISO 9001:1994とISO 14001:1996の文書を統合するという議論が
起きました。
今になっては共通テキスト(附属書SL)が制定されたので必要なくなりましたが、
当時はISO 9001とISO 14001の類似な要求事項に対する組織の文書は統合すべきで
あるという、議論というか、検討というか、いろいろな場面(コンサルティングの
場面など)で推奨がされました。

例えば、内部監査、マネジメントレビューなどの要求事項は、ISO 9001:1994と
ISO 14001:1996の両規格においては、語句が少し異なる、文章の順序が後先する
などの小さな違いはあるものの、要求事項の意図は同じであるので、それらに
対応する組織の文書は統合することがよい、という状況において「統合」という
言葉が使用されました。

■□■ マネジメントシステムの統合 ■□■

文書の次に「統合」という言葉が使われたのは、組織のマネジメントシステムの統合でした。
これは自然の流れであって、標準文書が統合されれば、当然実施、活動も統合されて
行われるのがよい、という理屈になりました。
しかし、組織によってはISO 9001:1994とISO 14001:1996を取り扱う部署が異なる、
例えばISO 9001:1994は品質保証部、ISO 14001:1996は総務部であるので、統合した
活動はできない、という話も当時よく聞きました。

■□■ 認証審査の統合 ■□■

ISO 9001が2000年に改正され、ISO 14001:1996と同じようにマネジメントシステムを
扱う性質の規格になると、認証の世界で統合審査の制度がつくられました。
ISO 9001:2000とISO 14001:1996を同時に審査すると、認証費用が7割くらいに
なるということで、世界でISO 9001:1994とISO 14001:1996の統合の審査が一気に
加速しました。

ISO/IEC 27001には、「統合審査」について次のように説明されています。

・3.4 認証審査(certification audit)
   依頼者及び認証に依存する関係者から独立した審査機関によって,依頼者の
マネジメントシステムを認 証する目的で実施される審査。
注記 1 この規格では,“審査”という用語は,認証審査を簡略化したものとして用いている。
注記 2 認証審査は,初回審査,サーベイランス審査及び再認証審査を含み,
    また,特別審査を含む こともある。
注記 3 認証審査は,マネジメントシステム規格の要求事項への適合について
認証を行う機関の審査 チームが実施するのが一般的である。
注記 4 合同審査とは,二つ以上の審査機関が共同で単一の依頼者の審査に当たる場合をいう。
注記 5 複合審査とは,同時に二つ以上のマネジメントシステム規格の要求事項に関して,
依頼者を 審査する場合をいう。
注記 6 「統合審査」とは,二つ以上のマネジメントシステム規格の要求事項を単一の
マネジメントシステムに統合して適用した依頼者を,二つ以上の規格に関して審査する
場合をいう。

■□■ 組織の事業プロセスに統合 ■□■

歴史的に「統合」という語句の意味するところが、3種類あるという説明をして
きましたが、今までの3種類と密接な関係がありますが、ISO 9001:2015年版では
4つ目の意味を持つ「統合」という語句が使用されています。
ISO 9001:2015における4つ目の「統合」は、前回までに述べてきた
「組織の事業プロセスに統合」という意味において「統合」という言葉が使用されています。
従来には無かった「事業プロセス」という概念の理解が、この4つ目の統合の理解には
必須であることを分っていただけると思います。

統合化―ISO 9001-4 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.219 ■□■    
*** 統合化―ISO 9001-4 ***
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組織で人々が意識していることは、自分の属している係、課、部などの
動きでしょう。
前回のつなげるツボは、プロセスと部門の違いについて説明をしましたが、
組織内でプロセスを意識する場面は日頃あまりないと思います。
プロセスを意識せざるを得ない典型的な場面は、顧客からクレームを受けた時
でしょう。

■□■ 事業プロセスへの統合 ■□■

このテーマ「統合化」は、ISO 9001:2015箇条5.1c)で要求されている
「組織の事業プロセスにQMS要求事項を統合する」ということに関してです。
ISO 9001:2015の要求事項は規格を読めば明確ですが、統合する相手の
「組織の事業プロセス」は、組織によっては明確であるようで明確でない場合が
多いようです。

■□■ 組織のプロセス ■□■

前回は、組織のプロセスを次のように考えてみました。

a)(市場)調査
b) 注文・契約(B to B)、商品企画(B to C)
c) 設計
d) 調達
e) 準備
f) 実現(製造、サービス提供)
g) 検査
h) 出荷、引渡し
i) アフターサービス

■□■ 組織の3つの分野 ■□■

上のa)調査~i)アフターサービスは、実は事業プロセスの一部ではありますが、
総てではありません。
組織には3つの分野にそれぞれプロセスがあります。3つの分野とは;

