————————————————————–
■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.50 ■□■
*** 個の時代 ***
————————————————————–
■□■ IT革命 ■□■
チュニジアの「ジャスミン革命」やエジプトをはじめとする「アラブの春」は、
ITの発展があって初めて起こったといわれています。
ITの発展は、それだけ個の集約をしやすくし、サイレントマジョリティを集約して
大きな声にする役割を果たしたといっていいでしょう。
■□■ ソ-シャルメディア ■□■
TwitterやFacebookがあったために、従来は弾圧されてそれで終わりになっていた
政府に対する抗議活動が組織化されましたが、そこに大きな社会的変化を感じます。
TwitterやFacebookが「原因」をつくったわけではありません。
20、30年以上続いた独裁政権に対する不満、直近に起きた焼身自殺事件への怒りが
原因だといわれています。
しかし、オンラインツールであるソ-シャルメディアがなかったらアラブ諸国の革命の
きっかけはなかったわけで、ここに個を組織化する未来への啓示が含まれていると咸じます。
■□■ Facebook ■□■
創業者のマーク・ザッカ―バーク氏は「月に1度以上Facebookを
訪問する会員数」は7.5億人を超えたと公表しました。(2011年7月)。
2012年2月1日には、新規株式公開を申請しました。株式時価総額は1000億ドル(約7兆6000億円)とも
見込まれ、日本企業ではトヨタ自動車に次ぐ2位のNTTドコモ並みの規模となるとのこと。
現在も毎月2000万人のペースで利用者が増加しているそうです。
何がそこまでソーシャルメディアを拡大させたのでしょうか?
① 金、物中心の退廃していく人々の心を穏やかにつなぐ
② 友人と常につながっている感覚
③ 趣味を同じくする人々との出会い
④ 過当競争、孤独感にさいなまされている人々のオアシス
⑤ 共感、信頼感の醸成
⑥ 物より心の豊かさ
などだといわれています。
■□■ 価値観の変化 ■□■
ソーシャルメディアの普及とともに、人々の行動、価値観が変化しだしたと思われます。
① 組織行動を監視する。
② 組織の不誠実な言動に直接的に反応する。
③ 大企業における硬直化した負の側面に気づく。
④ 消費者が本音をいう。
⑤ 感情、訴えに共感を示す。
⑥ 切り取りの世界から丸写しの世界に移行する
■□■ マーケティング概念の変化 ■□■
価値観の変化は、マーケットにおいても顕著に影響を及ぼします。
従来と同じマーケティング手法では、よい結果が得られないでしょう。
よい物を作れば売れる時代は「製品中心」のマーケティングでよく、
「どのように製品を売るのか・・・」を考えればよかったのですが・・・
今日のように、心豊かな社会へと変化したマーケットにおいては、
製品中心ではなく、「人中心」のマーケティングに変えなければならないのです。
このことは、消費者、生活者の目線で顧客対応をすることに繋がります。
販売の現場/店頭でのサービス、購入後のトラブルサポート、電話での接遇
などにおいては、とりわけこの消費者、生活者の目線が重要になります。
■□■ 組織にとってのポイント ■□■
このマーケテイングの仕方の変化は、組織の管理にも同じことがいえます。
① 自社製品が顧客に与える価値とは?
② 顧客への基本的姿勢とは?
③ 社会における信頼性とは?
④ 一般消費者の目線とは?
⑤ 社会への貢献とは?
組織はこのような問いかけをもう一度、今の状況下で
自分自身にする必要があります。
■□■ 組織が直面するパラダイムシフト ■□■
次の5つのパラダイムシフトは、このような時代においては
どんな組織でも直面している課題です。
① 方針管理、目標管理
なぜ、目標管理がうまくいかないか?
→ 経営層が組織を取り巻く経営環境から目標をつくるから
◆ 資源管理がポイントである
② 事業計画
なぜ、期初の計画が達成できないのか?
→ 不確実なことが多いから
◆ 複数シナリオがポイントである
③ 指示命令
なぜ、指示命令が末端まで浸透しないのか?
→ 指示命令に無理があるから
◆ 現実、事実がポイントである
④ コミュニケーション
なぜ、社内で意志疎通ができないのか?
→ 「思い」と「つながり」がないから
◆ エンジョイがポイントである
⑤ 利益
なぜ、利益が上がらないのか?
→ ほとんどの製品が赤字で一部の製品の黒字で何とかなっている
(赤字の海に利益の小島になっているから)
◆ プレシジョン・マーケットがポイントである