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ISOマネジメントシステム規格情報 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.51 ■□■ 

*** ISOマネジメントシステム規格情報 ***

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ISO(国際標準化機構)では活発に新しい規格の発行を行っていますが、
今回は読者に関係が深いと思われるISOマネジメントシステム規格の
最新情報をお届けします。

規格発行状況の羅列で砂を噛むようなメルマガですが、ご勘弁ください。

こんなに多くのISOマネジメントシステム規格が存在するということを認識していた
だければ幸いです。

下記をお読みいただく前に恐縮ですが

     「テクノファフォーラム 大阪開催」無料のご案内です。
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・4月25日(水) 於:エルおおさか(大阪府立労働センター)

・9:30~13:00(午前の部)、14:00~17:30(午後の部※ほぼ満席です)

  1. 平林良人 「ISO9000ファミリー改正動向」

  2. 福丸典芳氏 「9001の本質と内部監査の成熟度モデル」

  3. 吉田敬史氏 「環境ISO国際交渉と国内動向の最新情報」

   お申し込みは http://www.technofer.co.jp/convini/forum2012osaka.html

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それでは本題ですが、

■□■ TC176品質管理及び品質保証関係 ■□■ 

① ISO9000は2005年以来更新されていません。2009年のTC176東京総会で予備的作業に入りましたが、その後進展がなく、2011年の北京総会で改正のためのNWIP(New Work ItemProposal)が作成された 段階です。

② ISO9001は、2012年3月15日の国際定期見直し投票結果により改正することが決定されました。日本規格協会では2012年2月に東京大学でISO9001次期規格WSを開催し、今後の国際会議に備えて国内体制の整備に入っています。

③ ISO9004は2009年に改正され、2010年にはJIS9004が制定されました。
組織が品質マネジメントアプローチによって持続的成功を達成するためのガイド規格です。

④ ISO10001(行動規範) 2007年に国際規格が発行され、2010年にはJIS規格が発行されました。組織が提供する製品に対して顧客満足を得るための、顧客に対する組織の規範事項についてのガイド規格です。

⑤ ISO10002(苦情対応) 2005年JIS規格発行済です。2011年3月定期見直し投票の結果、「確認」(修正/改正せず現状のまま継続)が決定しました。組織が提供する製品に対する顧客からの苦情に対して、組織内部で対応するためのガイド規格です。

⑥ IS010003(外部紛争解決)  2010年JIS規格発行済です。2011年3月定期見直し投票の結果、「確認」が決定しました。組織が提供する製品に対する顧客からの苦情に対して、組織内部で対応できなかった場合に、裁判以外の手段で対応するためのガイド規格です。

⑦ ISO/TS10004(顧客満足の監視及び測定) 2010年4月にTS発行されましたが、ISに格上げする提案が2011年採択されました。組織が提供する製品に対する顧客満足の監視及び測定についてのガイド規格です。

⑧ ISO/WD10008(電子商取引) 2012年3月締切でCD2のコメントを募集し、現在コメント集約中です。ISO/COPOLCO(消費者政策委員会)からの提案の規格です。

⑨ ISO10018(人的側面) 2011年5月DIS投票の結果、賛成多数で採択され2012年5月に発行の予定です。効果的な品質マネジメントシステムのために必要な“組織の人々”の力量、認識、コミュニケーション、チームワークなどの人的要素に関するガイド規格です。

⑩ Time、Speed and Agility 2009年にエジプトが提案したガイド規格です。スタディーグループで規格化の二一ズをはかるための市場調査を実施し、結果をウェブに公開する予定です。事業環境変化、情報技術の発展により、機敏に、タイムリーに対応する必要が高まっていることを背景に提案されました。

⑪ ISO19011(マネジメントシステム監査) 2011年11月に改正版が発行され、2012年3月にはJISQ19011規格が発行されました。

■□■ TC207環境管理関係 ■□■ 

① ISO14001(要求事項及び利用の手引) 2011年に改正のためのNWIPが投票結果賛成多数で可決され、2012年2月にはWD1が作成されました。改正においては、JTCG開発のMSS共通テキストの使用を前提に検討がなされています。

