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東京都検証主任試験 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.18  ■□■

  *** 東京都検証主任試験 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

最近、「検証主任者講習」(東京都温室効果ガス-以下GHG:
Green House Gas-排出総量削減義務に関する)を受けました。
そして、最後に行われた修了試験に落ちてしまいました。

今回も宜しくお願いいたします。

■□■ 検証主任者講習会 ■□■

平成 20年6月25日、東京都議会において東京都環境確保条例
の改正が可決されました。これにより大規模事業所(約1400
事業所)のGHG排出総量削減義務が決定されました。

この条例は罰則の導入、排出量取引制度の採用と、国に先行し
た制度として関係者からの大きな関心が集まっています。今後、
東京都の大規模事業所はGHGの排出を抑制しながら経済活動を
行なうことになりますが、その成果はどうなるかについて更に
大きな注目が集まるでしょう。

この制度において大規模事業所は、東京都から認証登録された
第三者検証機関から排出量の検証を受ける必要があります。
排出量取引は金銭取引と同じ意味を持ちますので、大規模事業所
が算定・報告した排出量は正確であり、信頼性のあるもので
なければなりません。

東京都から認証登録された第三者検証機関は、都内の事務所に
必ず1名以上の「検証主任者」を配置しなければならないことに
なっています。

この検証主任者になるためには、東京都主催の1日講習に参加
することが条件の1つです。そして講習会の最後に行われる
修了試験に合格しないと修了証をもらえないことになっています。

■□■ 修了試験 ■□■ 

私は平成21年7月22日に行われた1日講習に参加しました。1日
の講習が終わり、最後に数十分の修了試験(今回は40分)が
行われるのは、いろいろな資格制度においてよく採用される方法
です。

今まで私が経験した各種資格講習の修了試験は、真面目に講習
を受けてさえいれば合格するレベルの試験でした。勿論講習中に
居眠りをしているようでは合格しません。あくまでも真摯に
講習内容を理解しておくことが必要です。

しかし、今回の修了試験は事前の推測を100%覆すものでした。
一口でいって高難度の試験でした。

1.出題範囲が広い。
 出題は東京都のホームページに公開されている各種ガイド
ラインから出されました。
  ・総量削減義務と排出量取引制度における検証機関の登録
   申請ガイドライン 32p
  ・総量削減義務と排出量取引制度における特定温室効果
   ガス排出量算定ガイドライン 83p
  ・総量削減義務と排出量取引制度における特定温室効果ガス
   排出量検証ガイドライン 77p
  ・総量削減義務と排出量取引制度におけるその他ガス排出量
   算定ガイドライン 19p
  ・総量削減義務と排出量取引制度におけるその他ガス削減量
   算定ガイドライン 58p
  ・総量削減義務と排出量取引制度におけるその他ガス削減量
   検証ガイドライン 48p
  
 合計300ページ以上に及ぶガイドラインを相当細かく勉強して
おかなければなりません。
この他にスライド40枚くらいの概要説明書も出題範囲とされて
います。

2.応用問題が多い。
 単に記憶を試す問題は少なく、応用問題が多く出されました。
その中の1題は計算問題でした。

3.読解するに時間が掛かる。
 1つの問題がけっこう長文であるので、読解するだけで時間が
掛かりました。

■□■ 落ちるとどうなるのか ■□■

8月27日、今回修了試験に落ちた人の追試がありました。参加した
人の顔ぶれを見て、びっくりしました。前回講習会に参加した
ほとんどの人がいたからです。

追試試験が終了したあと「今回の合格レベルは?」と質問が主催者
に飛びましたが、公表はしないとのことでした。

私の推測では合格は70点以上、合格率20%くらいかなという印象
です。

さて、追試の難易度についてですが、これも事前の予想に反する
ものでした。通常、追試は前回より分量が減るか、難度が下がる
ものですが、むしろ前回より難易度が上がっているという
印象を受けました。

