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BCMS | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.17  ■□■
   *** BCMS ***
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テクノファ代表取締役の平林です。
最近「BCMS」という言葉を耳にします。
今回も宜しくお願いいたします。

■□■ 「BCMS」とは ■□■

BCMSは“Business Continuity Management System”の略で、
日本では「事業継続マネジメントシステム」と呼ばれています。

その中核にあるのは、BCPです。“Business Continuity Plan”
の略で「事業継続計画」と呼んでいます。事業継続計画は、
何らかの不測の事故、災害などにより組織の工場、施設、情報網
などが打撃を受けても、事業を中断させないか、又は中断した
場合には早急に回復させるための計画です。

もちろん即刻100%の状態に復旧させることは困難です。被害の
程度によって、またどんな原因による事業停止なのかによって
打つ手は変わってきます。

事故、災害などから被害を受けた事業所の操業度(製品供給量
など)はその時点で急落し、被害が大きい場合には操業不能な
状況に陥ります。

事故、災害などの発生から時間がたつにつれて操業度は回復して
いきますが、回復時間が長くなればなるほど損失は大きくなって
いきます。

平穏な時に、事故、災害などを想定しておいて、起きたときの
手の打ち方をマネジメントシステムとして構築しておこうと
いうものです。

■□■ BCP規格 ■□■ 

ISO/TC223社会セキュリティ(Society Security)では、総ての
組織を対象に、自然災害、テロなどから組織を守るための危機
管理、事業継続に関する国際統一規格を検討しています。

WG1/TG1(Working Group1/Task Group1)においては、緊急事態
準備としてのBCPに関する規格を開発中です。

TC223では既に、ISO/PAS22399(社会セキュリ
ティ 緊急事態準備と業務継続マネジメントガイドライン)を
2007年11月に発行済みです。

BCPに含まれる項目としては次のものが上げられています。
1.リスクの想定
 リスクは組織ごと異なるため、自ら想定する。
 (例)鳥インフルエンザ;養鶏業者、自然災害(地震、台風)、
 新型インフルエンザ、人的災害(ミス、事故)、犯罪(テロ、
 愉快犯)ほか
2.影響分析
 ビジネスインパクト、人的安全、設備被害、ボトルネックの
 特定、信用・契約への影響
3.コア業務の選定
 組織/事業として、どの業務を優先して継続しなければなら
 ないか
4.事業継続のための計画の立案
 復旧目標時間の設定、指揮命令系統の整備、連絡体制の確立、
 情報インフラの整備、調達計画の策定など
5.実施可能な体制整備
 対策のマニュアル化、BCP担当者の育成
6.継続的改善
 内部監査などにより不備の発見、対策実施、改善歯止め

■□■ BCP国際規格の企業への影響 ■□■

組織(一般企業)へのBCP国際規格の影響については、経済産
業省産業技術環境局基準認証ユニットの勉強会で次のような
可能性があると指摘しています。

1.グローバルサプライチェーンの中でBCPの策定が商取引の
 条件になる可能性
2.BCPの策定状況を公表することで組織の価値に格差が生じる
 可能性
3.ステークホルダーからの策定要求が生じる可能性
4.本社機能、工場の代替を確保する、事業部の序列化などの
 制度導入を余儀なくされる可能性
5.既に策定済みのBCPを国際規格に整合させられる可能性

■□■ BCMS関連セミナーのご案内 ■□■

テクノファでは、BCMS審査員資格拡大研修コース(TT18)を開催
しています。そのコースはIRCA承認申請中で、コースの詳細は
下記をご覧下さい。
http://www.technofer.co.jp/training/isms/tt18.html
至近の開催日程には、2009年9月20日(日)~22日(火)、
2009年10月13日(火)~15日(木)があります。

■□■ BCPの成功事例 ■□■

BCPの策定をしていて効果を発揮した事例を紹介します。2007年
の中越沖地震の発生において、BCPの策定が効果を上げた例
です。2004年の地震を経験してBCPを作成した事がきっかけ
だったとのことです。

BCPは大企業を中心に整備が進められていますが、下記事例
に示すような中小企業においても取り組みを進められ成果を
上げています。

<金型加工メーカー 米谷製作所 (新潟県柏崎市)の例>
1.被害の概要
 棚の転倒などがあったが、事前対策の効果もあり、機械転倒な
 どの大きな被害はなし
2.事前の対策
 工場や大型機械の基礎強化
 ノウハウ継承を目的としたパソコンでの情報共有マニュアルを
 整備
 設備復旧などの情報の共有、防災勉強会の開催
3.災害時の対応
 発災当日は、物が散乱する中、避難路を確保し、全員の安全
 確認
 翌日には出社可能な職員による復旧作業
4.効果・評価など
 発災翌日の午後には、生産を再開し、出荷を開始
 新潟県や経済産業省も、BCP普及の弾みになるなどとして高く
 評価
 (出典:日本経済新聞 2007年7月19日)