Category Archives: つなげるツボ

ナラティブ内部監査18 | 平林良人の『つなげるツボ』

—————————————————————
■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.314 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査18 ***
—————————————————————
監査員と被監査者の間で共有基盤を作るためには、個人が自立し
個立することが大切だとお話ししました。お互いが自立するとい
うことは、働く目的を明確にして自分の意思に基づいて働くこと、
がポイントになります。しかし、監査員と被監査者はそれぞれ異
なる目的をもって組織で働いているかもしれません。いや、むし
ろ同じ目的を待って働いているということはまずないでしょう。
同じ組織の中でそれぞれ異なる目的をもって働いているというこ
とを、組織はよく認識しそれにこたえる柔軟な考え、体制を持つ
必要があります。

■□■ あなたはなにがしたいですか ■□■
組織で働く人に、次の問いかけをしたとします。
 (1)あなたはなにが得意ですか。
 (2)あなたはなにがしたいのですか。
 (3)あなたはなにをしているときがうれしいですか。
急にこのような質問をされて、直ぐに答えられる人は余りいない
でしょう。
実はこの問いは、イギリスの小学校で問われている質問です。小
学校高学年では、先生があなたは何になりたいですか?と生徒に
聞くのだそうです。生徒がテレビキャスターになりたいと答える
と、その為にはどんな勉強をしなければならないですか?と聞き、
将来の自分のやりたいことを自覚させる教育をしているのだそう
です。

日本では、大学生にこの問いかけをしても答えられる人は5%以
下であったという調査があります。会社に入る前に,これら3つ
の問いに答えられる人は,日頃問題意識を持っている少数の人だ
けなのです。だとすれば,大半の人は,会社に入った後も,これ
ら3つの問いの答えを探しています。その意味では,会社(仕事
によっては,役所,協会、病院、事務所など)は,人が学校を出
た後も,生涯にわたって自分のしたい仕事を発見する舞台を提供
しているとも言えます。

■□■ なにがしたいか発見する ■□■
人の自我※については、その発見、理解する過程について諸々の
説がありますが、おおむね20~30歳代で完成、しかし30代,40
代あるいは50代になっても続くという説が我々には体験上説得力
があります。生涯にわたる自我発見過程の舞台は,会社以外にも,
趣味の集い,コミュニティ,家族などの場にもあるでしょう。し
かし,会社が資源の提供に対して報酬で応えるという構造を持っ
ているかぎりは,より重要な舞台として会社を活用すべきです。
人生100年時代に入って、現役で働いている人たちが、50,60歳
になっても「本当にやりたいことは?」を追い求めることは人生
を豊かにする秘訣だと思います。
※ 自我
他人や外界と区別された認識、行為の主体であり、しかも体験内
容が変化しても同一性を持続して、作用、反応、体験、思考、意
欲の働きをする意識の統一体。(出典コトバンク)

■□■ やりたいことの一つが価値創造 ■□■
個人が自立し個立すれば、他人に遠慮することなくそれこそ忖度
することなく自由にふるまい、自由に活動することが出来るよう
になりますが、組織という舞台にいる限りはその自由には当然限
界があります。自由にふるまえない限界は、コンプライアンス違
反と反事業方針の2つくらいだと思います。この2つのことを超
えなければ組織においての行動は何ら咎められることはないと思
います。組織によってはその組織固有のノルマ的限界を定めてい
るところもありますが、一般論としては自分でやりたいことを行
うことが最も生きがいを感じることになります。やりたいことが
価値創造につながるものであればなお更のことです。

■□■ 改善は価値創造の一つ ■□■
ナラティブ内部監査が目的としている「改善」は、組織のおける
価値創造そのものです。改善を実現するための要諦は次の通りで
す。
 ・何が問題かを明確にする。
 ・その問題の背景を理解する。
 ・今までの経過を調べる。
 ・問題の要因を推測する。
 ・問題の解決方法を考える。
 ・問題が解決したらどんな価値創造になるか推定する。
 ・誰が問題を解決できるかを考える。
 ・問題解決に必要な人に相談する。
 ・問題解決のための資源を用意する、など。