なお主催者によると、今回落ちても10月に予定されている講習会を
受けることで何回でも検証主任者へチャレンジできるように
なっているようです。

■□■ 講習会のあたらしいスタイル ■□■

今回の東京都の検証主任者講習会は、今後の公的資格講習会に
あたらしいスタイルを導入するものとして興味のあるものです。

1.法(条例)の周知、徹底をするための戦略を策定する。

2.法(条例)を解釈のためのガイドラインを作成しホームペ
  ージで公開する。

3.法に基づく行政を推進するために、執行の一部を担う検
  証機関に求める要件、手順、力量を明確にする(検証機関の
  登録申請ガイドライン)。

4.検証主任者に求められる要件、特に法(条例)知識、理解
  の水準を明確にする。

5.検証主任者に必要とされる法(条例)理解を確認できるレベルの
  試験を作成する。

6.検証主任申請者に必要とされる試験を受けてもらい一定の
  水準以上の者のみに修了証を発行する。

7.検証主任申請者には修了試験を期待されるレベルに達成する
  まで繰返し受けてもらう。

因みに東京都の講習会は無料です。

■□■ ISO14001審査員には新しいチャンス ■□■

東京都の検証主任者講習会で首尾よく修了証を手にしても、
それだけでは検証主任者には登録できません。

検証主任者に登録されるには過去3年に10件のISO14001第三者
審査の業務経験を持っている必要があります。2010年3月までに
登録する者には5件でよいという経過措置もあります。

検証主任者に登録するためには、ISO14001以外では次のような
業務経験でもよいとされています。
 ・省エネルギー診断業務:過去3年に10件
 ・京都議定書に基づくCDM/JI 制度のDOE における、有効化
  審査業務若しくは検証業務:過去3年に10件
 ・試行排出量取引スキーム、国内クレジット(国内CDM)制度、
  環境省自主参加型国内排出量取引制度若しくはオフセット・
  クレジット(J-VER)制度における検証業:過去3年に10件

BCMS | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.17  ■□■
   *** BCMS ***
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テクノファ代表取締役の平林です。
最近「BCMS」という言葉を耳にします。
今回も宜しくお願いいたします。

■□■ 「BCMS」とは ■□■

BCMSは“Business Continuity Management System”の略で、
日本では「事業継続マネジメントシステム」と呼ばれています。

その中核にあるのは、BCPです。“Business Continuity Plan”
の略で「事業継続計画」と呼んでいます。事業継続計画は、
何らかの不測の事故、災害などにより組織の工場、施設、情報網
などが打撃を受けても、事業を中断させないか、又は中断した
場合には早急に回復させるための計画です。

もちろん即刻100%の状態に復旧させることは困難です。被害の
程度によって、またどんな原因による事業停止なのかによって
打つ手は変わってきます。

事故、災害などから被害を受けた事業所の操業度(製品供給量
など)はその時点で急落し、被害が大きい場合には操業不能な
状況に陥ります。

事故、災害などの発生から時間がたつにつれて操業度は回復して
いきますが、回復時間が長くなればなるほど損失は大きくなって
いきます。

平穏な時に、事故、災害などを想定しておいて、起きたときの
手の打ち方をマネジメントシステムとして構築しておこうと
いうものです。

■□■ BCP規格 ■□■ 

ISO/TC223社会セキュリティ(Society Security)では、総ての
組織を対象に、自然災害、テロなどから組織を守るための危機
管理、事業継続に関する国際統一規格を検討しています。

WG1/TG1(Working Group1/Task Group1)においては、緊急事態
準備としてのBCPに関する規格を開発中です。

TC223では既に、ISO/PAS22399(社会セキュリ
ティ 緊急事態準備と業務継続マネジメントガイドライン)を
2007年11月に発行済みです。

BCPに含まれる項目としては次のものが上げられています。
1.リスクの想定
 リスクは組織ごと異なるため、自ら想定する。
 (例)鳥インフルエンザ;養鶏業者、自然災害(地震、台風)、
 新型インフルエンザ、人的災害(ミス、事故)、犯罪(テロ、
 愉快犯)ほか
2.影響分析
 ビジネスインパクト、人的安全、設備被害、ボトルネックの
 特定、信用・契約への影響
3.コア業務の選定
 組織/事業として、どの業務を優先して継続しなければなら
 ないか
4.事業継続のための計画の立案
 復旧目標時間の設定、指揮命令系統の整備、連絡体制の確立、
 情報インフラの整備、調達計画の策定など
5.実施可能な体制整備
 対策のマニュアル化、BCP担当者の育成
6.継続的改善
 内部監査などにより不備の発見、対策実施、改善歯止め

