Category Archives: つなげるツボ

ナラティブ内部監査13 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.309 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ― 
*** ナラティブ内部監査13 ***
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ナラティブ内部監査のポイントは次の2つです。
(1)内部監査員と被監査者の共同作業 (2)問題解決 の2つです。
書けば簡単ですが、この2つをクリアすることは大変なことです。
前回ディスコース(discourse)という言葉を紹介しましたが、組
織の中には「当たり前」という組織内世論があります。それを克
服しなければならないので、長期的な戦略が必要になると思います。

■□■ 内部監査のマンネリ化 ■□■
内部監査のマンネリ化については、10年以上前からいろいろなと
ころから相談を受けてきました。「永らく」有効的な内部監査を
しましょうと呼びかけてきましたが、ではどのようにやるのかと
いう段になると具体的な提案ができないまま10年が経ってしま
いました。
そうはいってもいくつも提案をしてはきました。まず10年前に
提案したことはISO規格の箇条に基づいた監査から自社の標準に
基づいた内部監査に変えましょう、ということでした。しかし、
その前提となる自社の標準にISO要求事項を組み込む、というこ
とになるとそれをクリアできる組織が少ないという課題にぶつか
りました。
そのことを言い続けてすぐに5年が経ってしまいました。ここで
も書けば簡単ですが、自社の標準にISO要求事項を組み込むこと
の難しさを思い知らされました。

■□■ 内部監査の概念は変わらない ■□■
組織で内部監査が始まったのは1994,5年頃からです。そのきっ
かけはISOマネジメントシステムに内部監査の要求事項があるか
らでした。当時誰も内部監査のやり方を知らなかったので、テク
ノファでは今の内部監査の原型を1993年に坂本、平林の2人講
師で2日間コースとして始めました。以来30年近く経ちますが基
本的なやり方は変わっていないと思います。なぜならば、内部監
査の概念は一貫して変わっていないからです。組織では毎年内部
監査を改善したいと思っていますが、とても内部監査のやり方を
考え、改善するという時間が取れないというのが組織の実情のよ
うです。内部監査を専任業務で行うという配置をほとんどの組織
で取っていない現状を見ると、これは致し方ないと思います。

■□■ 認証審査は毎年やってくる ■□■
内部監査の専任制がほとんどの組織で取られていないことから、
内部監査を改善したいが時間的余裕がない、というのは偽らざる
ところだと思います。そうこうしているうちに、認証審査はまた
すぐそこに来ます。
更新審査の実施に間に合わせるには、社内標準に基づくよりISO
規格に基づいた方が早い、実務的である、ということで私が提案
したことは残念ながら中途半端で終わってしまったという組織が
多いと思います。組織でISOを担当する方も世代交代するので、
長期的にマンネリを打破する改善、そのための戦略を維持するこ
とが難しい、ということも一つの要因になっています。

■□■ この反省から何が言える ■□■
この10年の反省からいえることは、頭で考え、理屈を唱えても
事態は進まないということでした。会社における行動変異には理
屈が必要ですが、理屈だけで組織は動かないということです。故
に正解は、「まずは実行してみる」ということになります。正攻
法で行くならば、組織のトップに有効性監査の説明し、組織とし
て新しい内部監査の実施についてコンセンサスを取る、そして実
行するということですが、多くの組織の今までの挫折を見るにつ
けこの正攻法は実践的ではありません。数少ない例外(トップが
有効性監査のリーダーシップをとる)を除いては、まさしく頭で
考えた机上の空論では事態を切り開くことはできないと言わざる
を得ません。
したがって、まず実践するにはどうすればいいのかということに
なります。

■□■ ナラティブ内部監査で行うこと ■□■
ナラティブ内部監査行うことを提案します。まず、内部監査員は
被監査者と仲良くなってください。仲良くなるとは俗な言い方で
すが、仕事をしている人の目で見て、仕事をしている人の頭で考
えるようにしていくと良いと思います。と同時に少し離れて客観
的に見てください。
そのためのポイントは次の通りです。
 ・よく聞く
 ・よく見る
 ・よく交換する
 ・よく考える
 ・一緒に評価する
 ・一緒に分析する
 ・一緒に物語る
 ・一緒に意見を言う
 ・一緒に検討する