② ISO14004(原則、システム及び支援技法の一般指針)  2008年定期見直し投票の結果、「確認」となりましたが、2011年ISO14001とともに改正を目指すことになりました。

③ ISO14005(IS014001段階的導入の指針) 2010年12月に国際規格が発行され、2012年3月にJISQ14005が発行されました。中小企業を対象に、段階的にEMSを構築するためのガイド規格です。

④ IS014006(エコデザインの指針) 2011年7月にISが発行され、2012年3月にはJISQ14006が発行されました。組織が提供する製品、サービスに関する体系的な環境適合設計プロセスのガイド規格です。

⑤ ISOGuide64(製品規格で環境課題を記述するための指針) 2008年8月にISが発行され、現在JISQ0064の作成をJISCが検討中です。
 
⑥ ISO14050(用語)  2009年2月にISが発行され、JISQ14050が2012年3月に制定されました。ISO14040s、ISO14062、ISO14063、IS014064sに定義されている用語及び定義も追加されました。

⑦ IS014020シリーズ(環境ラベル)
・ISO14021(タイプⅡ環境ラベル) 1999年ISが発行され、2011年12月に追補が発行されました。
・ISO14025(タイプⅢ環境宣言) 2009年定期見直が行われましたが、結果は「確認」でした。

⑧ ISO14030シリーズ(環境パフォーマンス評価)
・IS014031(環境マネジメントー環境パフォーマンス評価ー指針) 1999年11月にISが制定され、その後改正が決定し現在DISの段階の改正作業中です。
・ISO/TS14033(Environmental management – Quantative environmental information Guidelines and examples) NWP投票の結果、賛成多数で2012年現在TS発行待ちになっています。

⑨ IS014040シリーズ(ライフサイクルアセスメント)
・ISO14040(ライフサイクルアセスメントー原則及び枠組み) 2006年7月IS発行済みで、2010年、JISが発行されています。
・ISO14044(ライフサイクルアセスメント_要求事項及び指針) 2006年7月IS発行済みで、2010年、JISが発行されています。
・ISO14045(環境効率評価一原則及び要求事項) 現在、FDIS段階です。
・IS014046(Water Foot Print – principles , requirements and guidance)  2009年のNWP投票の結果、規格開発がスタートし、現在CD段階です。

⑩ IS014051(マテリアルフローコスト会計 – 一般枠組み) 日本提案により2008年規格化が開始され、2011年ISが発行されました。2012年3月にはJISが制定されました。

⑪ IS014060シリーズ(温室効果ガス)
・ISO14064 第1部:組織レベルのGHG排出量及び吸収量の定量化と報告に関する手引、第2部:プロジェクトレベルのGHG排出削減量・吸収増大量の定量化、監視、報告に関する手引、第3部:GHG主張の妥当性確認及び検証の手引、いづれも2006年3月IS発行済みです。またISO14064-1は2010年5月、ISO14064-2、-3は2011年にJIS化がされました。
・ISO14065(GHGに関する検証及び妥当性確認を実施する機関に対する要求事項) 2007年4月IS発行済み、2011年3月にJIS化がされました。
・ISO14066(GHGに関する検証及び妥当性確認を実施する機関の要員に対する要求事項)2011年4月IS発行され、2012年3月にはJISがされました。
・ISO14067(カーボンフットプリント) part1:製品のカーボンフットプリント―定量化part2:製品の力ーボンフットプリント―コミュニケーショと区分されて、規格の開発が進んできたが、2011年1月に両パートが統合されることが決まり、2013年を目指して、現在はDIS段階です。

■□■ その他のMSS ■□■ 

① ISO31000(Risk management – Guidelines on principles and implementation of risk management:リスクマネジメントー原則及び実施の指針)、2009年11月国際規格発行済み、2010年9月にJISが制定されました。