■□■ BCP国際規格の企業への影響 ■□■

組織(一般企業)へのBCP国際規格の影響については、経済産
業省産業技術環境局基準認証ユニットの勉強会で次のような
可能性があると指摘しています。

1.グローバルサプライチェーンの中でBCPの策定が商取引の
 条件になる可能性
2.BCPの策定状況を公表することで組織の価値に格差が生じる
 可能性
3.ステークホルダーからの策定要求が生じる可能性
4.本社機能、工場の代替を確保する、事業部の序列化などの
 制度導入を余儀なくされる可能性
5.既に策定済みのBCPを国際規格に整合させられる可能性

■□■ BCMS関連セミナーのご案内 ■□■

テクノファでは、BCMS審査員資格拡大研修コース(TT18)を開催
しています。そのコースはIRCA承認申請中で、コースの詳細は
下記をご覧下さい。
http://www.technofer.co.jp/training/isms/tt18.html
至近の開催日程には、2009年9月20日(日)~22日(火)、
2009年10月13日(火)~15日(木)があります。

■□■ BCPの成功事例 ■□■

BCPの策定をしていて効果を発揮した事例を紹介します。2007年
の中越沖地震の発生において、BCPの策定が効果を上げた例
です。2004年の地震を経験してBCPを作成した事がきっかけ
だったとのことです。

BCPは大企業を中心に整備が進められていますが、下記事例
に示すような中小企業においても取り組みを進められ成果を
上げています。

<金型加工メーカー 米谷製作所 (新潟県柏崎市)の例>
1.被害の概要
 棚の転倒などがあったが、事前対策の効果もあり、機械転倒な
 どの大きな被害はなし
2.事前の対策
 工場や大型機械の基礎強化
 ノウハウ継承を目的としたパソコンでの情報共有マニュアルを
 整備
 設備復旧などの情報の共有、防災勉強会の開催
3.災害時の対応
 発災当日は、物が散乱する中、避難路を確保し、全員の安全
 確認
 翌日には出社可能な職員による復旧作業
4.効果・評価など
 発災翌日の午後には、生産を再開し、出荷を開始
 新潟県や経済産業省も、BCP普及の弾みになるなどとして高く
 評価
 (出典:日本経済新聞 2007年7月19日)

是正処置 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.16  ■□■
 
   *** 是正処置 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

ISO9001:2008規格には、8.5.2という箇条に「是正処置」の要求
があります。

今回も宜しくお願いいたします。

■□■ 8.5.2「是正処置」とは ■□■

ISO9001規格を知っている方にはいまさらながらの話ですが、
そうではない方のために「是正処置」とはどんなことをいうのか
簡単に話させていただきます。

日本語で「是正」というと、「間違ったことを直す、修正すること」
を意味するのが普通です。

しかし、ISO9001においては上記の意味は「修正」という言葉で
定義されており、是正処置は「原因を除去すること」を意味します。

ISO9001規格に用いられる用語が、我々が日常使用する用語と
意味が異なることは、この「是正処置」に限らず他にも多く存在
しており、ISO9001を普及させる上での一つの課題であると思い
ます。

しかし、この課題は別の機会に譲るとして今回は「原因を除去
すること」とは、どのようなことをいうのか考えてみたいと思い
ます。

■□■ 原因とはなにか ■□■ 

総ての「事象」には何らかの原因が存在しています。原因とは、
事象を引き起こすもとになった「できごと」のことをいいます。

どうしてそのような結果事象になったのか、それを決めている
原因(できごと)は一つではありません。幾つかのいろいろな
原因が重なり合って一つの事象を起こしていると考えられます。

日常のちょっとした小さなできごと(火種)は、それが見逃さ
れ、適切に処置されずに成長・拡大して遂に好ましくない事象
になります。

原因には、火種原因、見逃し原因、拡大原因などがあり、さらに
原因の連鎖の見方から、直接原因、間接原因、遠因、誘因、
根本原因などと分類されます.

