Category Archives: つなげるツボ

品質不正への有効な対策4 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.412 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
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*** 品質不正への有効な対策4 ***
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JSQC品質不正防止講習会で出された質問に関してお話をしていま
す。第三者委員会報告書で説明されている次のことは、もう一歩掘
り下げて真因に近づけていくべきであると思います。

■■ 個々人が認識しても・・・ ■■
組織には組織の運営スタイル(マネジメントスタイル)があります。
・外に発信しない内向き企業
・内部コミュニケーションの悪い組織
・意思決定がエライひとの顔色で決まる組織
・まともな組織文化・風土の欠如している企業
・危機感のない組織
・問題を隠す組織
・改善意欲のない組織など
思いつくまま「悪い例」を上げてみましたが、このような運営をし
ている組織においては、たとえ個々人が問題を認識しても、その問
題意識は埋没してしまい、いつしかいろいろな問題を起こすことは
容易に想像がつきます。

■■ 品質不正を起こす組織の構造 ■■
一般に問題を起こす要因には、技術、マネジメント、人、組織風土・
文化など多様な面があります。組織が提供する製品・サービスに固
有の技術がなければ問題は山積するでしょう。ここで技術と言って
いるのは、単にテクニカルな方法のことではなく、目的達成のため
の実現方法という広範意味です。技術にはミスを防ぐにはこの原則
を守るのがよい、この手順に従うのがよいというようなルール、原
則,教訓なども含みます。こうした技術があっても、それらの技術
を現実に組織で適用するためのマネジメントシステムを有していな
ければ問題が起きます。責任権限、業務手順、技術基盤などが整備
されていないと、先端技術・知識があっても組織のものになりませ
ん。さらに、そのマネジメントシステムにおいて行動する人間の意
欲、知識・技術、技能が適切に発揮されないと問題が起きるでしょ
う。単なる事象が問題になるには経緯があります。ある事象が発生
し、それを見逃し、周囲に拡大していき、問題として誰かの目に留
まり、しかし組織が適切に処置をせずについに大きく火を噴くこと
になります。何が発生原因で、どう見逃され、どう拡大されてしま
ったかという構造を分析をする必要があります。

マネジメントからの見方で、組織のプロセスのどこに不備があるか
という見方も品質不正を起こす組織の構造を理解するために有効で
す。方針設定、目標展開、構想(企画)、計画策定、実現運用、チェ
ック・監視測定、アフターサービス……というプロセスのどこに問
題があるかという見方です。いろいろ挙げましたが、問題・不備が
どこにどのようにあるか理解し適切に対応するために、このような
“問題発生の構造”の全貌を理解する必要があります。

■■ 品質不正要因分析の構造 ■■
構造に関連して言うならば、品質不正の要因分析にも辿るべき構造
があります。今まで見てきた多くの品質不正の要因は実は状態であ
って要因ではありません。また要因が上げられてもその中から結果
に大きく貢献している原因を探し出さなければなりません。すべて
の要因を分析しなければならないというトラウマから逃れることも
必要です。要因を分析する目的は、再発を防止するために大きく貢
献している原因を探し出し撲滅することにあります。処罰のためで
も、データ集計のためでもありません。したがって、撲滅する意味
のある原因を探し出す構造を把握しておくべきです。問題噴出にい
たる因果連鎖の一部が、他の事象においても再現するかもしれない
教訓的な事例であるとより効果的です。
ここで筆者の考える品質不正の要因分析の構造は次の通りです。
●状態 →要因 →原因
次回にその内容の説明をさせていただきます。
(つづく)

品質不正への有効な対策3 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.411 ■□■
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*** 品質不正への有効な対策3 ***
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JSQC品質不正防止講習会で出された質問に関してお話をしていま
す。第三者委員会報告書で説明されている次のことは、もう一歩掘
り下げて真因に近づけていくべきであると思います。