ナラティブ内部監査12 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.308 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ― 
*** ナラティブ内部監査12 ***
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前回、ディスコース(discourse)という言葉を紹介し、ディス
コースの日本語訳として「言葉による思想の伝達」をお伝えしま
した。東北大震災の時にいろいろなことが伝達されたという事例
を説明させていただきました。しかし、ディスコースとは何かよ
く分からないという声がありましたので、さらに実務的な意味、
使い方を紹介したいと思います。

■□■ ディスコース実際編 ■□■
臨床心理士である国重浩一氏の「ナラティブ・セラピーの会話術」
(金子書房)には次の一説があります。
「血液型によって性格が判断できるということは、日本以外の国
ではあまり信じられていません。血液型が性格を決める要因であ
るとみなすのが「本当」であれば、他の国の人たちが間違ってい
ることになります。この真偽はどうなっているのでしょうか?
このような時に社会的な解釈は、どこにも「真実」はないとします。
ただ、その時の社会に存在する一連の意味付け、表象、イメージ、
ストーリー、声明文などが私たちにある特定の理解をするように
もたらすのです。

血液型について、大変多くのストーリーが語られており。それを
説明するためのテキストも相当量存在します。また、社会的に「人
の性格を血液型で判断すること」が許容されているので、非科学
的なことを話す人と見下されることはありません。そのような理
解が当然とされているのです。筆者はあまり信じないようにして
いますが、時に、あまりにも見事な実例だと思わされる場面に遭
遇すると、なるほどと思ってしまうことがあります。
このとき、これは日本における「血液型におけるディスコース
なのだという表現をすることができます。このディスコースは、
あたかもそれが真実であるかのように、私たちに迫ってきます、
時には人間関係やカップルの人間関係の行く先まで予言します。
そして、実際にうまくいかなかったときなど、それを主たる原因
とみなすこともできます。」

この日本における血液型で性格を判断するという「通説」をディ
スコースといいます。

■□■ ディスコースとは世間体 ■□■
国重氏の説明からディスコースとは真実、論証、証明などとは関
係なく社会で広く信じられている言説をいうようです。内部監査
は認証審査のための記録作りであるという言説もディスコースと
いってよいようです。内部監査は監査の1種類です。監査は利害
を持つ人が自分の立場から相手の状況を調査する方法です。国税
調査はその代表的なものですが、小企業でも地元の税務署から時々
監査を受けることがあります。
ISOマネジメントシステム監査は税務監査に比較すれば、その厳
しさは相当の違いがありますが、何かの基準をもってその基準通
りに仕事を行っているかを確認するという本質は何ら変わりあり
ません。

■□■ 内部監査のディスコース ■□■
内部監査の目的をどこに置くのかによって活動の中身は変化します。
組織が内部監査をどんな目的で行おうとするかは組織の決定ですの
で、実施の仕方もおのずから変わってきます。
ナラティブ内部監査はその目的を組織のパフォーマンス向上に置い
ていますが、ある組織にとっては従来もパフォーマンス向上を目的
において内部監査を実施してきたとすると、ディスコースはそのま
ま同じであるということになります。しかし、ある組織にとっては
少し変わるかもしれません。この場合従来の内部監査しだいですが、
もし認証審査のために実施していたとすると、内部監査のディスコ
ースは「認証審査のための記録作り」ということになります。
この「認証審査のための記録作り」というディスコースを一度考え
直してみたいという視点が心療内科などで活用しているナラティブ
セラピーにおける応用ということになります。

■□■ ディスコースに反することは難しい ■□■
再び国重氏の著書からです。
「ディスコースが、ものごとの理解の仕方や考え方に影響を及ぼし
ているという側面を見てきましたが、もう一歩踏み込んで私たちの
行動にさえも影響を及ぼしているとみなしていきます。社会にある
特定の考え方(ディスコース)が存在するとき、私たちがそのディ
スコースに反して行動することは難しくなります。ディスコースの
中にも、少数派的な存在感しか示さないものもありますが、圧倒的
な存在感を示すものがあります。この、世の中に強力にはびこって
いる存在であるディスコースを「支配的なディスコース」と呼びま
す。このような存在感のあるディスコースが言わんとしていること
に反して行動することは、私たちはたいへん難しく感じられます。」
支配的ディスコースは世の中で当たり前と思われていることなので、
それに反した行動をとることは抵抗が大きいのでなかなかできな
いことである、と著者は言っています。

