Author Archives: 良人平林

システムは繋がっている3 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.121 ■□■
*** システムは繋がっている3 ***
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■□■ 繋がっている他の要求事項 ■□■

ISO9001:2015 には11か所に「(組織の)能力」という用語が出てき
ます。

前回につづき「組織の能力」について、具体的なものに置き換える
話をしたいと思います。

■□■ 箇条7.1.1a) 実現能力 ■□■

7.1.1a)には組織の能力ではなく、実現能力として出てきます。「既
存の内部資源の実現能力及び制約」を考慮して、QMSの効果的
な実施、及びプロセスの運用及び管理に必要な人々を明確にし、
提供しなければならない、と要求されています。

ここでいう実現能力を一般用語として見逃してはなりません。現実
の世界に置き替えましょう。テクノファの例でいうならば、実現能力
とは「審査員研修コース5日間をJRCA基準に基づき受講者の方を
満足させて終了させる」能力を意味します。

テクノファの場合、内部資源にこの実現能力は充分にありません
。当社の審査員研修コースの種類、実施回数を考慮すると30人く
らいの講師が必要となりますが、内部資源では制約があり、現在
実現能力としては2,3人しかいなく、他は外部資源に頼っています

■□■ 箇条8.2.3.1(要求事項を満たす)能力 ■□■

8.2.3.1には、顧客に提供する製品及びサービスに関する要求事項
を満たす能力をもつことが要求されています。

具体的なものに置き換えてみましょう。テクノファの場合、”顧客に
提供する製品及びサービスに関する要求事項を満たす能力”に
は、次のものがあります。

 ・講師の理解しやすい講義力
 ・教材編集力
 ・便利で明るく清潔な研修室
 ・スピードの速いCP、IT機器
 ・明るいプロジェクタ、など

■□■ 8.3.4b)(要求事項を満たす)能力 ■□■

8.3.4 には、設計・開発を行う管理の一つに、要求事項を満たす能
力を評価するレビューを行う、という要求があります。

テクノファで新しい研修コースを設計した場合、前の項で述べた能
力が充分にあるかを確認しなければなりません。

 ・講師の理解しやすい講義力
 ・教材編集力
 ・便利で明るく清潔な研修室
 ・スピードの速いCP、IT機器
 ・明るいプロジェクタ、など

■□■ 8.4.1c)(外部提供者の)能力 ■□■

8.4.1 には、組織が外部のプロセス,製品及びサービスを活用する
場合,プロセス又は製品・サービスを提供する外部提供者の能力
に基づいて,外部提供者の評価,選択,パフォーマンスの監視,
及び再評価を行うための基準を決定し,適用しなければならない
、と要求しています。

テクノファでは最重要能力である講師の能力を評価する基準を作
成し、コース実施ごと毎回パフォーマンスの監視,及び再評価を
行っています。

■□■ 8.4.2組織の能力  ■□■

8.4.2 には、外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが組
織の能力に悪影響を及ぼさないことを確実にしなければならない
、と要求しています。

ここでいう組織の能力は、テクノファの例で言えば代表的なものと
して講師の能力になるでしょう。

そして、8.4.2c)1)には、外部から提供されるプロセス,製品及びサ
ービスが,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を一
貫して満たす組織の能力に与える潜在的な影響を考慮に入れて
、外部提供者の管理をしなければならない、と要求されて
います。

■□■ 8.5.1f)(組織の)能力    ■□■

8.5.1 の製造及びサービス提供の管理については、そのf)に
管理された状態で実行しなければならない項目として次にものが
指定されています。

「f) 製造及びサービス提供のプロセスで結果として生じるアウトプ
ットを,それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な場合
には,製造及びサービス提供に関するプロセスの,計画した結果
を達成する能力について,妥当性確認を行い,定期的に妥当性を
再確認する。」

テクノファの例でいうと講師の講義はまさしくそれ以降の監視又は
測定で検証することが不可能な場合であり、計画した結果を達成
する能力すなわち講師の力量を妥当性確認しなければなりませ
ん。

システムは繋がっている2 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.120 ■□■   
*** システムは繋がっている2 ***
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■□■ 繋がっている他の要求事項 ■□■

