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チュニジアの惨劇 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.96 ■□■
*** チュニジアの惨劇 ***
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■□■ 昨年の品質に関する講演 ■□■

皆さんすでにご存じのようにチェニスで日本人が
3人犠牲になりました。

昨年の11月に当地で品質に関する講演をしただけに、
あのきれいな自然豊かな環境の中であのような血を流すテロが
行われることに複雑な思いを抱いています。

テロの背景(イスラム国)にはいろいろあるのでしょうが、
今言えることは地球が狭くなり、誰でも被害者になる可能性が
あるということです。

飯塚先生のご紹介で昨年11月13日、
チェニスの今回の惨劇の場所となった国立博物館の近くのホテルで
「アカウンタビリティと品質」の講演をしました。

チュニジアでは、ISO9001の認証についてはあまり普及しておらず、
組織の製品・サービスの品質を保証することに関しての関心が
より強かったように思います。

アカウンタビリティは、社会的な正義に関してのトピックスであり、
製品、サービスの品質もそれに関係するという観点からの
Quality Dayの講演の一幕を担当させてもらいました。

■□■ How to preserve the rules ■□■

How to preserve the rules of quality and social accountability?
が昨年の私の講演のタイトルでした。

その趣旨は、組織の全員が決められたルールを守るには
どのようにしたら良いのか、というものです。

ISO9001もISO14001も今年の9月に改正版が出される予定で
規格作成が進んでいますが、
システムの本質には全員でルールを守るというものがあります。

チュニジアでは、マネジメントシステムというよりも
今生産している製品の品質を如何に顧客の期待に合致させるか、
が問われている、

そのためには全員が品質を作り込むという責任を守らなければならない、
という状況がひしひしと伝わってきました。

翻って、日本ではどうかといいますと、
システム認証が花盛りです(というほどでも今はないか?)が、
システムがあれば製品の質がよくなるかというと、
今までの実績が示すように必ずそうはなっていません。

ISO9001もISO14001も改正版は、附属書SLに基づいていますが、
附属書SLはシステムの前提である「全員がルールを守る」という
最も重要な基本について明示的な要求はしていません。

もちろん、「管理された状態で・・・」という表現が
ルールを守ることを示唆しています。

が、直接的な言い方をしていないので、
この重要な要件を忘れていると、
思わぬ事故を引き起こす基になることを忘れてはなりません。

以上