■■ 説明されている要因、原因 ■■
405号でお話ししたように品質不正防止TRで取り上げた18社の品
質不正の要因は次の8項目に集約されます。
1.コンプライアンス意識がない。(401号)
2.品質保証部門が機能不全を起こしている(402号)。
3.人が固定化され、業務が属人化されている(403号)。
4.収益偏重の経営がされている(404号)。
5.監査が機能していない。
6.工程能力がないのに生産している。
7.管理がされていない。
8.教育がされていない。
1~4は今まで扱いましたので、今回は5番目を紐といてみたいと思
います。

■■ 監査が機能していない ■■
「監査が機能していない」については、以下のような記述がされてい
ます。
-内部監査の内容や密度を決定しておらず、監査部門がリスクに着目
 した監査を行っていなかった。
-品質監査体制が脆弱であった。
-内部監査室による業務監査は、品質不正に十分に対応していなかった。
-具体的なリスクを念頭に置いた実効的な監査(ISO 内部監査,監査
 部の業務監査など)が行われていなかった。
-内部監査は不十分であった。
-内部監査は機能不全になっていた。
-全社的に監視機能が脆弱だった。

■■ 問題を問題として認識できない ■■
「監査が機能していない」という要因の背後には7つの代表的な課題
が書かれていますが、それぞれについて組織は「問題として認識して
いた」のでしょうか?
実は問題が発生して是正処置を取るステップはISO9001:2015 箇条
10.2に規定されていますが、「その不適合の原因を明確にする」とい
うことに関して「問題を問題として認識する」ことができていないと
いう現実があります。本来ならば問題と認識しなければいけないこと
が問題にされず、あとで火を噴くという事が多くみられます。10.2は
「苦情から生じたものを含め、不適合が発生した場合、組織は、次の
ことを行わなければならない。」という要求からスタートしていますが、
品質不正の実態を報告書から読むと、まず問題が発生したという事を
認識することが大変重要です。それは、目の前に起きていることを、
問題として捉えるという問題意識に関する感受性になります。

■■ 問題の認識 ■■
一般的に、問題解決への道筋として,語られているのが次のストーリ
です。
ISO9001も基本的にはこのストーリで構成されています。
■問題の発生(今後発生するかもしれない問題も含めて)
 ↓
状況の把握
 ↓
原因の理解
 ↓
対応策(応急処置、再発防止、未然防止)
しかし、端緒となる■問題はどのように認識するのでしょうか
組織が問題意識を持てない理由はいろいろありますが、最大の理由は
問題の背後要因が深く遠いところにあるからです。組織は個人の集ま
りですから、まず個々人が問題意識を持つことが必要ですが、たとえ
個々人が認識しても組織全体の問題意識にならないと行動に結びつき
ません。しかも個々人の思考形態・行動様式を左右するのはその組織
の運営(マネジメント)スタイルです。
例えば、
-内部監査は不十分であった。
-内部監査は機能不全になっていた。
-全社的に監視機能が脆弱だった。
などについて、誰かが問題だと思っても、組織運営において誰も問題
にしなければ、今すぐに被害が出る直近のことでもないのでスーッと
通り過ぎて行ってしまいます。

品質不正への有効な対策2 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.410 ■□■
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*** 品質不正への有効な対策2 ***
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2023年5月9日に実施された、「JSQC TR 12-001テクニカルレ
ポート品質不正防止」講習会において出された質問についてお話
をさせていただいています。

■■ 品質不正防止講習会 ■■
当日はZOOM開催でしたので、対面での質疑応答は出来ないこ
とからチャットで質問をお受けしました。ここで扱う質問は当日
お答えした回答に加えて、私が追加させていただきたいと思う質
問に限定させていただきます。当日は全部で22件の質問が寄せ
られましたが、その内から3、4の質問を取り扱いたいと思いま
す。