「組織の目的」、「意図した結果」以外にも繋がっている要求事項
があります。

それは「組織の能力」です。ISO9001:2015 には11か所に「組織
の能力」という用語が出てきます。

今回は「組織の能力」について話をしたいと思います。

■□■ 組織の能力の初出 ■□■

「組織の能力」はISO9001:2015箇条4.1に初めて出てきます。従
来の9001のバージョンには無かった用語として重要視すべき用
語です。

「4.1 組織及びその状況の理解

組織は,組織の目的及び戦略的な方向性に関連し,かつ,その
品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能
力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければな
らない。」

ここで問われていることは「組織の能力」を一般的な言葉として
ではなく、組織に特有な言葉として捉えることです。

自分の会社(組織)にはどのような能力が必要であり、存在して
いるのかを明確にすることです。組織の製品の質を管理、保証
するには、それなりの能力が要求されるはずですが、それは組
織の事業、人、設備、材料、規模などによって異なります。

例えば、組織の製品・サービスによって次のように異なったもの
が考えられます。

 ・溶接を実現する能力(人、設備、材料など)
 ・光学技術を応用する能力(理論、設計、要素など)
 ・運搬を安全に実施する能力(運転技能、設備など)
 ・クリーンな環境を保持する能力(設備、人など)
 ・冷凍室を管理する能力(設備、管理、人)
 ・雰囲気をよくする能力(音楽、緑化植物、接遇、人)

このように製品ごと、例に見るように、重工業、運搬サービス、半
導体製造業、食品製造業、レストランなど異なる産業において、
異なる能力が求められています。

当然ですが、求められる能力にはそれぞれの特徴があるはず
です。

■□■ 箇条4.2組織の能力 ■□■

箇条4.2 「利害関係者のニーズ及び期待の理解」にもさっそく
「組織の能力」が出てきます。

「次の事項は,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事
項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する組織の能力
に影響又は潜在的影響を与えるため,組織は,これらを明確に
しなければならない。」

ここで言う「組織の能力」は箇条4.1で具体的に明確にした能力と
同一なものです。

ここで異なる内容の能力が出てくることはありません。

■□■ 箇条4.3組織の能力 ■□■

箇条4.3 「品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」には最
後の段落に出てきます。

「組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるために,
その境界及び適用可能性を決定しなければならない。

(中略)

適用不可能なことを決定した要求事項が,組織の製品及びサ
ービスの適合並びに顧客満足の向上を確実にする組織の能力
又は責任に影響を及ぼさない場合に限り,この規格への適合を
表明してよい。」

ここでいう能力は箇条4.1で具体的に明確にした能力と同一なも
のです。

■□■ 箇条5.1.2(組織の)能力  ■□■

箇条5.1.2 「顧客重視」にはb)に中に「向上させる能力」として出
てきます。

「トップマネジメントは,次の事項を確実にすることによって,顧
客重視に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなけれ
ばならない。

a) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を明確に
し,理解し,一貫してそれを満たしている。

b) 製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力
に影響を与え得る,リスク及び機会を決定し,取り組んでいる。

c) 顧客満足向上の重視が維持されている。」

ここにおける能力は、向上させる能力ですから、今までの能力と
は異なるものが追加されるかもしれません。

しかし、箇条4.1で要求されている組織の能力は「品質マネジメン
トシステムの意図した結果」を達成する能力ですから、「b) 製品
及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力」はほぼ
同じ能力でしょう。

システムは繋がっている | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.119■□■
*** システムは繋がっている ***
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■□■ システムの定義 ■□■

システムは「相互に関連する又は相互に作用する要素の集まり」
(ISO9000:2015箇条3.5.1)であり、お互いに繋がっています。

■□■ システムは日本語では系? ■□■

システムという言葉は、抽象度の高い一般的な概念であるため、
用いられる文脈に応じていろいろな日本語を当てることができ
ます。しかし、本質概念が西欧のものであるためピッタリと当て
はまる言葉がなく、翻訳においてはシステムというカタカタが
採用されました。

カタカナでない日本語を考えると、最初に上げられるのは「系」
であろうと思います。その他、仕組み、体系、制度、方式、機構
などのいろいろな言葉を当てることができます。

我々は、よく「有機的に繋がっている」と言いますが、システムの
本質をよく表した言葉であると思います。

■□■ 自然システムと人工システムの違い ■□■

有機的に繋がっている、という言い方から連想されるものは我々
人間の体とか植物などの生命体でしょう。

有機とは、一般に炭素Cを含む化合物をいいますが(一酸化炭
素,二酸化炭素や炭酸カルシウムなどの簡単な炭素化合物は
無機物に分類される)、この生命体の特徴は何と言ってもすべ
ての要素が繋がっていることです。それに対して人工的に作っ
たシステムは十分に繋がっていないことが多いようです。

