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モンゴルで植林・・・? | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.33 ■□■

    *** モンゴルで植林・・・? ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

先月9月20日に、経済産業省のある委託事業で
モンゴルへ行ってきました。

成田国際空港の57番搭乗口で、ミャット航空13:30発OM0502便に
搭乗するために同行の社員と待機中、「平林さん」と突然、
声をかけられました。

吃驚して振り返ると・・・・・・そこには?

■□■ モンゴルで植林ボランティア ■□■

声をかけてくれた人は、当社テクノファの講師「花田さん」でした。

「えー、どうしてここに、・・・モンゴルへ行くのですか?」
以下は、花田さんの一大奮闘記です。
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花田さんは、モンゴルに植林をしようと思い立ち、今年の始めから
たった一人で8,000本のポプラと楡の木を、ウランバートルから
南へ100Kmのハヤの町、デンデギルという丘に植え始めたそうです。

私は昨年12月にもモンゴルへは行ったのですが、そういえばウランバートル
空港から、市内までの間、樹木が1本も無いことを思い出しました。

丘陵地帯であるといえば疑問を感じませんが、実は、緑が急激に減少し、
自然が毎年失われて、砂漠化が進んでいたのです。

そのモンゴルに緑を増やし自然を復活させるためには、植林が極めて
有効なのです。

まず、植林した木が育つにしたがい、地中に根が張ることで砂漠化が
防止できます。

次に緑の葉っぱが増えるにしたがって昆虫が集まり、大きな樹木には
鳥達が集まって来ます。

鳥達が集まってくると、鳥の糞からいろいろな種が蒔かれることになり、
雑草から花までが芽を出すことになります。

このように植林は、緑の増加に加えて自然循環の復活に大きな
可能性を秘めており、植林は生物多様性の維持に極めて大きな
役割を果たしております。

□■ 植林の問題 ■□■ 

8,000本ものポプラと楡の木を植林した花田さんですが、
植林すればそれで終わりというわけにはいきませんでした。
モンゴルは家畜の放牧が盛んです。

放牧されている、ヤギや羊は若木の芽を好んで食べます。
芽ばかりでなく、幹の皮まで好んで食べるのです。
そこでどうしたらよいか、いろいろな人に相談をしたそうです。

花田さんは、退職する前は土木関係会社で、エンジニアリング関係の
仕事をしていたので、建設関係の知人も多くいろいろなアドバイスを
貰ったようです。

特に、花田さんのように個人でボランタリーをしている姿は評価されて、
いろいろな方面の方々からアドバイスを貰えたようです。

そこから得られた結論は、まず植林した木の周りに柵を張り巡らせ
家畜からの被害を守ること、そしてその後の灌漑の観点から井戸を
掘ることだったそうです。

今回、花田さんがモンゴルに来たのは、この柵の手配だそうです。
柵といっても木の柵ではなく、金網を考えているとのことでした。
ただ、材料を日本から輸送するとコストが高くつくため、
なんとかモンゴル国内で、金網を調達したいとのことでした。

「どのくらいの量が必要なのですか?」と聞きますと、
「植林した土地の周囲が約8Kmあるので、それをカバーする量の
買い付けをするために、これから内モンゴルへ行くのです・・・」

「車ですか?」と・・・「いいえ、電車ですよ・・・8時間ほど乗って
エレンという町まで行ってきます」ということでした。

□■ どうやって柵を作り、井戸を掘る ■□■ 

「なぜ、ポプラと楡の木を植林したのですか」と聞きますと
「ポプラは、ロシア原産で寒さに強いのですよ。
また、楡はアカシアに似てやはり北国の木なんです」との返答でした。

異国の地に植林するということは、いろいろと事前に調査を
しなければならないようです。

それにしても私にとって不思議なことは、一人でどうやって8000本もの
木を植林したかです。
また、これから「柵を8Kmも作る」、「井戸を掘る」といろいろな仕事が
次から次に起こってくるのですが、これらをどうやって実現させている
のでしょうか?

