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ISO9001はQMSの基本、それを徹底させる活動が必要 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.59  ■□■

*** ISO9001はQMSの基本、それを徹底させる活動が必要 ***

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■□■ QMSの徹底は日常管理から ■□■

 QMSを徹底させる活動の原点は日常管理にあると思います。
標準化しても実践されなければ何にもならないわけで、QMS
の一丁目一番地は「維持する」ことにあります。

 9001が要求している適合性は、当然のこととしてこの維持
を含めています。業務手順書の一つひとつをとってみても実
はこの維持することが一番むずかしいことである、と多くの
方がいいます。

 組織にはいろいろな人がいます。また、人は時々入れ替わ
ります。経営環境も変化します。時がたてばそのうちに顧客
へ提供している製品も変わります。

このように我々の組織は常に変化にさらされています。その
ような環境のもとにおいても「維持すること」はQMSの一丁目
一番地です。

 この維持することがQMSを徹底させることになるのです。

■□■ 日常管理+(プラス)の活動 ■□■ 

 当たり前のことですが、日常管理だけでは企業は存在でき
ません。

 QMSは構築されたものをいかに効果的に管理していくか、と
いう管理技術です。管理技術のなかには、将来を予測、推測し
ながらどのような組織になっていくべきかという計画を策定す
ることも重要な要素として存在します。

 今後の組織のあり方の調査、分析、策定、検証などはISO900
を超える活動になるでしょう。しかし、日常管理を徹底させな
がら、更にその先の活動を想定することは経営者にとっては避
けて通れない課題のはずです。

 ISOが経営者にとって魅力あるものと映るには、日常管理+
(プラス)の活動が行われるとよいでしょう。

■□■ 顧客価値 ■□■

 経営者にとっての最大の関心事は製品が売れる、売れないこ
とではないでしょうか。

 製品が売れるか売れないかに関しては、どんな経営者も必ず
強い関心を持ちます。

 「製品が売れる」ということは、買っていただけるお客様が
「その製品に何らかの価値を感じている」からです。この価値
を「顧客価値」といっていますが、本当の顧客価値を把握する
ことは案外難しいことです。

 組織側が考えている顧客価値が、お客様が感じている顧客価
値と「ずれている」というケースがけっこう多くあります。

ISO9001QMS認証を巡って | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.58  ■□■

*** ISO9001QMS認証を巡って ***

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■□■ 国際的な評価レポート ■□■

 ISO9001QMS認証を巡っては、ここ2,3年国際的にいろいろな
評価がされています。
 例えば、2011年発表のノッチンガム大学の調査、2012年発表
の国連UNIDO調査などです。そこには品質マネジメントシステ
ムの形骸化、最終的な便益の不在などネガチブなデータ等が
示され、さらに今後の改善すべき方向が示唆されています。

 英国で認証制度が始まって約30年、認証数は昨年のISO事務
局の発表では、世界で約111万件となっています。
 数は100万件を超えましたが、企業総数の数%に留まっている
とされ、まだまだ伸びていく可能性を秘めています。

 日本においても、企業総数を430万社(中小企業庁データ)と
すると、現在の認証数は約5万社ですから、やはり1.2%の企業
しかQMS認証を取得していません。100社の内1社、これはや
はり少ないと言わざるを得ません。

■□■ どうしてもっと広がらないのか ■□■

 私は企業活動に不可欠なQMSがどうしてこの程度にしか広が
らないのか不思議で、「なぜか」をずーっと考えてきました。
「企業活動に不可欠なQMS」と言いましたが、もしかしたら、
QMSはべつに組織に不可欠ではないのかもしれない?、或いは
不可欠であると理解されていないのではないか?、また経営者に
その存在を知られていないのではないか?などいろいろな疑問が
湧いてきます。

 2年前「もしドラ」という本が200万部売れました。大ベストセラ
ーになった本ですが、岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネー
ジャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というのが正式
な題名です。経営の神様と称されるドラッカーの教えをシンプル
に噛み砕き、小説のあちこちのストーリーに挿入している本です。