【質問】
品質保証部門の適切な人事ローテーションの周期は3年だと人財
育成が難しいように思えるので、10年くらいなのかなと思いま
すが、どうでしょうか?
(注:このご質問は、品質不正が起きる要因に、品質保証部門が
機能不全を起こしている、及び「人が固定化されている」が上げ
られているからだと思います。)

■■ 人が固定化されている ■■
人の固定化に対して反対の組織行動である人事ローテーションは、
個人と組織を活性化するために無くてはならない仕組みであると
思います。
 ・組織がどのように動いているのかを知ることが出来る。
 ・ジェネラリスト(多くの分野のことを知っている人、万能家)
  を育成することができる。
 ・従業員が自分に得意な分野を探すことが出来る。
 ・広い視野を持てる。
逆に、スペシャリスト(一つの分野に得意な人、専門家)を育成
することは困難になります。
ご質問にあるように、3年では品質保証部門の人(スペシャリス
ト)を育成することは難しいと思われます。10年くらい必要であ
るとのご質問ですが、一旦同意して、次のことを考えてみたいと
思います。

■■ 品質保証部門のお仕事 ■■
それは、品質保証部門にはどんな仕事があるのかという事です。
 ・検査業務
 ・クレーム処理
 ・市場対応(お客さん要望対応)
 ・全社品質保証仕組みづくり
 ・月度品質会議事務局
 ・品質経営事務局
 ・品質データまとめ
 ・是正処置実施とフォロー
 ・初期流動管理
 ・品質保証の日常管理
 ・ISO事務局
 ・TQM事務局
思いつくまま上げてみましたので、名称からは業務の具体的な仕
事内容が分からない、重複があると言われそうです。ここで言い
たいことは、10年という長い歳月と担当する業務との関係性、
すなわちどの範囲をどのくらい深く、能力として身に付けるかの
目標の立て方により在籍年数は変わるという事です。

「人を固定する」とどのようなデメリットがあるのでしょうか、
すなわち、ローテイションをしないとどんなことが心配になるの
でしょうか。
1.総合職(ジェネラリスト)が育たない。
2.社内での人脈が出来ない。
3.全社機能の縦割り度合いが強くなり、串刺し機能が弱くなる。
等が考えられます。

さて質問の背景にある品質不正の要因の一つに「人が固定化され
ている」と不正を起こしやすくなるという事は、上記のデメリット
には上げませんでした。人の固定化は、不正を起こす要因ではなく、
不正を起こす背景に過ぎないと思います。第三者委員会報告書で説
明されている以下のことは、もう一歩掘り下げて真因に近づけてい
くべきであると思います。
-単独かつ固定化した業務体制であった。
-孤立し閉鎖的な職場環境であった。
-縦割り組織になっており、個々の組織は孤立し、属人化し、人
事の固定化が、不適切行為を長期にわたり発覚させない主要な
要因ともなっていた。
-最初に所属した職場に留まる人事制度であった。
-人事が固定化していた。
-人事ローテーションがなく、人間関係が固定化していた。
-同じ者が、長期にわたり品質管理業務を担当していた。
-縦割り文化、個人商店化、業務の属人化が要因になっていた。
(品質保証部門が機能不全を起こしている、は別途扱いたいと思い
ます。)

品質不正への有効な対策1 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.409 ■□■
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*** 品質不正への有効な対策1 ***
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前回お話ししたように、2023年5月9日「JSQC TR 12-001テク
ニカルレポート品質不正防止」講習会が開催されました。当日は、
171名の方が熱心に参加されました。

