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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.174 ■□■
*** 品質不祥事に思うー標準化について3 ***
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品質不祥事は今に始まったことではありません。
最近では、確か2000年から2005年くらいに懸けて大手企業で頻発しました。
なぜその時の教訓が活きなかったのか、これは深刻に捉えなければならないと
思います。
それにしては、日本社会の捉え方は軽すぎると感じるのは私だけでしょうか。
品質保証の基本に標準化という概念があります。
今回はA銀行という仮想の組織を例にして、標準文書の削減に取り組む方法を
考えてみたいと思います。
■□■見直しされたものを標準として規定 ■□■
標準化された仕組みでしばらく業務を推進すると、改善したいことが出てきます。
見直しをどの位の期間を置いて実施すればよいかは組織によって異なりますが、
3,4年に一回は全面的な見直しをしたいものです。
まず、既存の標準文書をチェックしましょう。
そしてさまざまな帳票類の見直しにまで踏み込んで業務そのものを見直しするのが
大切です。
たとえばスタッフの仕事は、一般に定期業務と不定期業務とに分けることが
できますが、まずは定期業務の見直しからスタートするのが常套です。
職場の全員に、まず担当している仕事を分解してもらい、それぞれの単位業務に
ついて次の質問をしてみます。
a.その仕事はやめられないか。
やめたらどんな影響が出るか。
形式的にやっているだけではないか。
相手はそれをちゃんと利用しているか。
b.やり方を変更できないか。
もっと簡単にやることはできないか。
効率化する方法にはどんなものがあるか。
IT化することができないか。
c.重複していることはないか。
他部門でも同じ仕事をしていないか。
統一することはできないか。
■□■ 見規定文書の見直し ■□■
組織のなかには、定款、株主総会、取締役会規則、あるいは就業規則などを定めた
基本規定に始まって組織規定から部門規定まで、経営、労働組合、関連会社、
安全衛生、処遇(賃金、退職金)、福利厚生、開発、品質と組織活動のあらゆる面での
規定が存在します。まず、これらの諸規定の見直しから始めます。
そのためには基本規定は別として、組織規定、部門規定について既存の標準文書を
一覧表にまとめてみたらよいでしょう。
まとめ方はいろいろありますが、文書類をすべて一箇所(例えば、体育館のように
広い場所)に集めて関係者で再認識してみると、10年も前に制定されたまま
放っておかれたり、既に現実には不必要になったものが出てきて驚かれると思います。
■□■ 帳票の見直し ■□■
効果のあるのが帳票類の見直しです。帳票類が増加する理由には次のようなことが
考えられます。
a.部門ごと類似の帳票が存在する。
b.製品の機種ごとに別の帳票になっている。
c.プロセスごと、部品ごと別の帳票になっている。
では、どのような対策をとればよいのでしょうか。
いろいろ対策になることは考えられるのですが、次のようなことを基本に帳票類の
種類の削減をはかったらどうでしょうか。
a.部門ごとに類似の機能をもった共通帳票に統一する。
b.製品機種、プロセス、部品などに共通の帳票にする。
■□■ 事業再編に伴う見直し ■□■
標準文書の整理で忘れてならないことが事業の再編です。
事業の縮小に伴い不要となる標準文書は沢山あります。
事業を拡大する時に標準文書が増えることをポジティブとすると、ネガティブな
局面での規定類の整理について考えなければなりません。
事業の再編という大きな変化ではなく、商品ラインアップの変更という日常的な
変化においても規定類の整理は忘れられています。
組織の運営を20年位のスパンで見ると,商品ラインアップは随分変わっている
はずです。
過去の商品に関する標準文書をそのままにしておくと、文書体系はあってない
ようなものになってしまいます。