② ISOGuide73(Risk management – vocabulary:リスクマネジメントー用語)、2009年11月国際規格発行済み、2010年末JISQ0073が発行されました。 

③ TC223 Social security 社会セキュリティー
・ISO22301(事業継続マネジメントシステムー要求事項Business continuity management system – Requirement)BS 25999をベースに組織の緊急事態(発生時含む)に対するBCMS(Business continuity management system)を計画、構築、運用、監視、レビュー、維持、改善するための要求事項を含む規格の作成が進められてきましたが、2012年4月2日に規格の承認が投票で承認されました。

緊急事態への組織の能力を組織内部・外部機関(第三者認証機関を含む)が評価することにも利用可能です。2012年6,7月頃には国際規格が入手できる見込みです。
・ISO22313(社会セキュリティ、事業継続Societal security – Guidelines for incident preparedness and perational continuity management)ISO22399をベースに(2007年11月に発行済み)、ISO22301に対するガイド規格としてIS化に向けて作業中、現在DIS段階です。

④ ISO26000(社会的責任の中核主題に関する手引Guidance on Social Responsibility)、2010年末IS発行済、ガイダンス文書であって 認証を意図しない規格です。

⑤ ISO22000(食品安全マネジメントシステムーフードチェーンの組織に対する要求事項)、2005年8月発行済み、2008年定期見直し投票では「確認」となりました。
・ISO/TS22002-1(食品安全の前提条件プログラムー第1部:食品製造)、2009年12月
発行済み、2010年定期見直し投票では「確認」となりました。
・ISO/TS22003(食品安全マネジメントシステムの審査及び認証を行う機関に対する
要求事項)、2007年2月発行済み、2011年1月から5ヶ月間の定期見直し投票の結果、改正することになり作業中です。
・ISOTS22004(食品安全マネジメントシステムーIS022000:2005適用のための指針)、2005年11月発行済み、2008年定期見直し投票の結果「確認」となるも、2011年10月改正が決議されました。

⑥ 情報セキュリティマネジメントシステム(ISO/IEC/JTC1・情報セキュリティ)
・ISO/IEC27000(Information technology – Security techniques -Information security management -systems – Overview and vocabulary)、2009年5月に発行済み、現在改正作業実施中です。
・ISO/TC27001(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステム
ー要求事項)、2005年10月に発行済み(2006年5月JIS発行済み)、2009年改定が決議され
現在作業中でCD段階にいます。
・ISO/IEC27002(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントの実践のための規範)、2005年6月に発行済み(2006年5月JIS発行済み)、2009年改定が決議され現在作業中でCD段階にいます。
・ISO/IEC27003(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステムのための実施の手引き)、2010年3月に発行済みです。
・ISO/IEC27004(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントの測定)、2009年12月に発行済みです。
・ISO/IEC27005(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティリスクマネジメント)、2011年5月に発行済みです。
・ISO/IEC27006(情報技術 一 セキュリティ技術 一 情報セキュリティマネジメントシステムの監査及び認証を行う機関に対する要求事項) 2007年にIS発行済で、2011年11月には改正版を発行済です。

⑦ サービスマネジメント(ISO/IEC/JTC1/SC7 – 情報技術、ソフトウェア技術)
・ISO/IEC20000-1(情報技術一サービスマネジメントー第1部:仕様)、2005年12月IS発行済み、2011年4月改正がされました。
・ISO/IEC20000-2(情報技術一サービスマネジメント」第2部:実践のための規範)、2005年12月IS発行済み、2012年2月改正がされました。