ナラティブ内部監査17 | 平林良人の『つなげるツボ』

—————————————————————
■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.313 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査17 ***
—————————————————————
およそ20年も前の話です。大学時代の友人の紹介で出会ったY先生
から「個立」という言葉を教えていただきました。Y先生とは、テク
ノファでキャリアカウンセリングの養成講座を行いたいと思っていた
時に出会った横山哲夫さんのことです。新しい養成講座にチャレンジ
しようと思ったのは、当時ISO9001の養成講座には「心が入っていな
い」と感じたからです。品質管理には人の心は無縁だと当時は大きな
誤解をしていました。

■□■ 個立している人 ■□■
英国工場での全従業員参加のクリスマスパーティが終わりました。パー
ティは成功裏に終わりましたが、事後の会計で事件が起こりました。
予定をしていた人数の倍の人が参加していて、アルコール、料理が大幅
に追加され、200万円くらいの予算が実際は500万円くらいかかってい
ることが判明したのです。
なぜ予定していた倍もの人が来たのかがわかりました。家族を持ってい
る従業員の夫、妻、子供の数は当初から人数に数えていたのですが、前
の家族、及び前の恋人(元カレ、元彼女)など複数以上のグループが予
約なしで参加していたのです。
ここから見えてきたのは、個人を中心とした英国社会の様相です。自分
のやりたいことを中心に生活設計する、自分と合わないと判った伴侶と
は躊躇なく別れる、しかし喧嘩して別れたのではないので、その後も家
族同士で付き合う、そんな社会の一面が自立の側面を表しています。

この事件は私に「自立」ということを強く意識させました。このことを
きっかけに、私は本社の事業部長に談判をしました。それは英国工場の
人事は現地責任者である自分に任せてほしいというものでした。
当時工場管理職の人事には本社事業部の意向が強く影響していたのです
が、自立をしたかった私としてはそれを煙たいと感じており、日本サイ
ドの意向を排除したかったのです。

■□■ やりたいことをやる ■□■
事業部長への談判の内容は、英国現地の人事には適材適所という考えを
通したいという考えについてでした。この事件があるまでは遠慮して言
えなかったのですが、英国人の自立の精神に触れて、言いたいことを言
おうと決心しました。
人間は自分がやりたい仕事をやるときには自分の能力を存分に発揮しま
す。場合によっては、自分が持っている以上の力を発揮することもあり
ます。自分がやりたくない仕事をやらされるときには自分の能力を十分
に発揮しようという気になりません。
適材適所を実現させるには、部下と「自分はどういう仕事をしたいのか、
なぜそれをしたいのか。そうすることで、会社にはどういうメリットが
あるか」を話し合う必要があります。
そうすることによって、1人ひとりにとっての仕事の大切さが明確にな
り、主体的で自立的な人材になっていきます。当時の私は、「やりたい
人でかつできる人に、その仕事をしてもらうこと」、つまり真の適材適
所を実践する組織を英国に作りたいと思っていたのです。

■□■ やりたくないこともやる ■□■
組織では、やりたくない人にやってもらわなければない場合や、できな
い人にできるようになってもらわなければならない場合があります。
このような場合に重要なことは話し合いです。上司は部下の話をきちん
と聴くことができなければなりません。相手の考えや気持ちをきちんと
受けとめることができ、相手のことをきちんと理解することができなけ
ればなりません。「聴く」という字は、「耳へん」に+(プラス)され
た「目」が「心」により支えられている構造を持っています。ただ、目
は横に寝ていますが・・・。
すなわち、耳と目と心の3器官で精魂かけて受け止める行為を「聴く
(listen)」というのです。一方「聞く(hear)」は耳に音が入ってくる
ことをいいます。鳥のさえずりが聞こえてくる、隣家からピアノの練習
音が聞こえてくるといった時に使います。