■■ 品質不正防止講習会 ■■
当日はZOOM開催でしたので、対面での質疑応答は出来ないこと
からチャットで質問をお受けしました。全部で22件の質問が寄せ
られましたが、ここではその内から幾つかの質問に対して平林が
考える回答をご紹介したいと思います。
【質問】
規格(テクニカルレポート品質不正防止)箇条4.1.2には、 第三
者報告書で説明されている再発防止対策について、3組織以上の
報告書に記載されたものを紹介いただいています。表面的な対策
にとどまらず、何故そのような不具合(不正)が行われるように
なったのかにまで踏み込んで対策を考えることが大切との平林様
のコメント、同感です。このTR発行に至る一連の活動の中で3
組織に採用された対策について、第三者報告書に記載された中で
これは特に有効そうな対策だと感じられたものがあれば、ご紹介
頂くこと可能でしょうか。私ども(日本)は戦後の産業界を品質
の面でリードし,デミング賞のバックボーンとなるTQM(TQC)
を長らく発展させてきました。第三者報告書の価値を品質に関わ
る我々がどう理解しておくのかとの話にもなりますが。

■■ 有効な対策は ■■
ここでは、当日私がお答えしたことを補強してお答えしたいと思
います。
【回答】
今回明らかになった不正の特徴の一つは長期にわたっているとい
う事です。一連の不正は箇条4.3図1のように、組織ごと「根の
深さ」が異なります。
一番「根が浅い」のは,適正な製品・サービスの提供がいろいろ
な要因で実現できず、標準(作業標準,技術標準,顧客要求事項
など)から意図的に逸脱している段階です。ここでの有効な対策
は「適正な製品・サービスの提供を阻害している要因を取り除く」
ことです。例えば、設備をメンテ或いは入れ替える、人員を補強
する、力量を見直す、TQM/ISOなどを見直すなどが考えられます。

2番目に根が浅いのは、本来はブレーキを掛けるべき人・部門が
見逃がしていることです。ここで本質的な対策を取らないと根は
どんどん深く成長します。どうして、見て見ない振りをして見逃
すのかを関係者で徹底的に議論し、要因分析をして根本原因を除
去することです。

3番目までくると「根は深い」と言わざるを得ません。組織が消
極的にではあっても品質不正を容認する段階です。そして最も根
が深い4番目は、もはや組織の中で誰もブレーキを掛けずに部門
を超え,または他の製品・サービスにまでまん延している段階で
す。3,4番目は草の根ではありませんが、除草剤などでは根治で
きません。草の周りを掘って根の伸びている土中深くまで穴を掘
り続け、すべての根っ子を取らないとまたいつしか目を出し成長
することになります。

このように有効な対策は不正の拡大状況に依ります。発生(発生
原因)、見逃し(見逃し原因)、容認(容認原因)、まん延(まん
延原因)に区分して要因/原因分析、それに対する対策を考える
ことが基本であると思います。

■■土中深く穴を掘りすべての根っ子を取る ■■
三菱電機の最終報告書(第4報 2022/10月)に記載されている
対策をご紹介します。以下は発生原因への対策にはなりませんが、
見逃し/容認/まん延原因への対策の一つにはなると思われます。
しかも、将来への不正発生の抑制にもなります。

1.フォレンジック手法(Forensics:鑑識捜査)
2016年4月1日から2021年8月15日までに在任していた取締
役及び執行役の電子メールデータ合計3,619,181件についてキー
ワードチェックをした。
2.リニエンシー手法(Leniency:司法取引)
5万人超の全社員へのアンケート用紙に「今回の調査で品質に関
わる不適切な問題を自主的に申告した場合、社内処分の対象にな
りません。逆に後から関与が明らかになった場合は処分の対象に
なります。」と明記したとあります。その結果、2,000件以上の申
告があったと記されています。

再び品質不正について | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.408 ■□■
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*** 再び品質不正について ***
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トヨタ物語から一転して品質不正の話に戻ります。(一社)日本品
質管理学会(JSQC)では、2023年5月9日「JSQC TR 12-001
テクニカルレポート品質不正防止」講習会を開催しました。ZOOM
ミーティングにより行われましたが、171名の参加を得ました。
多分今までの講習会で最大の参加者であったかと思います。