⑧ 道路交通安全マネジメントシステム(PC241・道路交通安全マネジメント)
・ISO39001(Road – traffic Safety management systems – Requirements with guidance for use)、現在、DIS段階 (2012年末発行予定)、国内では、(独)自動車事故対策機構を事務局とする国内委員会を設置し対応しています。
本規格は、組織が道路輸送システムにおける役割を認識し、道路交通安全の向上に資する、道路交通における事故を防ぐ、自動車衝突事故による健康や人命被害の重大性を軽減するためのマネジメントシステムの構築に資する、ステークホルダーに対して、継続的に道路交通安全システムが構築でき、改善できる能力があることを証明することを目的にしています。

⑨ エネルギーマネジメントシステム(PC242・エネルギーマネジメント)
・ISO50001(Energy Management System – Requirements with Guidance for Use), 2011年5月発行、同年10月JISが制定されました。
規格の目的は、組織がエネルギー効率等を含むエネルギーパフォーマンスを改善するために必要なシステムやプロセスを確立することにあり、ISO9001(品質)、14001(環境)と同様の認証用マネジメントシステム規格です。エネルギーに特化、エネルギー効率を組織のマネジメントに導入することによりエネルギーマネジメントの枠組みを組織、施設に提供することを目的にしています。

個の時代 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.50 ■□■ 

       *** 個の時代 ***

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■□■ IT革命 ■□■ 

 チュニジアの「ジャスミン革命」やエジプトをはじめとする「アラブの春」は、
ITの発展があって初めて起こったといわれています。

 ITの発展は、それだけ個の集約をしやすくし、サイレントマジョリティを集約して
大きな声にする役割を果たしたといっていいでしょう。

■□■ ソ-シャルメディア ■□■ 

 TwitterやFacebookがあったために、従来は弾圧されてそれで終わりになっていた
政府に対する抗議活動が組織化されましたが、そこに大きな社会的変化を感じます。

 TwitterやFacebookが「原因」をつくったわけではありません。 

 20、30年以上続いた独裁政権に対する不満、直近に起きた焼身自殺事件への怒りが
原因だといわれています。

 しかし、オンラインツールであるソ-シャルメディアがなかったらアラブ諸国の革命の
きっかけはなかったわけで、ここに個を組織化する未来への啓示が含まれていると咸じます。

■□■ Facebook ■□■ 

 創業者のマーク・ザッカ―バーク氏は「月に1度以上Facebookを
訪問する会員数」は7.5億人を超えたと公表しました。(2011年7月)。

2012年2月1日には、新規株式公開を申請しました。株式時価総額は1000億ドル(約7兆6000億円)とも
見込まれ、日本企業ではトヨタ自動車に次ぐ2位のNTTドコモ並みの規模となるとのこと。

 現在も毎月2000万人のペースで利用者が増加しているそうです。

 何がそこまでソーシャルメディアを拡大させたのでしょうか?

  ① 金、物中心の退廃していく人々の心を穏やかにつなぐ

  ② 友人と常につながっている感覚

  ③ 趣味を同じくする人々との出会い

  ④ 過当競争、孤独感にさいなまされている人々のオアシス

  ⑤ 共感、信頼感の醸成

  ⑥ 物より心の豊かさ

      などだといわれています。

■□■ 価値観の変化 ■□■ 

 ソーシャルメディアの普及とともに、人々の行動、価値観が変化しだしたと思われます。

  ① 組織行動を監視する。

  ② 組織の不誠実な言動に直接的に反応する。
  
  ③ 大企業における硬直化した負の側面に気づく。

  ④ 消費者が本音をいう。
 
  ⑤ 感情、訴えに共感を示す。
 
  ⑥ 切り取りの世界から丸写しの世界に移行する

■□■ マーケティング概念の変化 ■□■

 価値観の変化は、マーケットにおいても顕著に影響を及ぼします。

従来と同じマーケティング手法では、よい結果が得られないでしょう。

 よい物を作れば売れる時代は「製品中心」のマーケティングでよく、
「どのように製品を売るのか・・・」を考えればよかったのですが・・・

 今日のように、心豊かな社会へと変化したマーケットにおいては、
製品中心ではなく、「人中心」のマーケティングに変えなければならないのです。

 このことは、消費者、生活者の目線で顧客対応をすることに繋がります。

販売の現場/店頭でのサービス、購入後のトラブルサポート、電話での接遇
などにおいては、とりわけこの消費者、生活者の目線が重要になります。

■□■ 組織にとってのポイント ■□■

 このマーケテイングの仕方の変化は、組織の管理にも同じことがいえます。

  ①  自社製品が顧客に与える価値とは?