■□■ 傾聴 ■□■
「聴く」ということは大変エネルギーを要する行為です。人の話には「事
実」「要望」「感情」が混然一体になっているそうですが、その状態をと
ぎほぐし、何が事実で、何が言いたいこと(要望)で、どこに怒っている
こと/どこに悲しんでいることが潜んでいるのか、などを聞き分けることが
大切です。しかし、話の中から混然一体になっているものを聴き分けるに
はある程度の訓練が必要になります。
この訓練のことを傾聴トレーニングといい、その中にある「勘コツ」を傾
聴スキルといいます。
話し合いにおいては、本人に対する組織の期待やマネジメント方針などを
きちんと伝えることができなければなりません。話し合いの時に求められ
るコミュニケーション能力において、まず重要なことが傾聴です。上司が
部下の意図を何ら考慮せず、ただひたすら一方的にしゃべることはご法度
なことです。

ナラティブ内部監査16 | 平林良人の『つなげるツボ』

—————————————————————
■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.312 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査16 ***
—————————————————————
ナラティブ内部監査実践のための5ステップについて話を進め
ています。
・第1ステップ : 今行っている内部監査をレビューする。
・第2ステップ : どのような内部監査を行いたいか、行うべ
         きかを組織内でコンセンサスを得る。
・第3ステップ : 内部監査員、被監査者の共同作業の基盤を
         作る。
・第4ステップ : 発見された課題(不適合、観察事項、気づ
         き事項)などを問題解決する。
・第5ステップ : 問題解決したことを水平展開、歯止めして
         改善する。さらに、改善したことを革新へ
         のインプットにする。
前回、第2ステップについて話をさせていただきました。

■□■第3ステップ:内部監査員、被監査者の共同作業
                    の基盤を作る■□■
ナラティブ内部監査実践のための5ステップの3番目です。テク
ノファではキャリアコンサルタント養成講座を16年間開催して
います。このキャリアコンサルタント養成講座には内部監査員と
被監査者との間の共同作業基盤を作るヒントがたくさん含まれて
います。
1.コミュニケーション
2.自己理解
3.他者理解
4.よく聴く
5.よく伝える(アサーション)
6.個人と組織の共生

1. コミュニケーションから説明しようと思いましたが、いざ書
こうと思いましたら、私たちはどうして今の組織で働いているの
か、という根源的な問題に引っ掛かりました。
今の組織で働いているというのは一つの結果です。品質管理的に
言うと結果には要因があります。なぜ、今の組織で働いているの
かを考えだすととてつもなく多くの要因が出てくる人もいれば、
あまり要因というほどのものはないという人もいるでしょう。
「内部監査員、被監査者の共同作業の基盤を作る」というお題の
副題に1~6を掲げましたが、そんなことから「6.個人と組織
の共生」から話を進めたいと思うようになりました。

■□■ 個人が個立する ■□■
およそ20年も前の話です。大学時代の友人の紹介で出会った
Y先生から「個立」という言葉を教えていただきました。テクノ
ファでキャリアカウンセリングの養成講座を行いたいと思ってい
た時に出会った指導者の方からです。新しい養成講座にチャレン
ジしようと思ったのは、ISO9001の養成講座には「心が入ってい
ない」と感じたからです。品質管理に人の心は無縁だと当時は大
きな誤解をしていたのです(今は大きく自省していますが)。
その時の研究会でY先生が「個立」と板書され、「孤立」じゃあ
りませんよ、と付け加えられました。個人としての精神的自立、
なるほど、これは明快でいいと思いました。 この言葉をISO9001
審査員養成講座の中に持ち込み組織のマネジメントシステム、内
部監査の場に活用させて頂こうと思いました。
組織にいる個人が「個立」する、これは私が25年サラリーマン
生活を送ってきた時からのテーマでした。

■□■ 人間が好き ■□■
自分自身は格別強烈な自我と自立心を持ち合わせているわけでは
ありません。とりわけユニークで多彩な個性に恵まれているとも
思えません。にもかかわらず、組織にいる個人の個立をテーマと
して、ずうっと心に持ち続けてきたのはなぜだろうか、不思議な
気がします。
思うに、私は人間が好きで人間の成長力を信じているためではな
いだろうか、一人ひとりの人間の異なったよさ、一人ひとりが多
様に自己実現を目指す姿に、深い感動を誘われるからだと最近思
い当たるようになりました。であるから、人間がそうなっていな
い状態、つまり、一様に画一的に扱われていたり、画一的に扱わ
れることに甘んじていたりする状態をみると、ひどく残念にとき
にひどく怒りたくなります。

