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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.154 ■□■
*** ISO9004:2018の概要3 ***
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ISO9004:2018 の概要説明の3回目です。
今回は箇条8のプロセスマネジメントの後半です。
■□■ 箇条8.4プロセスの運営管理マネジメント ■□■
箇条8.4.1では、8.2.2で計画したとおりにプロセスを運営管理
することについて述べています。
効果的及び効率的にプロセスを運営管理するためには,計画した
プロセスとその相互関係を可視化することを推奨しています。
プロセス一覧表とかプロセスフロー図、あるいはマトリックス図
など組織になじみのある図表でよいですから、見える化を進める
ことが良いとしています。
特にプロセスのアウトプット基準の明確化は重要です。
そのためには、プロセスを一連の活動にまで分解して、その
実現能力を確認するとよいでしょう。
■□■ プロセスにおけるリスク及び機会 ■□■
プロセスが計画どおりにいかないことは、多くの要因の影響に
よって十分にありえると考えておかなければなりません。
プロセスは次のような要因によるリスクを抱えているでしょう。
1) 人的なもの(知識及び技能の不足,規則違反など)
2) 設備の劣化及び破損
3) 設計・開発のミス
4) 材料の不良
5) プロセス運用環境の変動
6) ニーズ及び期待の変化
■□■ 他のISO規格との関係 ■□■
プロセスを運営管理する際には,ISOの他のマネジメント
システムも参考にするとよいでしょう。
1) 製品及びサービスの品質(ISO 9001)
2) 労働安全衛生(ISO 45001),
3) 情報セキュリティ(ISO/IEC 27001)
4) 環境,エネルギー(ISO 14001, ISO 50001)
5) 社会的責任,反贈賄,コンプライアンス
(ISO 26000, ISO 37001, ISO 19600)
6) 事業継続,レジリエンス(ISO 22301,ISO 22316)
■□■8.4.3プロセスの改善及び改革 ■□■
プロセス(一連の活動)にはいろいろなやり方があります。
従来から実施してきたやり方を変更することは勇気のいることです。
しかし、新しい技術を開発又は獲得する中から、より付加価値を
付ける活動を推進しなければ持続的な成功には手が届きません。
極端なことを言えば、1年前と比較して何も変わらない職場が
あったならば、それは競争相手に負けることを待っているようなものです。
組織がより競争力を付けるために実施しなければならないことは年一度の
月刊行事であったり、講演会であったりではありません。
プロセスのやり方を変えることです。すなわち一連の活動を観察し、
他のより効果的で効率的なやり方を導入することです。
そのためには、組織は,人々が改善活動に積極的に参加するように
動機付けることが必要です。
一方で、組織は必要な是正処置又はその他の適切な処置を講じることも
必要になります。すなわち、計画された活動と実際の活動の間にギャップが
特定される場合などには,原因を究明し対策を取らなければなりません。
このような場合のプロセスの変更はネガティブな変更ですが、それでも
プロセスが改善されたと評価していいのです。
■□■ 8.4.4パフォーマンスのレベルを維持 ■□■
プロセスがいったん運用され、期待した成果を達成したとしても、その
パフォーマンスレベルを継続して維持することは、それなりに大変です。
パフォーマンスレベルの維持については、プロセスの以下の要素を監視、
測定することを推奨しています。
1.プロセスを運用する人の力量
2.手順におけるリスク
3.提供される資源
4.適切な階層の管理者のフォロー
5.学習,訓練,動機付け及び人的ミス
■□■ 8.4.5パフォーマンスは向上したか ■□■
プロセスマネジメントの目的は、最終的に組織のパンフォーマンスが
向上したかを確認し、もし向上していなかったら8.4.4に戻り、
どこに原因があるのかを探らなければなりません。
ISO9004では、箇条8.4.5で次のようにガイドしています。
「 組織は,定期的にそのプロセスを監視して,必要な場合には、
適切な処置を特定し,実施することが望ましい。」
ここでいう必要な場合とは、このまま実施していると期待するパフォーマンス
向上に結び付かないような状態(9004ではdeviation:逸脱)を言います。
逸脱は,人々,設備,方法,材料,測定及びプロセス運用環境などが当初から
変化したことから引き起こされます。したがって、組織が重要視しなくて
ならないのは,箇条8.4.4にあるいろいろな要素の監視です。
そうすることで、組織は効果的で効率的なチェックによりパフォーマンス指標に
よって表されるパフォーマンスの向上を期待することができます。