  ②  顧客への基本的姿勢とは?

  ③  社会における信頼性とは?

  ④  一般消費者の目線とは?

  ⑤ 社会への貢献とは?

     組織はこのような問いかけをもう一度、今の状況下で
    自分自身にする必要があります。

■□■ 組織が直面するパラダイムシフト ■□■

 次の5つのパラダイムシフトは、このような時代においては
どんな組織でも直面している課題です。

  ①  方針管理、目標管理
       なぜ、目標管理がうまくいかないか?

     → 経営層が組織を取り巻く経営環境から目標をつくるから
       
     ◆ 資源管理がポイントである

  ②  事業計画
       なぜ、期初の計画が達成できないのか?

     → 不確実なことが多いから
    
     ◆ 複数シナリオがポイントである

  ③  指示命令
       なぜ、指示命令が末端まで浸透しないのか?
   
     → 指示命令に無理があるから
 
     ◆ 現実、事実がポイントである

  ④  コミュニケーション
       なぜ、社内で意志疎通ができないのか?
    
     → 「思い」と「つながり」がないから
 
     ◆ エンジョイがポイントである

 ⑤  利益
      なぜ、利益が上がらないのか? 

    → ほとんどの製品が赤字で一部の製品の黒字で何とかなっている
      (赤字の海に利益の小島になっているから)

    ◆ プレシジョン・マーケットがポイントである

第18回テクノファ年次フォーラムへのご案内 | 平林良人の『つなげるツボ』

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                【臨時号】

   ■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.49 ■□■ 

 *** 第18回テクノファ年次フォーラムへのご案内***

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テクノファ代表取締役の平林です。

 今回はメルマガ「つなげるツボ」番外編として、テクノファ年次フォーラムの
ご案内をさせていただきます。

 12月22日(木)の13時より、東京大田区「きゅりあん」で
年1回の無料フォーラムを開催いたします。

マネジメントに興味のある方はふるってご参加下さい。

 今回はベストセラーになりました「デフレの正体」の著者日本政策投資銀行
参与 藻谷 浩介先生をお迎えして、「デフレ」の正体と震災後日本の針路
という演題でご講演をいただきます。

 東京大学飯塚教授には、ISO9001の今後を語っていただきます。

 また、NPO日本キャリア・カウンセリング研究会会長 今野能志先生(行動
科学研究所代表、日本産業カウンセリング学会常任理事)には人の組織に
おける「モチベーション、やる気を出す」ということについてお話をいただきます。

 年末の忙しい時期ではございますが、皆様お誘いあわせの上ご参加いただけ
ますよう、お申込をお待ち申し上げております。

 ひとりでも多くの皆様とお会いできることを楽しみにしております。

■□■ フォーラムの詳細 ■□■

【日時】   2011年12月22日(木) (13時~17時30分)
                  
【定員】   350名

【会場】   きゅりあん(品川区総合区民会館) 7F イベントホール
       (JR京浜東北線 大井町駅から徒歩1分)

http://www.shinagawa-culture.or.jp/hp/page000000300/hpg000000268.htm

【参加費】 無料

 
■□■テクノファフォーラムの企画趣旨 ■□■

 今年は震災で大きな傷を負った日本列島ですが、まだまだ外的にも
内的にも揺れ動いているように感じます。

 今後に向け、広い視野にたった知見を、少しでも皆様に情報として
ご提供できればと思っております。

■□■ プログラム ■□■

13:10~14:20 講演1: 東京大学大学院教授 飯塚 悦功 氏

                 「ISO 9001認証の社会的価値と有効活用」

14:40~15:50 講演2: 行動科学研究所 代表 今野 能志 氏

                 「組織マネジメントにおける人間関係」
                 (一人ひとりがモチベーション高く、
                  活き活きと活躍するために)