ここで重要なことは、一つの事象を巡る原因にはいろいろなもの
があり、その組み合せ方により結果が変わってくるということです。

さらに、火種原因から起きる事象は小さなものですが、見逃し
原因、拡大原因を経ると段々に大きな事象を起こすことになって
いきます。

1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所の臨界事故
の原因の数は、その後の調査により100にも及ぶということです。

100の原因のうち1つの原因でも当時除去されていれば、あの
ような大きな事故にはならなかったでしょう。

このように原因にはいろいろなレベルのものがあり、原因の組み
合わせにより起きる事象の大きさは異なるということです。

■□■ 不適合とは ■□■

ISOでは要求事項を満たしていないことを「不適合」と呼びます。
ISOでは不適合が起きればかならず原因となる「できごと」が
あるはずであり、それらを除去することで再発を防止できると
考えています。

しかし、原因となる「できごと」にはいろいろありますから、
それらを網羅的に、しかも根本原因までを明確にし、除去する
ことは簡単ではありません。

そのような背景から、8.5.2「是正処置」では「起きた不適合の
影響の大きさに見合う形での原因除去」でいいといっています。

すなわち、起きた不適合が組織に小さな影響を与えるような
場合は、除去する原因も火種原因のような初期段階のものでよい
でしょう。

逆に起きた不適合が重大な影響を与えるような場合は、根本原因
を探し出しそれを除去することが大切です。

根本原因を把握するには、よく「whyを5回繰返す」ことが
よいといわれます。

■□■ whyを5回繰返す ■□■

「whyを5回繰返す」は、トヨタ生産方式で問題の再発防止を
実行するときに推奨された方法です。

「whyを5回繰返す」例を以下に掲げます。ここでは
施盤の切削効率がここ1~2日落ちた、という事象について
whyを5回繰返えしてみます。

1.刃物に潤滑油が回っていなかった。
なぜ

2.潤滑油ポンプが稼動していなかった。
なぜ

3.フィルターが目づまりしていた。
なぜ

4.フィルターに切紛がつまっていた。
なぜ

5.フィルターを交換していなかった。

上記の例は技術的な事象についてですが、管理的な事象の例を
以下に掲げます。

手順書に決まっていることを実施していなかった。

1.作業者が忘れていた。
なぜ

2.忙しかった。
     なぜ
      ↓
3.前の仕事が遅れていた。 
     なぜ
      ↓
4.一日の仕事量が念頭になかった。
なぜ

5.気持ちが仕事に向いていなかった。

このように技術的な課題はwhyを5回繰返すことで比較的楽に
根本原因に近づくことができるのですが、管理的課題はwhy
を5回繰返しても根本原因に行き着くことが難しいケースが多い
ようです。

■□■ 是正処置では根本原因を取り除く? ■□■

ISO9001:2008規格では、「組織は,再発防止のため,不適合の
原因を除去する処置をとること。是正処置は,発見された不適
合のもつ影響に見合うものであること。」とされています。

上記記述の意味ですが、途中の原因すなわち「事象の起きたプ
ロセスのどこかの原因」に対する処置でも原因を除去したもの
と考えられます。

したがって、組織がとる是正処置は必ずしも根本原因に対して
ばかりではないと考えられます。

しかし、何の原因も除去しないのでは、組織はISO9001に適合し
たシステムを運用できているとはいえません。何らかの原因を
除去することが必要です。

環境問題への取り組み | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.15  ■□■
 
  *** 環境問題への取り組み ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今日、環境問題は毎日のように新聞を賑わしています。

では今回も宜しくお願いいたします。

■□■ 地球規模で考え、足元から行動しよう ■□■

“Think Globally, Act Locally.” 5,6年前に誰が言い始めた
言葉か不明だそうですが、すっかり有名になりました。

50年前、日本の環境問題は、「事業活動によりもたらされる害」
を意味した「公害」で代表されていました。例えば、工場からは
有害な物質を含んだ粉塵が大量に大気に放出されていました。