■□■人工のシステムは切れている?■□■

我々は、日常生活の多くの場面で「システム」という用語を使っ
ています。例えば、コンピュータシステム、教育訓練システム、
交通安全システム、そしてマネジメントシステムなどです。

我々はこれらの人工的なシステムが時々設計された通りに機
能しないことを経験的に知っています。それは多くの場合、要素
が十分に繋がっていないことから発生しています。システムを
構築している要素が切れることからいろいろな問題が発生して
います。

■□■マネジメントシステムの要素■□■

我々のマネジメントシステムにはどのような要素があるでしょう
か。

まず「人」が上げられますが、次には情報、知識、IT、機械、設
備、材料、土地、建物、お金、そして顧客、請負者、外注、競争
者、行政、法律、規格など、組織で事業活動を行うに必要なも
のはすべて要素と考えられます。 

これらの要素が繋がっていることがシステムの効果的な運用に
不可欠なことです。

■□■ISO要求事項も繋がっている■□■

ISO規格の要求事項も繋がっています。規格の意図を適切に把
握するには、要求事項のいろいろな繋がりを考えなければなり
ません。

ISO9001:2015規格を例にすると、次のような繋がりを見ることが
できます。

箇条4.1 組織の目的 →5.2.1a) 組織の目的

箇条4.1 意図した結果 →4.4.1g) 意図した結果 →5.1.1g) 意図
した結果 →6.1.1a) 意図した結果 

箇条4.1 組織の能力 →4.2組織の能力 →4.3組織の能力 →
5.1.2(組織の)能力 →7.1.1a)(組織の)能力 →8.2.3.1(組織の)
能力 →8.3.4b)(組織の)能力 →8.4.1c)(組織の)能力 →8.5.1f)
(組織の)能力 →8.4.2組織の能力 →8.4.2c)1)組織の能力

■□■ 箇条4.1 「組織の目的」 ■□■

箇条4.1に記述されている「組織の目的」と箇条5.2.1a)に記述さ
れている「組織の目的」は同じものです。「組織の目的」は、一般
には定款に書かれていますが、組織が公表している理念、ミッ
ション、ビジョンなどにも示されています。その意味で「組織の目
的」は、組織ごとに異なるものです。

●4.1 組織及びその状況の理解

組織は,組織の目的及び戦略的な方向性に関連し,かつ,その
品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能
力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければな
らない。

●5.2.1 品質方針の確立

トップマネジメントは,次の事項を満たす品質方針を確立し,実
施し,維持しなければならない。

a) 組織の目的及び状況に対して適切であり,組織の戦略的な
方向性を支援する。

ここで重要なことは、組織の目的を自分たちの会社(組織)の具
体的な目的に書き上げてみることです。

■□■ 箇条4.1 「意図した結果」 ■□■

箇条4.1に記述されている「意図した結果」は2か所の「意図した
結果」と繋がっています。一つは、5.1.1g)に記述されている「意
図した結果」です。

二つ目は、6.1.1a)に記述されている「意図した結果」です。
「意図した結果」は組織ごとに考えなければならないものです。

●4.1 組織及びその状況の理解

組織は,組織の目的及び戦略的な方向性に関連し,かつ,その
品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能
力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければな
らない。

●5.1.1 一般

トップマネジメントは,次に示す事項によって,品質マネジメント
システムに関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなけ
ればならない。

g) 品質マネジメントシステムがその意図した結果を達成するこ
とを確実にする。

●6.1 リスク及び機会への取組み

6.1.1 品質マネジメントシステムの計画を策定するとき,組織は,
4.1 に規定する課題及び4.2 に規定する要求事項を考慮し,次
の事項のために取り組む必要があるリスク及び機会を決定しな
ければならない。

a) 品質マネジメントシステムが,その意図した結果を達成でき
るという確信を与える。

ここでも重要なことは、意図した結果を自分たち会社(組織)の
具体的な意図した結果に書き上げてみることです。

人生はプロセスである | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.118 ■□■
*** 人生はプロセスである ***
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■□■ 初めと終わりがある ■□■

これはプロセスとは何かを考えたときの一つのメタファである。こ
んなイメージを持つのは年を取ったということであろうか。

まず、プロセスには初めと終わりがあるが、人生にも、当たり前
であるが、初めと終わりがある。
人生は生で始まり、死で終わるただ、プロセスは目標も持って設
計され、意図する結果がアウトプットされなければならない。

