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是正処置について-原因究明 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.114 ■□■   
*** 是正処置について-原因究明 ***
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■□■ プロセスアプローチソフト ■□■

Vol.113でご案内したプロセスアプローチソフトに大変大きな反響をいただき、誠に
ありがとうございました。

フォーラム当日、行列に並んでお買い求めいただいた上に、ソフトを使いこなすため
の講習会の参加ご希望も相次いで頂き、大変嬉しい限りです。

講習会については、編集後記でご案内しておりますので、そちらをご覧ください。

■□■ 座ると痛い ■□■

さて、私は昨年10月にISO45001(労働安全衛生)国際会議のためジュネーブにある
ILO(国際労働機構)の立派な本部ビルに行ってきました。

そこでは、ISOとILOの両ナンバーツーが労働安全衛生マネジメントシステム規格の
成功を期待する旨を述べるとともに、互いの組織の協力を約束しました(その会議では
DIS原案を作成しました)。

ところで、その会議の成果報告はまた別の機会に改めてさせて頂き、今日は少し横
道にそれたお話をさせて頂きます。

労働安全衛生の会議だから言うのではありませんが、実は会議で座っていると足腰
にしびれを感じ、時間が経つと痛くて仕方ないという経験をしました。

■□■ 手術が必要? ■□■

帰国してからしばらくは痛いのを我慢して日常生活をこなしていましたが11月初旬の
ある日、とうとう徒歩で駅に行けなくなりました。通常10分歩いて電車に乗るのです
が、そのときは駅に行くのに40分もかかってしまったのです。

この時は、10m歩いては5分休み、また10m歩いて5分休むという状態でした。会社に
着いてから、これはまずいと思いすぐに近くの総合病院に行きました。

■□■ 整形外科医の診断 ■□■

整形外科ですぐにレントゲンを撮り、数分後には写真を前に医師の説明を受けまし
た。

写真を見ると、背骨の4番目の腰椎がちょっと「ずれている」のが分かります。先生
はそれが痛みの原因だといい、これは手術をしないと治りません、と言いました。

■□■ 原因は何か ■□■

「先生、腰椎が「ずれた」原因は何ですか?」私は聞きました。急に手術しなければ
治らない、といわれても直ぐには納得できません。

先生は「加齢です。年を取るとこうなるのです」と言いますが、私は同年齢の人は皆
手術をしないといけないことになるのか、と頭中は疑問で一杯になりました。

「先生、少し考えさせてください、その間はどうすればよいですか?」と聞くと、痛
み止め薬と湿布薬を使用するように言われ最初の診断は終わりました。

■□■ 整体治療院 ■□■

町には整体、整骨医の看板が溢れています。私もこのような状態になるまでは全く
気が付かなかったのですが、こんな状態になって初めて多くの看板に気が付きました

人間は自分の心の在り方で見えるものが異なるとよく言いますが、まさにその体験
をしました。町を歩いている時の目の付け所が全く変わったのです。

ある方から都内に在る整体治療院の紹介を受けました。

■□■ 原因は別にある ■□■

2,3日後さっそくその治療院へ行きました。下着一枚になりベットの上に横たわりま
す。先生は私の両足を交互に縦に、横に、斜めに4,5分動かし、こう言いました。

「これは治ります。骨盤の中にある仙腸関節が損傷しています。これが原因で腰椎
がずれています。」

■□■ 原因と結果の分析 ■□■

私は一筋の光明を見出しました。頭の中にあった疑問の霧が晴れるように雲散しま
した。4番目の腰椎がずれたのには何らかの原因があると思っていたからです。

では、なぜ骨盤の仙腸関節が損傷したのでしょうか。私はその疑問を先生に尋ねま
した。

「数年前に転んでお尻を打ったことがあるはずです?」

「・・・・」

「その時の衝撃が原因で徐々に関節がスムーズに機能しなくなったのです。」

「・・・・」

■□■  何が本当の原因か  ■□■

私は3,4年前までの出来事を思い出そうとしますが、はっきりとあの時とは思い出せ
ません。

ただ、毎朝ジョギングをする際に2,3回転んだことがあります。道には結構段差があ
り、ちょっとした段差にでも年を取るとつまずくのです。

不注意 → 転ぶ → 仙腸関節損傷 → 腰椎のずれ → しびれ
という原因と結果の連鎖が見えてきました。

■□■ 原因の連鎖 ■□■

何か起きた時には原因があります。しかし、原因は一つではありません。原因のま
た原因があるかもしれません。そのまた原因もあるかもしれません。

だからこそ、ISO規格の中には重要な要求事項として「是正処置」の項目があると共
に、私たちも研修の場ではとても重要視して様々な研修コースのカリキュラムの中
に取り入れています。