近隣に住む人々の洗濯物はススで汚れ、有害物質は付近の田畑
に降り注ぎ土壌汚染の原因になったりしました。更に、工場密集
地域である川崎、四日市などでは大気汚染が原因となった
光化学スモッグが発生したり、住民に気管支喘息が発病したり
しました。

これらに対する対策の一つは、煙突を高くして汚染物質を広く、
遠くに拡散することでした。しかし、この対策では汚染物質が
薄まっただけで総量が減ったわけではないので、当時の対策は
近視眼的な対症療法であり、根本対策ではなかったといえます。

公害から環境問題へと言葉の変化に伴い、我々の意識も地域規模
から地球規模に変化してきました。自分達の近隣だけでなく、
地球規模で物事を考える、すなわち有害物質の総量を規制する、
削減することなどが必要ですが、逆にいくら地球規模で考えても
一人ひとりが何かを実践しなければ何も変わりません。

今日の環境問題はともすると地球規模に拡大して考えられるため、
現実感が薄まり、問題の所在が自分達の足元にあるにも
かかわらず昔の公害のように見ることができず、問題を分かり
づらくしているといえます。

■□■ 明日のエコでは遅すぎる ■□■ 

“Think  Tomorrow, Act Today.” 明日のために今日やろう、
明日のエコでは遅すぎる、TVのコマーシャルでこれも有名に
なりました。

地球には約14億立方kmの水がありますが、その内、地球の表面積の
約70%を占める海にある海水が約13.6億立方km(97%)です。
ですから我々が飲み水として使用できる淡水は、0.4億立方kmすなわち
約3%しかありません。

しかもこの淡水の約70%、約0.3億立方kmは南・北極地域の氷として
存在しているので、実際には使用できません。我々が飲食用に
利用できる飲み水は地球上の水のわずか約0.1億立方km、0.8%で
しかありません。

その多くは地下水、川の水や湖・沼などに存在し、私たちの生活に
密接するところに存在します。この地球上にわずか0.8%しかない
淡水を我々は長い間汚染してきました。

貴重な水を汚染するのは、工場からの重金属、農場、ゴルフ場
などからの化学物質、家庭からの雑排水などですが、1970年に
成立した水質汚染防止法はさまざまな汚染物質の排出規制を
続けてきました。しかし、未だに栄養負荷の増大(肥料分や栄養塩
の増大)などによる湖沼、河川の汚染は続いています。

今できることをすぐやり、未来の子孫にきれいな地球を残して
いきたいものです。

■□■ 環境について学ぶなら ■□■

テクノファでは、環境問題に関する基礎知識を学ぶための
コースをご用意しております。ご参照下さい。

9月4日開催 ISO14001規格入門コース(TE51)
http://www.technofer.co.jp/training/iso14000/te51.html

9月9日~10日開催 ISO14001中小企業のためのシステム構築
コース(TE61)
http://www.technofer.co.jp/training/iso14000/te61.html

9月18日開催 「わかりやすい環境関連法規制」セミナー(TE73)
http://www.technofer.co.jp/training/iso14000/te73.html

■□■ 今何ができるのか ■□■

“What can we do ?”自分達に今できることはどんなこと
でしょうか。

日本での土壌汚染への対策は他の対策に比べて遅れましたが、
アメリカでは1980年にスーパーファンド法ができています。
これは1978年に起きた「ラブキャナル事件」がきっかけとなって
います。

土地開発を行う事業者は開発資金の数%の信託基金(スーパー
ファンド)を米国環境保護庁に土地汚染の浄化費用として積み
立てなければなりません。

ラブキャナル事件とは、米国ナイアガラ滝近くのラブキャナル運河
(ニューヨーク州)の周辺で奇形児が多く生れた事件です。
原因を探っていったら、ある化学合成会社が土地に廃棄した
投棄農薬・除草剤に含まれていたBHCやDDM、TCP、ベンゾクロライド、
ダイオキシンやトリクロロエチレン等の有害な化学物質が原因でした。

今、無農薬、有機栽培が話題になっていますが、近隣のゴルフ場
では芝生を雑草から守るために大量に散布した枯葉剤が雨水に
混ざって流れ、せっかく無農薬で行っている田畑を汚染させて
しまっているそうです。