 いまさらながらですが、ドラッカーの教えから先ほどの疑問のた
どり着いた結果は、ISO9001認証は「顧客に本当の価値」を与え
ていないという単純なことでした。
 「ISO9001認証は」ということであって、決して「ISO9001規格は」
ではないので取り違えないようにしてください。

 もちろん、認証取得している1.2%の企業は、自分たちが思う価値
を得られていると評価していると思います。組織は、何らかの便益
を期待し認証を取得したわけでしょうし、それが故にそのQMSを維
持しているわけです。

 しかし、それがいつまで続くのかは非常に心配です。1.2%を超え
る企業に拡大していくという私自身の期待はいまや萎んでいますが、
認証取得している1.2%の企業についても、今のままですと、いつまで
認証を維持していくのか心配です。

■□■ 顧客は誰、何を望んでいるのか ■□■

 企業には永々と築いてきた日常の活動があります。100人いれば、
100人の人の日常すべき仕事(活動)がありますし、決められていま
す。その事実を直視し、QMSを構築することが今なによりも重要だと
思います。

 2015年に向けての次期ISO9001規格もそのような観点から改正が
されるでしょう。既に公開されている附属書SL(MSS共通文書)その
観点から作成されています。

 附属書SLには、組織の抱えている内外の課題、利害関係者、利害
関係者の期待/要求事項などが求められていますが、これはまさし
く顧客とは誰、顧客の求めているものは何かに他ならない、ドラッカー
がその著作で述べていることと全く同じです。

「リスクマネジメント」「危機管理」 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.43 ■□■

*** 「リスクマネジメント」「危機管理」 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

 震災後3ヶ月が過ぎようとしておりますが、夏が近づくにつれて電力不足、
放射能問題での生活への影響がじわりじわりと広がってきているように
感じている毎日です。

 また、まだまだ続く被災された皆様の復旧復興への道のりを少しでも
ご支援できたらと思っております。

 今回の東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の問題で、
今後の日本の経済活動を考える上で重大な事象が、我々の目の前に
提示されていると思います。

 正直に申し上げますと、今回の大震災の後、

『QMSまたはEMSがうまく活用していたので復旧がうまくいった』とか、
『被害が少なく抑えられた』という話は、あまり聞こえてきません。

 実際、皆さんQMSやEMSどころではないのでしょう。

 ISOマネジメントシステムに係る一人として、少々寂しい気持ちでは
ありますが、これが今の日本の「ISO業界の実情」ではないかと考えます。

 では、なぜこのようになってしまったのでしょうか。

 この議論は各所でなされているので、持論をお持ちの方も多いと
思いますが、私なりに以下の三つの側面から考察してみたいと思います。

●個別のマネジメントシステムとして捉えてしまっている
●経営に活用しようという視点が不十分
●「人」の視点

■□■ 個別のマネジメントシステムとしての対応 ■□■

 QMSならQMS、EMSならEMS。

 それぞれのマネジメントシステムは、規格要求事項が定められ、製品実現、
運用管理の部分のみならず、文書管理、内部監査、マネジメントレビューなど、
組織運営に必要な事項が網羅されています。

 よって、その要求事項に適合するシステムを作り上げ、それに基づく
運用を行っていけば、審査において基本的に困ることはなく、無事に
認証を得ることができます。

 それによって、QMSなり、EMSなりを単独運用している間は、まだ問題は
起きませんが、組織のシステム活用状況が進んでいく、取引先からの要求が
増える、などの状況変化により、複数のマネジメントシステムを運用して
いくようになると、弊害が現れてきます。

 例えば、文書体系一つとっても、QMS用、EMS用と似たようなものなのに、
複数の体系が出来上がることになってしまうのです。

 審査対応を考えると、この方が管理しやすいことは理解できるのですが、
現場の方々のことを考えると、これでは業務に支障をきたすリスクを
抱えることになってしまいます。

 あくまで、両マネジメントシステムに共通する部分は共通化して、両文書の
つながりを持たせておかないと、それぞれが一人歩きして、手間ばかりが
掛かり、さらには形式的な運用に陥ってしまいます。
  

■□■ 経営に活用しようという視点 ■□■

 QMSにしろEMSにしろ、取引先から認証取得を要請されたので取り組んだ、
という組織が多いことも事実であると思います。

 ですが、誰もが分かってはいることなのですが、今一度考えてみましょう。

 経営の主体はだれでしょうか。

 それはお客様ではなく、間違いなく、「組織」自身です。

 そうであれば、経営者にとって大事なことは、

    どのような経営がしたいのか?
    どのような会社にしたいのか?