16:10~17:20 講演3: 株式会社 日本政策投資銀行 参事役 藻谷 浩介 氏

                 「デフレ」の正体と震災後日本の針路
         
  ※!!「デフレの正体」、おかげさまにて想定外の45万部、
    ダイヤモンド誌2010ベスト経済書3位、中央公論社2011新書大賞2位!!

第2の頭脳 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.48 ■□■ 

       *** 第2の頭脳***

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■□■ 自律神経 ■□■ 

 人間の体には第2の頭脳があるそうです。

この頭脳は胃腸システムに存在し脳が考えることとは異なる思考をし、
胃腸のコントロールをしているのだそうです。

 よく自律神経といいますが、脳とは別に自分で勝手に動くゆえに自律と
言われるのでしょう。
 しかし、第2の頭脳といえども体全体は第1の脳(本当の頭脳)によって
コントロールされているわけですからまったく勝手に動くことはできません。

 脳と胃腸の頭脳が一致した思考にならない場合には、体はストレスを感じ
それが故に健康を崩すことになるそうです。

 逆に、体のすべてを脳がコントロールしているわけではなく、
ローカル(胃腸)にも自律したシステムをもたせているところに
体の素晴らしさがあると思います。

■□■ マネジメントシステム ■□■ 

 組織経営でもこのアナロジーが使えると思います。

 組織全体のコントロールは脳に当たる経営者の役割です。
しかし、組織の全てにわたって目を行き届かせることは現実困難です。

 胃腸システムのようにローカルな自律システムが組織経営にも必要です。
権限移譲ということがよく言われますが、組織の分課分掌の規定は極めて
重要なものです。

 マネジメントシステムは体と同じようにトップ(第1の頭脳)のもとにありますが、

第2の頭脳として自律して動かなければなりません。

 私はその役割は事務局にあると思います。積極的に動く事務局と
そうでない事務局とではマネジメントシステムの運用に大きな差がでてきます。

 勝手に動くと事務局は体と同じようにストレスを感じることになりますが、
活動する方針については第1の頭脳に従うが、

日常の運用(活動)は胃腸と同じように自律的に動かないと、
組織はマネジメントシステムを蔑ろにしてしまいます。

 事務局のみならず、すべての人が自律的な第2の頭脳になるべきですが、
そのためにはモチベーション(やる気)が必要です。

■□■ キャリアを考える ■□■

 モチベーションを持つ方法の一つは自分のキャリアを考えることです。

テクノファでは定期的にキャリア・カウンセラー(キャリア・コンサルタント)コースを
行っていますが、昨今のISOマネジメントシステムの実態をみるにつけ
人と人とのコミュニケーションの大切さを強調せずにはいられません。

 マネジメントシステム文書はきれいに整っていますが、
システムが表面的にだけしか機能しておらず形骸化している組織がありますが、
この組織には第二の頭脳がないのでしょう。

 実情を見ると標榜しているものとは明らかに違う、
これでは認証を信用したユーザーや消費者の期待を裏切ることになるのでは
ないかというようなケースも見受けられます。

 肝心なことは、システムという枠組みだけを整えるのではなく、仕事をする人が、
要求事項の中身を理解し、システムを自分の仕事の中に定着させるような機能を
果たしていることです。

