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ISO9001QMS認証を巡って | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.58  ■□■

*** ISO9001QMS認証を巡って ***

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■□■ 国際的な評価レポート ■□■

 ISO9001QMS認証を巡っては、ここ2,3年国際的にいろいろな
評価がされています。
 例えば、2011年発表のノッチンガム大学の調査、2012年発表
の国連UNIDO調査などです。そこには品質マネジメントシステ
ムの形骸化、最終的な便益の不在などネガチブなデータ等が
示され、さらに今後の改善すべき方向が示唆されています。

 英国で認証制度が始まって約30年、認証数は昨年のISO事務
局の発表では、世界で約111万件となっています。
 数は100万件を超えましたが、企業総数の数%に留まっている
とされ、まだまだ伸びていく可能性を秘めています。

 日本においても、企業総数を430万社(中小企業庁データ)と
すると、現在の認証数は約5万社ですから、やはり1.2%の企業
しかQMS認証を取得していません。100社の内1社、これはや
はり少ないと言わざるを得ません。

■□■ どうしてもっと広がらないのか ■□■

 私は企業活動に不可欠なQMSがどうしてこの程度にしか広が
らないのか不思議で、「なぜか」をずーっと考えてきました。
「企業活動に不可欠なQMS」と言いましたが、もしかしたら、
QMSはべつに組織に不可欠ではないのかもしれない?、或いは
不可欠であると理解されていないのではないか?、また経営者に
その存在を知られていないのではないか?などいろいろな疑問が
湧いてきます。

 2年前「もしドラ」という本が200万部売れました。大ベストセラ
ーになった本ですが、岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネー
ジャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というのが正式
な題名です。経営の神様と称されるドラッカーの教えをシンプル
に噛み砕き、小説のあちこちのストーリーに挿入している本です。

 いまさらながらですが、ドラッカーの教えから先ほどの疑問のた
どり着いた結果は、ISO9001認証は「顧客に本当の価値」を与え
ていないという単純なことでした。
 「ISO9001認証は」ということであって、決して「ISO9001規格は」
ではないので取り違えないようにしてください。

 もちろん、認証取得している1.2%の企業は、自分たちが思う価値
を得られていると評価していると思います。組織は、何らかの便益
を期待し認証を取得したわけでしょうし、それが故にそのQMSを維
持しているわけです。

 しかし、それがいつまで続くのかは非常に心配です。1.2%を超え
る企業に拡大していくという私自身の期待はいまや萎んでいますが、
認証取得している1.2%の企業についても、今のままですと、いつまで
認証を維持していくのか心配です。

■□■ 顧客は誰、何を望んでいるのか ■□■

 企業には永々と築いてきた日常の活動があります。100人いれば、
100人の人の日常すべき仕事(活動)がありますし、決められていま
す。その事実を直視し、QMSを構築することが今なによりも重要だと
思います。

 2015年に向けての次期ISO9001規格もそのような観点から改正が
されるでしょう。既に公開されている附属書SL(MSS共通文書)その
観点から作成されています。

 附属書SLには、組織の抱えている内外の課題、利害関係者、利害
関係者の期待/要求事項などが求められていますが、これはまさし
く顧客とは誰、顧客の求めているものは何かに他ならない、ドラッカー
がその著作で述べていることと全く同じです。