ナラティブ内部監査11 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.307 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査11 ***
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我々は日常生活で当たり前と思っていることが多くあります。
しかし、あることについて見方を変えると、今まで「当たり前と
思っていたこと」が違って見えることをいろいろな場面で経験し
ています。例えば、景色がそうです。正面から見ていると一枚の
絵としか見えないものが、横から見ると隠されていたものが見え
ます。角度を変えて見ると従来と異なった景色が見えてくるとい
うことはよくあります。

■□■ 高層建物の30階から地上をみる ■□■
例えば、高層建物30階から走っている地上の車の車種は判別
できません。1階から見たら同じ地上を走っている車の車種はわ
かるでしょう。車種どころか車の中にいる人まで見えるかもしれ
ません。
京都にある三十三間堂を正面から見ても普通の神社の構えにしか
見えませんが、横に回ってみると33間もある長い回廊に驚くか
もしれません。
あまり通い慣れない道ですと、行った時の風景と帰りの風景が随
分異なることに驚くことがあります。
ナラティブと関係する言葉にディスコース (discourse)という言
葉があります。辞書には「言葉による思想の伝達」とありますが、
いろいろな考えがあることを言い表しています。見方が変わると
は、いわゆる通説という社会的に当たり前だと思っていることが
異なって見える考えを言います。

■□■ ディスコース ■□■

清宮徹(西南学院大学)氏は「ディスコース的視座と組織化」で
2011年の東日本大震災時の経験を次のように語っています。

「東日本大震災の被災地の一つ、南三陸町に、年に2-3回ほど赴き、
現地の人々との多様な対話を通して得られたコミュニティーの語り
を研究している。
南三陸町の被災から復興へのディスコースを観察することが可能と
なった。
地域の人々とのコミットメントをより深めることで、多様なディス
コース
が織りなす被災地の社会的現実を垣間見ることができた。筆
者はデータを取りに行くという意識より、仮設住宅のご老人と語る、
現地のコミュニティー・リーダーと語る、商店街の人々の話を聞く、
被災地が復興に向かっていく応援団の一人として、新しいコミュニ
ティーの再生に手助けしたいという姿勢であった。家族や友人を失
い、当たり前だった日常の機能をすべて失い、人々はどのようにコ
ミュニティーを再生するか、応援すると同時に、私たちが学ぶべき
ことがたくさんあると確信していた。
そして被災地の語りはまさに、多声的ディスコースのダイナミクス
であり、言説が言説を生み出す人々の語りから現実が作り出されて
いた。」

■□■ ディスコースのオルタナティブ ■□■
内部監査にも先輩から語り繋がれた思想?の伝達があります。東北
大震災の前の南三陸町に震災前にあったディスコースと同じように、
内部監査にも今までのディスコースがどの組織にもあります。

清宮氏の話を続けます。
「これまでの訪問で理解したことは、南三陸町の復興を支えるコミュ
ニティー・リーダーたちの献身的な働きであった。これは地域の「内
的ボランティア行為」といえ、復興の大きな原動力となっている。
人々のディスコースは、被災直後は「喪失」のディスコースであった。
同時に、被災地に駆けつける外部ボランティアや日本社会が発信す
る絆または連帯のディスコースである。被災地の語りでもう一つ顕
著なのは、「感謝」の語りである。これが「復興」のディスコースに連
動している。もちろん今でも被災地の中には「喪失」のディスコース
は消えていない。しかし、外部ボランティアを中心とした「絆・連帯」
という語りは、それに対する「感謝」のディスコースとともに、復興
の語りを支え、コミュニティー・レジリアンスを推進している。これ
らの語りは明らかに相互言説的である。「悲しんでいるだけじゃだめ
だ」、「みんなのために復興市を開こう」、「みんなが応援してくれ
るから、やらなくては」など、相互言説的な語りのダイナミクスは、
人々がコミュニティー内部から生み出す復興の力となっていること
が理解できる。」