■□■ もったいない ■□■

“Save Energy, Make Mottainai.”「もったいない」は今や
世界共通語になりつつあります。

ワンガリ・マータイさんはケニアの副環境大臣ですが、2005年
に国連の総会において、日本語の「もったいない」精神をエネルギー
の枯渇に対する言葉としてピッタリだと紹介してくれました。

彼女は2005年京都議定書に関する基調講演会出席のため来日
しましたが、このとき日本独特の「使いまわし」や、「ものを大切に
する」精神を知り、いつか世界にこの言葉を発信したいと決めた
そうです。ちなみにマータイさんは2004年度のノーベル平和賞
受賞者です。

東京都では「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」
を開始しました。2010年~2014年に8%の温室効果ガス排出削減
を目標としたプロジェクトです。これは、東京都環境確保条例の
規則改正に伴う罰則を伴う一種の規制であるといえます。

7月下旬には基準排出量を検証する検証主任者の研修/試験も
行われます。
検証主任者になるためには、次のどれかの業務経験が必要と
されています。
 ・省エネ診断業務
 ・ISO14001審査業務
 ・CDM有効化審査業務
 ・試行排出量取引/国内クレジット/JVETS/JVER検証業務

東京都内の約1300事業場が対象になるといわれていますが、
組織の全員が「もったいない」精神を発揮しないと8%ものCO2削減
は難しいのではないでしょうか。

人の話を聞く | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.14  ■□■
 
  *** 人の話を聞く ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

人というものは、「自分の聞きたいことしか聞こえない、自分
の見たいものしか見えない」と、よくいわれますが、人の話を
聞くということについて考えてみたいと思います。

では今回も宜しくお願いいたします。

■□■ 上の人は話を聞かない ■□■

人の話を聞くということは意外と難しいことです。特に日頃、
人から指示されることの少ない上の人は、人の話を聞かないと
よくいわれます。

部下に「話を聞くから言え」という管理者に限って、途中まで
聞いて「わかった、わかった」といって、かえって部下に
フラストレーションを与える人が多いようです。

多くの管理者は、「話を聞かない人」とならないようにいろいろな
努力をしているようですが、一番の問題はある時は話しを聞く、
しかしある時は話しを聞かないといったムラをどのように
無くすかということです。

どんな場面でも必ず話を聞くということは、その人の骨身にまで
染みた心構えがなくてはならないのですが、このことは大変
むずかしいことです。

人間は自分にメリットがあることには興味をもちますから、
まずは、話を聞くことがどんなメリットに繋がるかをよく知っておく
ことが重要だろうと思います。

■□■ 最良の道を選べる ■□■

当然のことですが組織にはそれぞれに目標があります。トップ
には会社経営における目標がありますし、管理者には部署に
与えられたミッションを果たす目標が存在します。

人の話を聞くメリットの第一は、この目標を果たすための道を
間違ったものにしないということです。目標を達成する手段には
幾つものもの道が考えられます。一番効率のよい道を選ば
ねばなりませんが、一度間違えた道は大きな回り道に
なってしまいます。

人は自身が気に入っている道と異なる道を提案されると、
聞く耳を持たなくなります。話を聞かないことによって、もし、
より効果的な別の道があるにもかかわらず、見逃したとすると
その代償は大きなものになります。

■□■ 信頼のおける部下を持てる ■□■

人の話を聞く第二のメリットは、信頼のおける部下を持てる
ということです。NHK大河ドラマで今はやりの「直江兼続」では
ありませんが、彼のような腹を割って話し合える部下をもつこと
のメリットには大きなものがあります。

もっとも、腹を割って話し合えるようになるには、話を聞く
だけではなく、話を聞く際の心構えも重要になります。それは
「私心」を持たないということです。

私心を持たない、私利私欲のためでなく大義のためと言い換え
てよいと思います。すなわち、個人でいえば自分のためでなく
組織のため、組織でいえば会社のためでなく公(社会)のため
ということになります。

上の人が部下の話を聞くことができても、そこに私利私欲が
あるとしたら、良好な人間関係を築くことは困難でしょう。私心
を持っていては腹を割って話し合える人間関係を作り出せません。