1.主要分野
2.支援分野
3.経営分野

です。
既に述べた、「1.主要分野のプロセスを運用する部門」は一般に
次のようなものだと思います。

a)営業部
b)企画部
c)設計部
d)購買部
e)技術部
f)製造部・サービス部
g)品証部
h)輸送部
i)営業部

■□■ 支援分野のプロセスと部門 ■□■

では、「2.支援分野のプロセスと部門」はどんなものになるでしょうか。
これも一般的に述べますと次のようになります。

a)人材採用プロセス
b)人材配置 〃
c)組織図管理 〃
d)人材評価 〃
e)教育訓練 〃
f)労務管理 〃
g)福利厚生 〃
h)安全管理 〃
i)環境管理 〃
j)内部監査 〃
k)顧客管理 〃
l)経理、財務 〃
m)建物、設備管理 〃
n)IT管理 〃
o)輸送管理 〃
p)地域社会コミュニケーション 〃

などです。
これらのプロセスを担当する部門は、人事、総務、経理、企画、
品証、施設、IT室、ロジステック部門などになると思います。
これらの部門は、まとめて本社部門、管理部門、オーバーヘッド、
コストセンターなどと呼ばれ、できるだけ小さい本社になるように
組織作りが行われます。
これらのプロセスとQMS(ISO 9001:2015)との関係は、箇条7が
該当します。
プロセスによってはQMSと関係ないものも出てくるでしょう。

■□■ 経営分野のプロセスと部門 ■□■

「3.経営分野のプロセスと部門」はどんなものになるでしょうか。
これも一般的に述べますと次のようになります。

a)ビジョン、ミッションの作定とフォローのプロセス
b)中期経営計画作成とフォロー 〃
c)事業計画作成とフォロー 〃
d)組織構造の決定と組織変更 〃
e)企業統治 〃
f)開発センター(機能)管理 〃
g)株主管理 〃
h)IR:Investor Relations(投資家向け広報) 〃
i)CSR(企業社会責任) 〃

などです。
担当部門は、経営者、役員になります(部門という表現はおかしいかも
しれませんがご了承ください)が、ISO 9001:2015との関係は
箇条4、5、6、9、10あたりになると思います。

統合化―ISO 9001-3 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.218 ■□■    
*** 統合化―ISO9001-3 ***
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前回は、プロセスと部門の違いについて説明をしましたが、ご理解いただけた
でしょうか。
私の一日の生活に例えて、プロセスと部門の説明をしたつもりですが、企業に
おいても同じ事がいえるのではないかというのが私の思うところです。

■□■ 企業のプロセスの目的 ■□■

では企業のプロセスとは、の説明に入りますが、前回の私の活動と関係づけながら
話を進めたいと思います。まず事業プロセスは何のためにあるのでしょうか、
あるいは何のために一連の活動をするのでしょうか。私の活動は「家族のため」に
行うと明確にしましたが、組織の事業プロセスは「製品・サービスを購入して
いただくお客様に満足していただくため」に活動している、と言って良いと
思います。

次に前回述べたa)~k)の活動に対応するものは、企業においてどのようなものに
なるのでしょうか。

■□■ 企業のプロセス ■□■

前回のa)~k)のように、企業のプロセスの目的を考えながら一連の活動を
書いてみます。

a)(市場)調査
b)注文・契約(B to B)、商品企画(B to C)
c)設計
d)調達
e)準備
f)実現(製造、サービス提供)
g)検査
h)出荷、引渡し
i)アフターサービス

■□■ 企業の部門 ■□■

次に企業の部門を考えてみます。企業にはそれぞれ独特の組織名称がありますので、
個別の部門名よりもそこで行われる活動の内容に焦点を当てていただければ幸いです。

a)営業部門
b)企画部門
c)設計部門
d)購買部門、
e)技術部門
f)製造部門、サービス提供部門
g)品証部門
h)輸送部門
i)営業部門

これらの部門の専門性(効率性、効果性を達成するための言動)はどのような
ものでしょうか。

■□■ 部門の専門性 ■□■

ここでいうプロセスは、「お客様の満足を向上させるために行う一連の活動」ですが、
そう見えるのは製品・サービスを購入する顧客の目から見てそう言えるのであって、
個々の活動のリーダー(主導者、責任者、プロセスオーナー)には、そのように
見えなく、異なる姿が見えることになります。

