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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.35 ■□■
*** 品質マネジメントシステムの再設計その2 ***
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テクノファ代表取締役の平林です。
中小企業では、
社長の発案でQMSの構築、
ISO9001認証プロジェクトを始めるケースが多いようです。
しかし、社長によっては、自分で発案したにもかかわらず、
自身がQMSを使うユーザーでもあるという認識が薄いようです。
せっかくQMSという製品を買うと決めたわけですから、
その製品の機能をフルに発揮させて、
自分のニーズを満たすという発想になれば
よりよくQMSの成果を享受できるはずですが、
そうでない社長が世には多く存在すると感じます。
もっとも、社長自身がQMSの構築、ISO9001認証プロジェクトを
発案する場合は、まだ社長の推進力に期待することができると思います。
問題なのは、中規模以上の組織に多く見られる、
部下から具申されてはじめて重い腰を上げる社長のケースでしょう。
■□■ QMSのユーザーとしての社長 ■□■
社長にQMSのユーザーとなってもらい購入意欲を持っていただくには
工夫が必要です。
社長が会社を経営していて一番優先的に考えていることは
「利益を上げること」です。
したがって、利益を上げるというニーズを満たしてくれる製品には
強い購入意欲を持ちます。
会社組織の中には、まだまだ多くの無駄が潜んでいます。
組織はいろいろなリスクに晒されていますが、一番大きなリスクは
市場で発生するクレームでしょう。
会社利益増大に貢献する要素には、他にも次のようなものが考えられます。
・新製品の市場への投入
・市場シェアーの拡大
・目標の貫徹
・課題(再発防止など)の解決
・顧客満足の向上
・社会からの信頼性向上
・優秀な人材の確保
・教育訓練の効果的運用など
組織にはまだまだ利益を増大させるチャンスがたくさんあります。
これらを社長に「見えるようにする」ことが第1点です。
第2点は、
QMSが利益を増大させることに
有用な道具であることを理解してもらうことです。
ここでは、第1点目の
「利益を増大させるチャンスがたくさんあることを
見えるようにする」ことを述べたいと思います。
■□■ 利益増大チャンスの「見える化」 ■□■
いろいろな利益増大チャンスの中にQMSに一番近いものが
「品質コストの削減」です。
QMSは上述の「新製品の市場への投入」~「教育訓練の効果的運用」
利益増大チャンスにも有効ですが、品質管理に関係するQMSを
売り込もうとするならば、品質コストの削減が一番説得力あると思います。
一般に「品質コスト」と総称されていますが、
品質コストは大きく分けて維持コストとロスコストの2つに分けることができます。
さらに維持コストは
①検査コストと
②品質管理コストに分けることができます。また、ロスコストは
③工程内損失コストと
④市場クレームコストに分けることができます
■□■ ロスコストの削減 ■□■
ロスコストの削減とは「不良品の撲滅」です。
不良品と一口でいっても、
社内で発見される不良品から
社外で発見される不良品、
さらに分けると外注会社で発見される不良品、
社内中間工程で発見される不良品、
社内最終検査で発見される不良品、
流通過程で発見される不良品、
顧客先で発見される不良品など
いろいろな場所で不良品は発見されます。
まずは、品質コストの現状がどうなっているか調べましょう。
この調査は「金額」で表します。
見える化とは見る人の頭脳に入りやすい手法をいいますが、
ここでは金額をグラフなどにして表現するとよいでしょう。
「ロスコスト」の半減が
社長をQMSのユーザーにする「セールストーク」であったとしても、
第2点目である「果たしてQMSはロスコスト削減に効果がある」のでしょうか。
多くの人が多分あると答えるでしょうが、
QMSが「ロスコスト」の半減に効果がある、
もうすこし大きく捉えて経営目標とQMSとはどのような関係になっているかを、
組織の多くの人に理解していただく必要があります。
(次回へ続く)