原因分析のやり方は一つではありません。
そして、誰もができるようになっておくべきものではありますが、やはり知識、経験
によって原因追求の力量差は出てしまいます。

是正処置の意義、効果を改めて考えて頂き、表面的な原因追求ではなく、完治につ
ながるようななぜなぜ分析を皆さんにして頂きたいと思っています。

■□■ 治療の状況 ■□■

根本原因に対策を取らないと物事は解決しません。今回腰椎の手術をしなくて良か
ったと思います。

お蔭様で、今は快方に向かっています。根本原因である仙腸関節に治療を加えてい
るからです。とは言え、診断では完治するのに3~6ヶ月かかるようです。

本年は、焦らずじっくり身体のケアを心掛けて行こうというのが私の新年の目標
です。
皆さまも健康第一で新春の目標計画をお作りください。

ISO45001労働安全衛生MSS | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.103 ■□■
*** ISO45001労働安全衛生MSS ***
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■□■ ダブリン会議 ■□■

6月28日~7月5日までアイルランドのダブリンでPC283の国際会議が開かれ参加してき
ました。

労働安全衛生マネジメントシステムは、国際的には長い間OHSAS18001というOHSASグ
ループが作成した規格に基づいて審査が行われてきました。OHSASグループとは、イ
ギリスのBSIが中心となって設立した労働安全衛生OHSAS18001規格を運用するために
設立した組織です。日本からは日本規格協会などが参加しています。


■□■ 日本国内は中災防などの規格がある ■□■

しかし、日本国内には中災防(中央労働災害防止協会)、建災防(建設業労働災害防
止協会)などが運用しているOHSAS18001とは異なる基準があります。

それはILO(国際労働機構)が定めた労働安全衛生マネジメントシステムガイドであ
り、中災防、建災防などはこれに整合した自分たちの基準を作成し、それに基づいて
審査を行ってきました。

ILOは、1919年に、ベルサイユ条約第13編(後のILO憲章)によって設立された国際機
関です。労働条件の改善を通じて、社会正義を基礎とした世界平和の確立に寄与する
ことを目的としています。ILOは、スイスのジュネーブに本部があり政府、労働者、
使用者の三者構成で運営されています。

ISO(国際標準化機構)も1926年に設立された国際機関でやはりスイスのジュネーブ
に本部があります。ただし、こちらは国連の一部ではありません。


■□■ なぜ、ダブルスタンダードなのか ■□■

その背景は、2000年ころに戻ります。当時、ISOはBSIが提案してきた労働安全衛生規
格を国際規格にするかについて、何回もNWIP(New Work Item Proposal)の審議、そ
れにつづく採択するかの投票を行いましたが、そのたびにILOが反対して国際規格制
定の実現が図られませんでした。

ILOが反対した理由は、労働安全衛生はILOの専管事項であり、それに関係する規格も
またILOが主導すべきものである、というものです。


■□■ ILOの方針転換 ■□■

2013年2月、ILOはISOとMOU(Memorandum of Understanding:行政機関等の組織間の合
意事項を記した文書であり、通常、法的拘束力を有さない;了解覚書といわれる)を
結びました。これは、労働安全衛生マネジメントシステム規格の新規作成に関するも
のでした。

両機関が協力して一つの国際規格―労働安全衛生マネジメントシステムに関する―を
作ろうというもので、従来のILOとISOの関係からすると画期的なものでした。


■□■ PC283の設立■□■

2013年10月、このMOUに基づきISOに新たにPC283が新設されました。PC(Project
Committee)というのはTC(Technical Committee)と異なり、一つの規格だけを扱う
規模の小さな技術専門委員会のことです。

初回の会議はイギリスで行われました。以来、モロッコ、ドバイ、トリニダートトバ
コ、そしてアイルランドと国際会議が開かれてきました。

現時点、ISO45001 はDIS(Draft International Standard)にいくことが承認された
状態にいます。ダブリンでもDISに向けての規格作成への基礎検討がされました。当
然のことですが、CD(Committee Draft:委員会原案)がベースとなって検討がされ
ましたが、次回9月の会議までに、各国は規格内容の検討をしていくことが要請され
た状況になっています。

次回は、規格の中から重要と思われる懸案事項をお話ししたいと思います。