■□■ 内部監査を変えることは難しい ■□■
20年間(例えば)行ってきたことを変えようとすることは難しいこ
とです。内部監査のディスコースをこの機会に異なるディスコース
に変えていきましょう。
・内部監査がマンネリ化してきている。
・有効な内部監査をさらに追求したい。
・内部監査で何らかの具体的成果を出したい。
・内部監査が組織のパフォーマンス向上に寄与するようにしたい。

このような思いを実現させることを皆で考えていくことが組織のパ
フォーマンスを向上させる原動力になると思います。

ナラティブ内部監査10 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.306 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査10 ***
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ナラティブとは「語り口」のことですが、語ることが変われば生み
出される物語は違ったものになります。ナラティブは今まで「当た
り前と思っていたこと」を「そうではない」と考えることが一つの
特長です。しかし、従来慣れ親しんできた当たり前のことを変える
ことは相当に難しいことです。しかも周りの人々も、今までと違っ
たことを行おうとするとそれなりに抵抗も大きいでしょう。しかし、
内部監査を変えたいと思っている人にはこのメルマガシリーズは参
考になると思います。

■□■ サービス・ドミナント・ロジックス ■□■
最近 サービス・ドミナント・ロジックスという顧客価値を探索す
る理論がマーケティング分野で研究されています。私も最近聞いた
ばかりですが、サービス・ドミナント・ロジックスの神髄は「プロ
セスとナラティブ」にあるとある講師が言っておりました。今まで
とは異なった視点で顧客の潜在ニーズを掘り起こそうという理論の
ようです。

前にも話しましたが「ガンダムNT」は、ガンダムナラティブのこ
とであるとある方から教えられました。これもガンダム伝説の新し
い物語を意味していると思います。
ナラティブセラピーは心理療法として有名です。これもいままで
「当たり前」と思ってきたことを、見方を変えることで異なった世
界が見えて悩んでたことが解消される手法であると聞いています。
コロナ後の世界をどのように見るのかの議論においても時々ナラテ
ィブという用語が出てきます。NHKBS番組での議論を聴いていて
感じたことは、前後のコンテックス(文脈)から、今まで当たり前
と思っていたことを変えなければならないという意味で使われてい
ました。

■□■ 見方を変える ■□■
「見方を変えること」はいろいろなところで説明されていますが、
人は簡単には見方を変えられません。見方を変えるには、私たちが
いままで「当たり前」と思っていたことから離れなければならない
からです。
よく聞く話ですが、コップに半分の水が入っているが、もう半分し
かないと見るか、まだ半分もあると見るかでその後の行動が変わる
といいます。本当でしょうか?理屈としては本当で面白い話ですが、
いままで「半分しかない」と思って暮らしてきた人が自分の頭の中
を「まだ半分もある」と切り替えることは至難の業です。

山登りの例も良く出されます。もう半分も登ったとみるか、まだ半
分もあるとみるかで気持ちの持ち方がずいぶん変わるという話をよ
く聞きます。
人には染みついた思考回路があります。その回路を変えることは容
易にはできません。見方を変えることはそれなりの訓練と努力が必
要です。さらに重要なことは、本人がその結果得られるであろう便
益を確信することです。

■□■ 内部監査を変えることは難しい ■□■
内部監査も同じで、20年間(例えば)同じやり方で行ってきたこと
を変えようとすることは容易にはできません。まず今のやり方を変
えたいという強い意志が必要です。今に満足していれば変えたいと
いう気持ちは出てきません。
・内部監査がマンネリ化してきている。
・有効な内部監査をさらに追求したい。
・内部監査で何らかの具体的成果を出したい。
・内部監査が組織のパフォーマンス向上に寄与するようにしたい。

ナラティブ内部監査を導入するには、このような内部監査を「変え
たい」という思いがまず必要です。私は研修の場において上記の例
のように内部監査を変えたいという声をよく聞いてきました。でも、
どうしたら変えていけるのかよく分からないという声が圧倒的でし
た。

ナラティブ内部監査は「どのようにして内部監査を変えるのか」に
ついての具体的方法を提示するものです。前述しましたように、頭
では理解できても実践するにはいろいろなチャレンジが必要です。
コップの水の例のように、半分もあるとポジティブに考えるアイディ
アは分っていても実践する方法はすぐには考えられません。どのよ
うに実践するのかという、次の段階になると、それなりの理論武装、
具体的方法を会得しなければならないと思います。