 つまり、システムに心を入れることが大事です。

 それには働く人の仕事へのモチベーションが不可欠です。
今している仕事は自分にどう関係しているのか、上司と部下の関係、給与の問題など、

組織の中には仕事と人を巡っていろんな軋轢があります。

 それらを考えずに、従業員に無機質にマネジメントシステムを要求してみても、
血の通った仕組みにはなりません。

 日常の事象を管理するときに重要なのは人の品質です。

だからこそ人を理解でき、人を適正に評価でき、
適切な方向に導いていけるようなリード役の人材がいないといけません。

■□■ キャリアコンサルティングコース ■□■

 研修の中でどういった悩みがあるのか、受講生の方に聞くと、

「上司から日常期待されていることがはっきりしない」、
「自分は一所懸命やっているつもりでも評価されない」などの理由で、

社員の生産性が落ちたり、退社したりするなど、いろんな問題がわかってきます。

 キャリア・カウンセリングでよく「自分の内面を見る」と言いますが、
企業も内面を見ることが求められます。

 外からは立派な会社に見えても、自分の職場にどんな悩みや不満が渦巻いていて
いるのか、ふたを開けて中を見ようとしない経営者が時折見られます。

 これでは企業はよくなりません。それを見える形にする働きかけが重要です。

 それでも、現場の中間管理者は、何とか頑張ろうとしています。

そういうときに、企業のキャリア・カウンセラー(キャリア・コンサルタント)が、
トップとミドルの架け橋になり、ミドルに働きかける力、
さらには組織の風土改革の担い手となることが期待されています。

 しかし、その前提にはトップの理解と教育が大きな課題です。

私どもが研修させていただいたISO審査員が指導するのは中小企業さんが
多いものですから、そういう話を社長さんにもします。

 大企業であればカンパニーや事業部クラスのトップには直接お話しして、
従業員の声を聴く耳を持ってもらうようにしています。

 キャリア・コンサルタントが企業に常用雇用されていると安定感があります。
キャリア・コンサルタントが働く人にじかに対面できるようになっているからです。

 キャリア・コンサルタントの手によって、従業員のメンタルヘルスや
休職などについていつでも相談に応じられるように、十分な数の
キャリア・コンサルタントが企業内に設置され、いつでも接触できるような
土壌ができることがこれからの日本の課題だと思います。

 また、マネジメントする立場の人、例えば役職では部課長以上に
人間の行動心理を勉強させ、キャリア・コンサルタントの資格を持つことが
当たり前という意識が産業界に醸成されればいいと思っています。

■□■ 当社のコース ■□■

 実際、私どもの養成コースには部下のすすめで部長が送り込まれてくる
ようなこともあります。

 ISOの事務局の方もきます。
楽しみながら受講していただいて、人が成長するとはどういうことかを
しっかり学んでいます。

 そういう心得のある部課長の下では、従業員が活き活きと気持ちよく仕事ができ、
気持ちよく仕事ができれば成果が上がり、成果が上がれば仕事が面白くなる、
というよい循環に入ります。

 個の活性化によって組織の効率や生産性が上がるようになり、日本の産業界は
まだまだ伸びると思います。

 それが社会貢献につながると思います。

 企業が永続していくために、従業員が満足していなければ、
顧客満足度が生まれないと言われます。

 お客様、従業員、企業の「三方よし」になるには、従業員の気持ちを受け止める
人材が必要ですし、トップがそう思うことが大事です。

 キャリア・カウンセラー(キャリア・コンサルタント)の養成を通じて、
そういう考え方を広めていきたいものです。

 カリキュラムは実践的な教育を目指しており、通学15日間と一流講師から
じかに学べる機会を重視しています。

 受講料も他団体と比較して決して高くありませんので、
中身をよく見ていただいて検討していただければと思います。

 さらに今後は、資格ホルダーのフォローを充実していきたいと考えています。

いろいろなQMS | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.47 ■□■
 
    *** いろいろなQMS***

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■□■ トップダウンとボトムアップ ■□■ 

 組織経営において、事柄をトップダウンで行っていくのか、
ボトムアップで行っていくのかについては、当然のことながらやり方に
違いが出てきます。

 これは発想の原点が変わることによってマネジメントの仕方が
変化するためですが、これらの違いがどのようなものであるのかについては
多くの人がいろいろな場面で感じているところではないでしょうか。