私の疑問を花田さんは、いとも簡単に答えてくれました。
「村長に頼むのですよ」と、
「村長と仲良くなって、彼が植林は村のためになると分かって
もらえれば、70~80人の村人を集めてくれるのですよ」

「えぇ~!」でも、どうやってやり方を教えるのか?
日当は払わないのか?
植林の後のケアーはどうするのか?など、私の疑問は
次から次へと浮かんできますが・・・・・。

そんなこんなで、30~40分話をしていたらもう搭乗の時間に
なってしまいました。

残念ながら、機内では席が離れていたために、私の疑問は
持越しとなってしまいましたが・・・・。

■□■ ? ■□■

空路一路、ウランバートルに到着しました。

到着ロビーには、花田さんを迎える2人のモンゴル人が
車で迎えに来ていました。

「これから市内の駅に行って、列車に乗ります。そして、
明日金網を貨車1台分買い付けて戻ってきますが・・・」

「市内まで、一緒に乗っていきますか?」と誘ってくれましたが、
私達にも政府関係の組織から迎えが来ていましたので、

お名残惜しい気持ちを伝え、帰国したら後日談を聞かせて
いただく約束をして、花田さんと別れました。

(平林)

チンギス・カンの国モンゴル | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.25  ■□■

  *** チンギス・カンの国モンゴル ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は「マネジメントシステムには良い設計が必要」から外れて
モンゴルについてお話をしたいと思います。

■□■ なぜモンゴルか ■□■

2009年12月21日から25日までモンゴル、ウランバートルに業務出張
しました。

経済産業省からの委託で「IT資格試験」についてのセミナー講師を
行ってきました。

いまやITを押さえれば国も、組織も、更に個人までもがコントロール
できる時代となってしまいました。

日本はIT技術者に関する独自の国家資格システムを過去30年間
運営してきていますが、そのシステムをアジア各国に無償で提
供しようというプロジェクトが進んでいます。

この日本主導によるIT技術者資格制度は、2006年、フィリピン、
タイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、日本の
7国で”ITPEC”という連合組織を立ち上げ推進が始まりました。

残念ながら、中国、インドといったIT大国は参加していませんが、
人材教育を含めた Capacity Building は途上国支援としては
有効な方法です。

■□■ 対日感情 ■□■

大相撲の人材がモンゴルから来ていることもあってか、対日感情は
すこぶる良いと感じました。もともと対日感情が良かったから、
日本へ人材が来ることになったのかもしれません。

日本大使館の話では、世界で人口対日本語学習者比率が一番
高い国がモンゴルだそうです。我々が接した若い人たちの多くが
初歩的な日本語を理解しました。

13世紀後半の鎌倉時代に日本にまで攻めてきた国というイメージと
対日感情の良さとが複雑に絡んだ思いで1週間を過ごしました。

■□■ 13世紀はチンギス・カンの時代  ■□■

国のあらゆるところにチンギス・カンの肖像が掲げられています。
空港、商店、街角。あるいはオフィスなど、何処に行っても目
につきます。

今回の「IT資格試験」セミナー実施機関の責任者執務室にも、
正面の壁に大きなチンギス・カンの肖像が飾られていました。

13世紀に100万人くらい(現在約300万人)の国であったチンギス・
カンは、それだけ傑出した人物であったといっていいのでしょう。

■□■ 皆をつなげる心の支柱 ■□■

かって日本がそうであったように、人々をつなげる理念、国づくりの
熱情、言わなくても理解できる共通のベースのある国がモンゴル
でした。

多分、チンギス・カンの教えを脈々と受けつぎ、雄大な自然の中で、
人と人との繋がりを大切にした国作りをしてきたのではないかと
想像します。

組織(人)を束ねるものがお金だけであるという社会はさびしい
ものです。お金は必要ですが、それほど多くはいらないものです。

若い国であるモンゴルへ行ってきてつくづくそう思いました。

■□■ 物づくりの国から金融博打の国へ ■□■

日本の国民総生産(GDP)はここ10年ほぼ一定で約500兆円です。

そのうち物の動きを示す貿易額は約160兆円ですが、為替の取引は
一日40兆円もあるのだそうです。なんと4日間の取引で1年分の
貿易額と同じです。

いいかえると年間の為替取引(250日*40=10000兆円)の2%以下で、
貿易額に必要な円はカバーできているのです。実需160兆円以外、
残りの98%の為替取引はお金のやり取りだけで稼ごうという、
ある意味博打といっていい取引なのです。

為替取引には課税すべきである(利益にではなく取引そのもの
に)という論も頷ける状況なのです。