アウトプットされる目標が明確に設定されてはじめてプロセス全
体が意味を持つ。プロセスの目標が明確でない、何のために活
動しているのか分からないようだったら、そのプロセスは中止す
るか、変更しなければならない。

■□■ 人生はなんとなく始まる ■□■

それに対して、我々の生は我々の意図には関係なく始まる、す
なわち気が付いたらこの世の中に存在している。

旧約聖書には、最初神は天地を創造し、「光あれ」と言われ
土から人(アダム)を作り、あばら骨の一部からエバを作った
と書かれている。また終わりも目標に関係なくある時突然くる。
それでも、「人生はプロセスである」と言いたい。なぜなら、我々
の人生は、意図しない初めと終わりの中に意図する初めと終わ
りがあると思うからである。

小学校に入学する、卒業する。中学校に入学する、卒業する。
高校に入学する、卒業する。大学に入学する、卒業する。このあ
たりになってくると道は分かれて大学に入学せずに就職する人
も現れてくる。大学を卒業して就職する人もいる。

この辺からますます道は分かれる。就職してもすぐ離職する人、
再就職する人もいる。結婚する人もいれば離婚する人もいる。
子供の生まれる人もいれば死ぬ人もでてくる。

■□■ 計画どおりにいかない人生 ■□■

プロセスは期待するものがアウトプットとして得られなければな
らない。そのため、プロセスを設計する時には何を得たいのか、
まず考えなければならない。

次にそのアウトプットを得るためにはどんなことをしなければな
らないのかを考える。

この思考の連続によって、プロセスを構成する一連の活動がデ
ザインされてくる。その結果、最初に何が必要なのかも決まって
くる。

一方、人生はこのようにはいかない。
計画的にことを進めたいと思っても偶発的なことが多すぎる。

自分ではコントロールできない環境変化がある。そもそも感情を
持つ人間は1週間たつと得たいものが変わってくる。得たいもの
が変われば活動も変わらなければならないが、一度そのプロセ
スに乗ってしまうとそれを変えることも難しい。

変えたいと思っても簡単には変えられない理由も多い。それが
人生である。

■□■ 思ったことは実現する ■□■

しかし、それでも「人生はプロセスである」と言いたい。

学校に入る時、将来何をしたいのか考えるであろう。漠然と考え
る人、明確に考える人、詳細にステップまで考える人、人さまざ
まであろう。100人いれば100通りの考えがあるが、すべての考
えに実は活動が伴うのがプロセスのコアである。

漠然と考える人は漠然とした活動をイメージする、明確に考える
人は明確な活動をイメージする、詳細に考える人は詳細なスケ
ジュール化された活動を考えるであろう。

この活動を考えることがプロセスのコアであるというのは、時間
の経過だけからは期待されるものは生み出せないからである。

我々は心で思ったことは現実の世界で具現化することを経験的
に知っている。どの程度具現化するかは別にして、心で思わな
ければ何も起こらないことを知っている。

ただ、この心で思ったこと、すなわち考えたことを展開する、進
化させる、実行する、実践するなどいろいろな言い方はあるが、
一歩踏み出すのが活動である。

■□■ 人生のアウトプット ■□■

プロセスの定義は「・・・一連の活動がある」としているが、プロセ
スの一連の活動の最後の活動からのアウトプットが目標として
いた得たいものであろう。最後の活動からのアウトプットがプロ
セスの目標と一致していることがまずは重要なことである。

そして、この最後の活動には何らかのインプットがあるはずであ
るが、このインプットはその前の活動のアウトプットであることが
ポイントになる。そのひとつ前の活動にはインプットがあるが、こ
れはもうひとつ前の活動のアウトプットである。

このように、最終の活動のアウトプットがプロセスの目標と一致
していることを前提として、活動ごとのインプット、アウトプットを
明確にしていくことがプロセスアプローチ設計のポイントである。

■□■ アウトプットをイメージする ■□■

学校に入る時、将来何になろうか考えたら、最後の活動をイメー
ジする。

例えば、国家資格を取得するというようなことである。
この国家資格を取得するという活動のインプットは何であろうか
と考えると受験資格などが考えられてくる。

ではこの受験資格を取得するというひとつ前の活動のアウトプッ
トは受験資格獲得であり、その活動のインプットは専門知識の
習得、あるいは経験の取得、人生経験の蓄積など国家資格の
持つ専門性からいろいろなものになるであろう。このようにして、
一番最後の活動から前の活動へとインプット、アウトプットをつ
なげて思考していくと、最終的に最初の活動を考えるところにくる
が、そこで最初のインプットが、すなわちどこを志望校にするのか
が決まってくる。