■■ テクニカルレポート作成の趣旨 ■■
私はこのJSQC TR 12-001テクニカルレポートのワーキンググルー
プのリーダーをさせていただきましたので、若干作成にかかわる話
をさせていただきます。
このテクニカルレポートは、2015年から2021年にかけて社会的に
明らかになった品質不正について,製造業を中心に、組織で“なにが
起きているのか”、“どうして起きたのか”、“どうすれば良いのか”を
扱っています。
JSQCは戦後の産業界を品質の面でリードし,デミング賞のバック
ボーンとなるTQM(TQC)を長らく発展させてきました。
次に掲げるのはJSQCがいままでに発行してきた規格です。
JSQC-Std 00-001:2018 品質管理用語
JSQC-Std 11-001:2022 TQMの指針
JSQC-Std 21-001:2015 プロセス保証の指針
JSQC-Std 22-001:2019 新製品・新サービス開発管理の指針
JSQC-Std 31-001:2015 小集団改善活動の指針
JSQC-Std 32-001:2013 日常管理の指針
JSQC-Std 33-001:2016 方針管理の指針
JSQC-Std 41-001:2017 品質管理教育の指針
JSQC-Std 89-001:2016 公的統計調査のプロセス-指針と要求事項
その多くはJISに採用され、日本産業界の製品・サービスの品質保
証に貢献してきました。今回のTR 12-001 「テクニカルレポート
品質不正防止」は、この延長にある技術情報としての規格です(TR
も広義の意味では規格)。

■■ 改めて品質不正とは ■■
製品・サービスを顧客に提供するに際に,標準,契約,法令等から逸
脱した人の意図的な行為によって引き起こされた事象を「品質不正」
と言っています。品質保証の観点から容認できない事象の多くは、
組織内からではなく組織の外、例えば規制機関の立ち入り調査、他
社事例からのチェックなどにより発見され、マスコミにより報道さ
れるというケースがほとんどです。残念ながら組織の内部で発見さ
れることなく、組織の自律性が見られないのが品質不正の特長です。
品質不正の原因や対策については,多くの議論がなされていますが,
本テクニカルレポートは,このような社会の状況を踏まえ,品質不
正の防止に役立つと考えられる技術情報をまとめたものです。今回
の「テクニカルレポート(TR)」は 規格(JSQC-Std)」と異なり、
「諸般の理由から,規格にすることは困難であるが,技術的報告書
として提示することにより,多くの関係者の便益が期待できると考
えられるもの」という範疇に入るものです。本テクニカルレポート
に記されているのも,要求事項や推奨事項ではなく,関係者が当該
の問題に取り組むに当たって考慮するとよい情報という位置づけに
なっています。

■■ テクニカルレポート作成のステップ ■■
テクニカルレポート(TR)は次のようなステップで作られました。
1. 開発の決定
2020年11月の標準委員会で,「TQMの指針」と合わせて「テク
ニカルレポート 品質不正防止」開発の決定がなされた。
2.原案作成委員会(WG)
9名専門家と平林のリーダー10名によるWGにより,精力的な検
討が行われた。2021年4月から2022年8月にかけ,Web会議シ
ステムを活用し原案完成までの計18回の会合が開催された。
3.審議委員会
2022年9月「日常管理の指針」原案が完成し,様々な産業分野の
代表と品質管理の専門家からなる審議委員会が結成された。審議委
員会は合計3回の開催となった。
4.パブリックコメントの募集と対応
2022年10月25日~11月27日の期間でパブリックコメント募集
を行い,73件と多くのコメントをいただいた。原案作成WGおよ
び審議委員会でいただいたコメントに対する処置を検討し,最終原
案が作成された。
5.理事会での承認
2023年1月11日のJSQC標準委員会においてコメントへの対応、
様式を確認し,2023年1月26日のJSQC理事会に制定を提案,承
認された。

本規格の作成に当たっては,(一財)日本規格協会,(株)日科技連出
版社,および丸善出版(株)から引用文献にご協力いただきました。
また,多くの方々にパブリックコメントを通して貴重なご意見を頂戴
いたしました。