■□■ 事業部長に直訴 ■□■
そんな自分が30年以上も前に当時の事業部長に何かしなければ
いられなくなり、直訴をした事件(私的には事件)がありました。

当時自分はイギリスの子会社で工場長をしていましたが、現地の
人の処遇を巡って事業部長に談判をしたのです。
1987年工場開設の初年度ですが、毎年12月にはクリスマスパー
ティを会社主催で行うことが現地(北イングランド)の風習であ
ると人事部長から言われ、当時の200人従業員とのパーティを実
施しました。
パーティは成功裏に終わりましたが、事後の会計で事件が起こり
ました。
予定をしていた人数の倍の人が参加していて、アルコール、料理
が大幅に追加され、200万円くらいの予算が実際は500万円く
らいかかっていることが判明したのです。

このことがなぜ「個立」に関係してくるのかは次号にお話しさせ
ていただきます。

ナラティブ内部監査15 | 平林良人の『つなげるツボ』

—————————————————————
■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.311 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ― 
*** ナラティブ内部監査15 ***
—————————————————————
ナラティブ内部監査を実践するには次の2つがポイントになります。
その1つは、内部監査員と被監査者とが良い関係になること、すな
わち相互理解とコミュニケーションが重要なポイントです。
2つ目は問題解決ですが、まず何が問題かを見抜く力が必要で、次
には要因を分析して、適切に課題を解決する力が必要になります。
この2つのことを念頭に置いてナラティブ内部監査実践のための5
ステップを実践することをお勧めします。

■□■ 第2ステップ : どのような内部監査を行いたいか、
行うべきかを組織内でコンセンサスを得る ■□■
ナラティブ内部監査実践のための5ステップの中でキーとなる重要な
ステップです。この第2ステップが成功裏にいけばナラティブ内部監
査実践の道は大きく開けると言ってよいでしょう。
ナラティブ内部監査と称していますが、内部監査の本質は今までと変
わりません。あくまでも方法論を模索した結果の工夫がナラティブ内
部監査です。内部監査の目的を達成するための活動がナラティブ内部
監査です。しかし、この本来やるべき活動は、いままでいつも先送り
されて来てしまっています。
「活動」を工夫しようと思ったら、まずは活動を吟味しなければなり
ません。活動は目的地へ行くための乗り物ですから、乗り物に行先を
明確に伝えなければなりません。ここで言う行先とは目的地を意味し
ますから、内部監査では何が目的かをはっきりさせるべきです。「ど
のような内部監査を行いたいか、行うべきかを組織内でコンセンサス
を得る」とは内部監査の目的の明確化を意味しています。

■□■ どのような内部監査を行いたいか ■□■
ここまで、お読みになっていただいている読者の皆様は、すでにナラ
ティブ内部監査実践の目的は十分に理解されていると思います。第2
ステップの課題は、この「十分に理解していることを組織全体のコン
センサスにする」ことの方法です。
第1に思いつくのはトップが理解して、組織全体に内部監査の重要性
を指揮し支援をすることです。ISO9001箇条5.1 h) にもトップへの要
求として「h) 品質マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々
を積極的に参加させ,指揮し,支援する。」とされています。
しかし、現実には組織のトップが内部監査の目的を理解するには多く
の障壁があります。この障壁を乗り越えてトップに内部監査の重要性
を説明して理解を得られたという話もありますが、多くの例はその反
対だったと聞きます。

第2の考えは「自分たちで事例を作ろう」というものです。世の中の
動きをみていますと、トップダウンで成功した例とボトムアップで成
功した例の2つがあります。第1の考えはトップダウンですが、第2
で展開したい考えはボトムアップです。