ナラティブ内部監査9 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.305 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** ナラティブ内部監査9 ***
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前回ナラティブ内部監査の監査基準としての事業マニュアルの事例
を示しました。事業マニュアルは、ISOの分野固有(品質、安全衛
生、環境、情報セキュリティなど)の要求事項を参考にしながら自
分たちの事業活動、すなわち事業プロセスにビルトイン(統合)し
た状態を書き表したものであり、組織はそれに沿って全員参加によ
り組織の各種パフォーマンスを上げることを目標にマネジメントシ
ステムを運用することが肝になります。
ナラティブ内部監査はこの組織固有のマネジメントシステムが事業
マニュアルどおりに運用されているかを確認し、改善することを内
部監査員、被監査者が共同で実施することを目的としています。

■□■ 事業マニュアルの下位標準書 ■□■
事業マニュアルは事業推進の方針書ですので、ナラティブ内部監査
の基準として活用するには打って付けな文書です。しかし、ナラテ
ィブ内部監査は業務改善を目的としますので、業務実施現場の標準
書が必要になります。現場の標準書にもメッシュの細かさがいろい
ろあります。ナラティブ内部監査の実践にはまず業務標準書(2次
文書)が必要です。必要に応じてさらに業務実施の手順を規定した
手順書レベル(3次文書)の文書も必要になります。
ここでいう、2次文書とか3次文書とかの表現は一般的な呼び方で
、2次と3次を分ける基準が明確にあるわけではありません。組織
によって業務を規定する細かさは組織が固有に決めてよいと思いま
す。

以下にナラティブ株式会社の2次文書一覧の例を示します。

1 企画室 組織標準
分課分掌標準
経営会議運営標準
市場クレーム処理標準
2 総務部 SDGs活動標準
文書管理標準
業務改善提案制度標準
環境保全委員会運営標準
廃棄物適正管理標準
環境影響評価標準
安全衛生委員会運営標準
安全衛生計画標準
無災害表彰制度標準
情報セキュリティ委員会運営標準
リスクアセスメント標準
情報セキュリティ管理運用標準
3 人事部 人事適性評価標準
人事考課標準
人事組織変更標準
教育訓練標準
4 経理部 経理会計標準
5 開発部 市場調査標準
6 営業部 契約管理標準
注文書管理標準
仕様検討・制定標準
サービス・パーツ管理標準
サービス標準
7 生産管理部 作業指示書制定標準
工程異常処理標準
4M変動管理標準
標準書制定標準
製品・部品保管標準
特殊工程管理標準
生産管理コンピュータ管理標準
製品・部品取扱標準
製品・部品梱包標準
検査規格制定標準
ロット管理標準
物品識別管理標準
8 購買部 購買要求書発行標準
外注契約書標準
取引先管理標準
取引先評価標準
購入物品特別採用処理標準
製品・部品コード管理標準
OEM客先支給品管理標準
外注品質監査標準
9 設計部 設計業務標準
製品企画標準
設計試作標準
設計審査標準
加工図面管理標準
量産試作標準
量産認定標準
設計通知管理標準
10 技術部 技術通知管理標準
機械設備仕様書標準
11 品質保証部 事業マニュアルアクセス標準
事業マニュアル改訂標準
事業マネジメントシステム体系標準
標準書制定標準
品質記録管理標準
設計計画標準
部品受入検査標準
工程内検査標準
製品出荷検査標準
品質関連文書管理標準
計測器類選定標準
検査規格制定標準
QC工程表標準
限度見本制定標準
内部監査標準
製品監査標準
計測器類管理標準
計測器類校正標準
開発計測器管理標準
製品特別採用処理標準
重要品質問題処理標準
QCサークル活動推進標準
試作評価標準
12 製造部 工程品質管理標準
機械設備日常点検標準

このように事業マニュアルの各項目についてどんな内容のことを、
どんな方法で実行するのかが書かれた「〇〇標準」を一覧として添
付します。事業マニュアルを作成するときに新たに「〇〇標準」を
作ることは原則ありません。現在使用している、あるいは保有して
いる標準を一覧にすることがポイントになります。ナラティブ株式
会社の例では2次文書の数は100種を超えますが、会社の規模によ
ってはもっと多くの標準書があると思います。