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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.179 ■□■
*** 品質不祥事に思う ― 文書化3 ***
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ルールどおりに仕事をする前提として、手順書をはじめとする各種文書がきちんと
管理されていることが必要です。不祥事の背景には、文書の管理が悪く必要な時に
必要な文書が利用できないということもあると思います。
組織は文書管理の状態を定期的にチェックする必要があります。
定期的なチェックにはそれなりの資源がかかりますが、文書類には仕事の基本が
埋め込まれているのですから、それなりの工数をかける価値があります。
■□■ 組織が必要とする文書 ■□■
組織が文書管理についてチェックすべきポイントを上げてみると次のようなものに
なります。当然のことですが、組織にはそれなりの文書管理プロセスが明確に
なっているという前提があってのチェックポイントです。
1.文書管理プロセスの運用状態
2.文書管理プロセスに必要な資源及び情報
3.文書管理プロセスの監視、測定及び分析
4.監視、測定結果の評価
5.プロセスの改善
6.文書承認のポイント
7.管理文書のレビュー
8.レビュー及び改訂の手順
9.文書変更、改訂
10.文書変更の識別
11.旧版文書の利用可能性
12.要員の文書理解
13.文書識別の確実性
14.外部文書の識別
15.配布管理の確実性
16.文書の廃止処理
17.保管文書と廃止文書の区分
18.記録すべき文書の確認
19.要員の記録理解
20.記録の識別可能性
21.記録の検索容易性
22.記録の管理方法
■□■ チェックポイントの数 ■□■
文書管理ごときにどうしてこのように数の多いチェックポイントが必要になるのか、
不思議に思う方もいると思います。
これだけ重たいチェック項目を上げたのは次のような思惑があるからです。
文書の必要性、重要性は、今回のように品質不祥事が続く昨今だけでなく、いつの世にも
強く認識しておかなければならないことです。
とりわけルールを無視した仕事のやり方が、日常茶飯事に行われている現状に警鐘を鳴らす
ためには、繰返し文書管理の存在事由を組織内に徹底しなければならないと思います。
そのためには、ただ「文書通りに仕事をしましょう」と、年末の「火の用心の掛け声」
みたいに繰り返してみても効果はありません。
人は、他人から言われたり、聞かされたりするよりも自分で行動するほうが腑に落ちる、
あるいは納得することができます。
1~22のチェックポイントを出来るだけ多くに人に割り振って確認する機会を作ると
いいと思います。また、内部監査の特別確認事項に取り上げることもよいと思います。
では、ここから何号かに渡り上記1~22のチェックポイントについてご説明いたします。
■□■ 「1.文書管理プロセスの運用状態」 ■□■
文書は管理しなければならない、とISO9001:2015 箇条7.5でも要求しています。
「7.5.3.1 品質マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は,
次の事項を確実にするために,管理しなければならない。」
組織において管理するということになりますと、何ごとにおいても次のことを決めて
おかなければならないと思います。
(1)管理責任者
(2)管理の手段・方法、手順
(3)管理の判断基準
これら一連の活動はプロセスと呼んでよく、決められた内容は組織において文書として
規定することが必要です。
ここにおいてチェックすることは、組織の文書管理規定(規程、基準、手順など
組織によって名称は異なる)に決められていることを一つずつ確認することです。
更に重要なことは、この確認する作業は出来るだけ多くの人に分担してもらうことです。
2.~22.までのチェックポイントも含め、チェックする人を広く組織の全部署から
選んで任命するとよいでしょう。