■□■ ボトムアップとはどんな活動? ■□■
文字通り下(ボトム)から上(アップ)にという動きの活動です。物
事で力があるのは実績であって、理屈はその裏付けでしかありません。
反対に力のないものは理屈であって、力を得るには事例、実績という
裏付けが必要です。
組織全体が内部監査の重要性の理解は、実行した結果の効果しだいで
あると言ってよいでしょう。
ナラティブ内部監査を実施してみて、組織パフォーマンス向上への効
果が見られれば、組織の(内部監査の目的についての)コンセンサス
への障壁は大変低いものになります。
内部監査に関与している人が一番内部監査のメリット、デメリットを
知っているわけですから躊躇せずに「隗(かい)より始めよ※」とば
かり、早速実行してみることをお勧めします。
※ 《中国の戦国時代の格言》
隗(かい)という王様に使えている家来が王様から「世の中の賢者の
求め方」を問われて、賢者を招きたければ、まず凡庸な私を重く用い
よ、そうすれば自分よりすぐれた人物が自然に集まってくる、と答え
た。
新しいことをするには、まず身近なことから始めよ。物事は言い出し
た者から始めよという意味である。

ナラティブ内部監査14 | 平林良人の『つなげるツボ』

—————————————————————
■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.310 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ― 
*** ナラティブ内部監査14 ***
—————————————————————
ナラティブ内部監査を実践するには次の2つがポイントになります。その
1つは、内部監査員と被監査者とが良い関係になること、すなわち相互理
解とコミュニケーション(ラポール)が重要なポイントです。
2つ目は問題解決ですが、まず「何が問題か」を見抜く力が必要で、次に
要因を分析して、適切に課題を解決する力が必要になります。この2つの
ことを念頭に置いてナラティブ内部監査実践のための5ステップを実践す
ることをお勧めします。

■□■ ナラティブ内部監査実践のための5ステップ ■□■
ナラティブ内部監査実践のための5ステップは次のとおりです。
・第1ステップ :今行っている内部監査をレビューする。
・第2ステップ :どのような内部監査を行いたいか、行うべきかを組織
        内でコンセンサスを得る。
・第3ステップ :内部監査員、被監査者の共同作業の基盤を作る。
・第4ステップ :発見された課題(不適合、観察事項、気づき事項)
        などを問題解決する。
・第5ステップ :問題解決したことを水平展開、歯止めして改善する。
        さらに、改善したことを革新へのインプットにする。

■□■ 第1ステップ:今行っている内部監査をレビューする ■□■
文字どおりいま行っている内部監査について見直しを行います。
見直しのポイントは次の通りです。
(1).過去3年くらいの内部監査の記録を確認する。
(2).過去3年間に発見された不適合、観察事項、気づき事項などの
  フォローアップの状態を調べる。
(3).過去3年の内部監査のフォローアップの結果から、内部監査が
  組織パフォーマンスに与えた影響を把握する。
(4).内部監査責任者は内部監査が組織パフォーマンスに与えた影響
  を評価し、今後のアクションを考える。

■□■ 内部監査が組織パフォーマンスに与えた影響 ■□■
第1ステップの(3)について説明します。内部監査の目的は2つあります。
共通テキスト(附属書SL)9.2内部監査に関しての次の要求事項があり
ます。

「a)次の事項に適合している。
 -XXXマネジメントシステムに関して,組織自体が規定した要求事項
 -この規格の要求事項
 b)有効に実施され,維持されている。」

ナラティブ内部監査ではこれまで何回も述べてきたように、「b) 有効に
実施され,維持されている」ことを目的にしています。
上述の(3)で確認したいことは、有効に実施され,維持されている結果、
すなわち組織のパフォーマンスに効果的な影響を与えたかどうかという
ことです。
もし組織パフォーマンスに効果的な影響を与えたとするならば、
(4)「内部監査責任者は内部監査が組織パフォーマンスに与えた影響を
評価し、今後のアクションを考える。」ことに進みます。

ここまで、ナラティブ内部監査実施の「第1ステップ : 今行って
いる内部監査をレビューする。」について説明しました。
次回は「第2ステップ:どのような内部監査を行いたいか、行うべき
かを組織内でコンセンサスを得る。」についてお話をしたいと思います。