■□■ プロセスアプローチはやり易い ■□■

組織におけるプロセスアプローチは、活動する環境条件を固定
させることができるので、この設計はやり易い。しかし、人生にお
いては学校を選ぶばかりでなく、会社を選ぶ、伴侶を選ぶ、住ま
いを選ぶ、仕事を選ぶ、旅先を選ぶ、車を選ぶ、遊びを選ぶ
などあらゆる選択に不確定要素が付きまとう。決して、組織がプ
ロセスを設計するように、人は人生を設計できない。

しかし、ISOの主張するプロセスアプローチの概念の中には人生
のノーハウとして応用するものが濃厚に入っていると思う。

製品及びサービス | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.117 ■□■
*** 製品及びサービス ***
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■□■ 製品とサービスの違いは? ■□■

ISO9001:2015規格では、従来「製品」と表記していたものをすべ
て「製品及びサービス」に変えました。これはサービス業への配
慮であると言われています。

ISO9000:2015規格にはこの2つの用語の定義が次のように書か
れています。

●製品の定義:組織(3.2.1)と顧客(3.2.4)との間の処理・行為な
しに生み出され得る,組織のアウトプット(3.7.5)。

●サービスの定義:組織(3.2.1)と顧客(3.2.4)との間で必ず実行
される,少なくとも一つの活動を伴う組織のアウトプット(3.7.5)。

■□■ 定義の意味するところ ■□■

皆さん、2つの定義の違いを理解できるでしょうか?私は最初に
接したとき、定義が何を言いたいのか直ぐには分かりませんでした。

製品の定義とサービスの定義の違いは、定義の記述の真ん中
にあります。定義の書き出しは両方とも「組織(3.2.1)と顧客(3.2.
4)との間」となっていて同じです。

定義の終わりも両方とも「組織のアウトプット(3.7.5)」となってお
り同じです。

2つの定義の違いは、真ん中の(●製品)「・・・の処理・行為なし
に生み出され得る,」と(●サービス)「・・・で必ず実行される,少
なくとも一つの活動を伴う」に見出すことができます。

■□■ 処理・行為なしに生み出され得る ■□■

製品の定義の真ん中には「・・・の処理・行為なしに生み出され
得る,」とありますが、製造する過程においては定義が言うように
顧客との間での処理・行為は原則ありません。

組織は製品スペックを決めるときには顧客と接触をしますが、一
度スペックが決まれば、それ以降は如何にスペックどおりに製
品を組織が実現するかの段階になり、顧客との間に
は原則、処理・行為は存在しません。

■□■必ず実行される,少なくとも一つの活動を伴う■□■

サービスの定義の真ん中には「・・・で必ず実行される,少なくと
も一つの活動を伴う」とありますが、サービスは顧客との間で直
接の活動が存在する、と定義をしています。

これは、組織がサービスというプロセス(少なくとも一つの活動)
を実行すると即顧客に納入されることを意味しています。

例えば、私がISO規格の解説をするというサービスを実行すると
即受講生の方に納入されますが、これがサービスの本質である
ということです。

したがって、サービスのプロセス実施においては、失敗は許され
ません。
サービスは在庫を持てませんし、事前の検査もできません。

失敗すると謝るしかありません。場合によっては賠償を要求され
るかもしれません。
ですから、サービスは必ず妥当性確認をしておくことが要求され
るのです。

■□■サービスとサービス業は違う■□■

ここで、サービスとサービス業は違うということを明確にしておか
なければならないと思います。

サービス業にも製品はあります。逆に製造業にもサービスはあ
ります。

サービス業はサービスが提供価値の中心を占めています。製
造業は製品が提供価値の中心を占めていますことから両者の
特徴が生まれます。

■□■ 箇条4.3製品及びサービスを考慮する ■□■

箇条4.3には、組織はQMSの適用範囲を決める際には、組織の
製品及びサービスを考慮しなければならないと規定されています。

製造業は製品、サービス業はサービスを適用範囲にすることが
多いでしょうが、場合によっては両者を対象にすることもありえ
ます。

適用範囲に製品及びサービスの両者を含むとすると、当然8.3
製品及びサービスの設計・開発の対象も両者ということになるで
しょう。