■□■ 信頼の満ち溢れた職場ができる ■□■

上の人だけでなく、組織の全員が人の話を聞くようになると、
職場は信頼感の満ち溢れた気持ちのよい雰囲気になります。

しかも、一人ひとりが個人のことよりも、集団のことを優先的に
考えられるようになると、お互いの間に目的が共有化され腹を
割って話し合えるようになります。

腹を割って話し合う、すなわち本当の対話が信頼感を醸成して
いきます。このことは、聞く側の問題ばかりでなく、話をする方
の問題へと繋がっていきます。

話をする方が、遠慮したり、本当とは裏腹のことを言って
いると、せっかく相手が聞く態度になっているのに何にもなり
ません。関係が悪くなると思っても本当のことを言わなければ
なりません。相手が聞く態度にいる時に本当のことを言わない
と、相手に誤解を与えることになります。

対話(コミュニケーション)は話をすることではなく、「聞くこと」
からはじまるといわれますが、話す人が本当のことを言うことが
重要です。聞く方は、相手が何を訴えたいのか、話す言葉だけ
ではなくその裏にある気持ちも汲み取ろうとして一生懸命な
わけですからそれに応えなければなりません。こうして、
居心地のよい職場ができていくのです。

■□■ コミュニケーションについて学ぶには ■□■

「コミュニケーション・トレーニングコース」をご案内します。

お互いを理解しあうための「傾聴トレーニング」及び、異なる
意見・考えからお互いに納得して結論に導くための「アサー
ション(発信)トレーニング」を通じてコミュニケーション能力を
高めるコースです。

詳細はテクノファホームページをご覧ください。
http://www.tfcc.jp/category/1250770.html

■□■ ものごとにこだわらない ■□■

対話(コミュニケーション)していても、つい言葉尻を捕らえて
つまらない方向に議論がいってしまうことがよくあります。
話をする人が言葉を慎重に選ぶことも必要ですが、聞く方が
相手は何を言いたいのかを汲み取る姿勢がより重要です。

心を真っ白にしていると言葉尻は気にならなくなります。心を
真っ白にしているとは、ものごとにこだわらないことをいいます。
しかし、心を真っ白にして聞く、すなわちものごとにこだわらずに
聞くということは本当に難しいことです。

職場の対話には必ず大なり、小なりの対立があります。すなわち、
立場の違いがあります。目標を達成しようとするとその目標に
こだわらなければなりません。

目標を達成しないでいいというならば、こだわる必要もなくなり、
自由に和気あいあいと対話(コミュニケーション)していれば
よいのですが、現実はそのようなわけにいきません。

自分の立場は相手の立場と異なりますから、こだわっていると
人の話はほとんど聞こえてきません。多くの人が、人の話を
聞かないで、どのへんを落し所にしようかばかりを考えています。
それでは冒頭に言った「自分の聞きたいことしか聞こえない、
自分の見たいものしか見えない」ということになります。

自分の目標にはこだわるがやり方にはこだわらない、自分の信念
にはこだわるが行動にはこだわらない、自分の性格にはこだわる
(変えられないから)が表現の仕方にはこだわらないなど、
一度じっくりと考えてみるべきではないでしょうか。

■□■ 職場での最重要課題は ■□■

周りから見たら職場の雰囲気を壊しているとしか思えないのに、
自分では気がつかないタイプの人がいます。

1.理屈で人は動くと信じている。
2.人から学ぶことをしない。
3.人と相談することができない。
4.決して謝ることをしない。
5.人の気持ちが理解できない。

上の人は常に自分を自戒していなければなりません。
自戒していてもこうなってしまう人には、どこかに行ってくださいと
お願いせざるを得なくなります。職場の雰囲気を良好に保つという
ことは、それくらい重要なことです。

私にもこういう傾向がないとはいえません。私の部下から
見ればたぶんこういう傾向があると言うでしょう。常に自分は
今どういう状態でいるか、昨日までは人の話を聞けていたが
今日も本当に聞けるか、自問自答しなければなりません。

本質がそうでないのにそのようになろうとすることは大変な
ことです。でも常に自分との闘いをしていかざるをえないのです。