それぞれのリーダーに見える姿とは、自分自身が責任を持つ機能の効率性、効果性です。

a)の営業部長が興味を持つ機能の効率性、効果性は、たぶん「多くの優良顧客からの注文」
でしょう。
b)の企画部長が興味を持つ機能の効率性、効果性は、たぶん「市場で優位に立てる製品
・サービスプロジェクト」でしょう。
c)の設計部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「設計ミスのない納期確保の出図」
でしょう。
d)の購買部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「QCD(注1)を満足した材料、
部品、設備の入手」でしょう。
e)の技術部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「設備設置、加工図面などの
生産準備の完了」でしょう。
f) の製造部長・サービス部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「工程内で
保証する活動」でしょう。
g)の品証部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「出荷検査で見逃さないこと」
でしょう。
h)の輸送部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「交通事故のない納期通り
の納入」でしょう。
i)の営業部長が興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん「顧客の信頼性確保」でしょう。

このように部門長の見る組織の姿(指示命令の縦の流れ)とお客様が見るプロセスの姿
(部門を横断する横の流れ)は、お互いに密接に関係していますが、本質は異なるものです。

注1;QCDとは「品質(Quality)」、「コスト(Cost)」、「納期(Delivery)」の頭文字

統合化―ISO 9001-2 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.217 ■□■    
*** 統合化―ISO9001-2 ***
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さて、前回からISO 9001箇条5.1c)「組織の事業プロセスへの
品質マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする」の
「事業プロセス」について説明を始めました。
会社には創業以来つくられてきた固有な風土、伝統などがあります。
それらの風土、伝統すなわち歴史を背負った組織に固有な「やり方」で
業務が進められています。
どんな組織にも、このようにして決められた業務のやり方があります。

■□■ プロセスと部門は違う? ■□■

ISO 9001が要求しているQMS(品質マネジメントシステム)の
統合に関して、箇条5.1c)における、「事業プロセス」とは何で
しょうか?

「事業プロセス」とは、上のセクションで述べたように、企業の
既存の仕事のやり方といってよく、実は組織においては明確に
されています。
「いえ、わが社では事業プロセスは明確になっていない」とおっしゃる
企業の方もいられるかと思いますが、それは他者には見えていないだけで、
現場においては日常行うべきことが明確になっています。

ここで注意しなければならないことは、「プロセスと部門の違い」です。
ISO 9001には「部門」は出てきません。出てくるのはすべて「プロセス」です。
ISO 9001では「事業プロセスに統合しなさい」といっておりますが、
現実の企業の人たちに分かり易いのは、「部門に統合しなさい」という
要求だと思います。

■□■ プロセスと部門はどう違うのか-1 ■□■

これはなかなか骨の折れる説明になります。なぜならば、我々は
日常の業務で「プロセスという概念」をあまり使っていないからです。

上手くできるか分かりませんが、一日の生活を用いて説明してみます。
以下は私の標準的な一日のプロセス(一連の活動)です。

a. 6:00 起床
b. 7:00 朝食
c. 8:00 出社
d. 9:00 始業
e. 10:00 会議
f. 12:00 昼食
g. 13:00 講義
h. 17:00 終業
i. 17:30 退社
j. 19:00 夕食
k. 22:00 就寝

このプロセスは総て「顧客満足のため」に行われています。
ここでいう顧客とは私の家族です。

■□■ プロセスと部門はどう違うのか-2 ■□■

では、上の「プロセス」に対して「部門」に当たるものは何でしょうか。
a~kのプロセス(一連の活動)を効率的、効果的に行おうとすると
部門の概念が出てきます。私は無人島で活動するのでなく、多くの人と
いろいろな関係をもって活動を行っています。

私個人の活動は、a、c、f、i、kの5つで、残りの活動はそれぞれの
リーダー(主導者、責任者、プロセスオーナー)の元で行うことが
効率的、効果的です。
では誰がリーダー(主導者、責任者、プロセスオーナー)になるべきでしょうか。
b は私の家内、d は会社の朝会当番、e は会議の主催者、
gは講義の企画者、h は会社の終業当番、j は私の家内、といった具合です。

■□■ プロセスと部門はどう違うのか-3 ■□■

私の一日の生活に例えると、プロセスとは「家族のために規則正しく
健康に留意して懸命に働く一連の活動」です。
ここでいう、一連の活動とは、(顧客である)家族の目から見てそう
言えるのであって、個々の活動のリーダー(主導者、責任者、プロセスオーナー)
には、そのように見えなく、異なる姿が見えることになります。

それぞれのリーダーに見える姿とは、自分自身が責任を持つ機能の効率性、
効果性です。b、jのリーダーが興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん
「バランスの取れた栄養素とカロリー」でしょう。
d、hのリーダーが興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん
「短いが気の利いたショートスピーチ」でしょう。
eのリーダーが興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん
「会議の目的に沿った結論」でしょう。
gのリーダーが興味を持つ機能の効率性、効果性はたぶん
「受講者の満足度」でしょう。