いろいろな世界にトップダウン思考、ボトムアップ思考があります。

 中世を支配した天動説はまさにトップダウン思考の象徴です。
ガリレオの地動説は否定されたまま100年がたちましたが、
その間トップダウンが導きだした通説(宗教界の唱える天動説)の考えが
宇宙の真理を隠蔽してきました。

 すなわち、地球が宇宙の中心であるという絶対的な思想が長い間
真実を隠してきたということです。

 組織にも似たような誤りがないでしょうか。
QMSは「こうあるべきだ」といわれ、自分たちの実態を顧みずに従順に
盲目的な規定を定めていないでしょうか。

 組織経営の世界では、欧米式の経営はトップダウン、日本式経営は
全員参加のボトムアップと言われてきましたが、トップダウンと
ボトムアップの発想というものは、品質管理や組織経営ばかりでなく
いろいろな場面で使われるのです。

 ところでQMSにおいてもトップダウンを否定しませんが、
トップダウンだけで全てを律しようとすることには無理があります。

 現場における様々な実態を知り、そこから規定を決め、規定を作成する
ボトムアップの考えで検証することが必ず必要です。

   ■□■ ドーナッツ現象化の防止 ■□■

 通常、システムをデザインする場合、経営の目的や製品・サービスの
現状や目指すべき姿を思い描き、そこから必要となる要素、たとえば
先行投資、人材育成などをトップダウンで計画します。

 しかし時間が経つといろいろな変化が出てきます。
ほころびも出てくるし、経営環境も変われば競争相手もどんどん変わります。
このような状況においては計画と事実の検証が必要になりますが、
このようなときこそトップダウン、ボトムアップ両方からの見方が必要です。

 QMSを構築することはできたが、品質が少しも良くならないと
組織の経営者が言われるのは、このギャップをそのままに放置しておくからです。

 世の中すべてが動いているのですから、ある時間が経過すれば
2つのもの(計画と実態)にギャップが出てくるのは当たりまえです。

 トップダウンとボトムアップ、2つの思考方法を組合せればヒントは
必ず見つかります。
 仕組みを作っても中味が良くならない(質がよくならない)と言われる
「ドーナッツ現象」をなくしていきたいものです。
 

計画と実態のギャップの例には次のようなものがあります。
 ― 規定類
  ― 新旧混在した帳票
   ― 古い管理図やQC工程表
    ― 要員の教育訓練
     ― 作業環境

 人が変わる、部署が変わる、製品が変わる中で
更新が欠かせないものばかりです。

 質を確保するバックグラウンドの変化に追いついてけないと
標準化は崩れ去ってしまいます。

 ■□■ コミュニケーション能力 ■□■

 最近他人と対面してうまく話が出来ない大学生が増えてきているという。

会話は専らメール、話すことが減ったからだというが
組織に入ってのコミュニケーションは大丈夫だろうか。

 組織の中では確かにメールもコミュニケーションツールですが、
それにもまして重要なものは対面しての直接コミュニケーションです。

 ISO19011でうたわれている倫理的で、心が広くて、外交的で、
観察力・知覚が鋭く、粘り強く、決断力があり、
自立しているという資質はバラバラに見えるが、
つながってコミュニケーションが上手であるということになります。

 言い放しでなく心を広くもち、観察力をもって〝聴く〟という切り口を
大切にしないとコミュニケーションは成立ません。

 最も大切なのは互いの顔を見ながらのコミュニケーションですが、
観察力があると相手の顔から情報が得られるし、
知覚が鋭いと声の調子から感情を察知できます。

 QMSの有効性を確認するために行う内部監査も
コミュニケーション次第で効果が出る、出ないが決まってきます。

 内部監査が指摘と応酬のみに終わってしまうことが少なくありません。

 人の心は見えませんが、表面的には見えない心の行間に隠れたものを
顕在化できるのはコミュニケーション次第です。