 ということを明らかにした上で、日々の経営に当たるということです。

 
 ありたい経営・組織の姿を明確化することによって初めて、

    そのために何をすれば良いのか、
    どのようにすれば良いのか、

 という疑問にあたります。

 その視点で経営者のみならず、マネジメントシステムに関わる
全ての人が考えることが出来れば、

内部監査やマネジメントレビューの機会を活用して、経営者が
どのような将来像を描いているかを問いかけたり、あるいは引き出したり
する機会は、ISOの活用場面では色々なところにあるのです。

 繰り返しますが、

QMS・EMSの認証取得のために経営があるのではありません。

経営のために、QMS・EMSの認証取得という選択肢があるのです。

そのツボさえ外さなければ、
複数のマネジメントシステムをつなげるという意識でもって、
日頃の組織活動が生まれてくるのです。
   

■□■ 「人」の視点 ■□■

 最後のポイントです。

マネジメントシステムを活用するのは誰でしょうか。

愚問でしたね、

当然、組織の構成員、つまり「人」となります。

 どのマネジメントシステム規格の中でも、人(人的資源)に関する
要求事項は存在します。(← と言い切って大丈夫でしょうか???)

 しかし、これも要求事項という視点から見てしまうと、如何にその枠組みに
組織の構成員をはめ込むか、従わせるか、という視点に陥ってしまいます。

 それでは本末転倒、

あくまで、人ありきで、その人々が前向きに、成果を上げやすくしていくために、
マネジメントシステムを使わねばならないのです。

そこに必要な視点は、「人は時間を掛けてじっくり成長していく」という
ポイントです。

 一朝一夕に人は変わるものではありません。

じっくり、じんわりと種まきをしていくことでいつか花が開くのです。

成果が出るのを、焦ってはいけないのです。

そのために大事なことは主体性を引き出すということです。

さて、以上で3つの視点である、

●個別のマネジメントシステムとして捉えてしまっている
●経営に活用しようという視点が不十分
●「人」の視点

を一通り考察してみました。

■□■ マネジメントシステムをつなげる仕組み ■□■   

 長くなりましたが問題は、ここからです。

 これらのことが分かった上で、マネジメントシステムを
つなげる仕組みとして大事なことは何か、

 基本はPDCAを回す、ということですが、そのことに加えて、
私は、それが今回の大震災及びその後の問題から感じた、

    「リスクマネジメント」
    「危機管理」

の視点だと思っています。

リスクマネジメント → 危機が起きる前に対応する未然防止
危機管理      → 危機が起きた後に行う対処

と、扱う視点は同一ですが、その狙うところ、活用する時期が
全く異なります。

 組織の活動は、あくまで、継続してなされることを想定して
組み立てられていますし、お客様の期待もそこにあります。

 その根本的なところを抑えるのが、リスクマネジメントであり
危機管理であるわけです。

 それらがベースとしてあり、その上で更に両者の信頼関係を
構築する上で、QMSやEMSがあると考えることが重要なのです。

 そして、今回の大震災を機に、各所で聞かれる度合いが増した

            BCP(事業継続計画)

というものが、その活用ツールとして存在価値を増すと思っています。

 もちろん、事業継続マネジメントシステムの規格であるBS25999を
表面的に見てしまうと、そのような発想にはならないと思います。

 ですが、あくまで 『組織の経営』 という視点でこの規格をじっくり
見てみるとこの規格の中には、新たな気づきがたくさんあります。

 私自身、このBS25999規格については、改めてじっくり研究して
みたいと思っています。

 機会を改めて、またそのお話をさせて頂く予定にしております。

品質マネジメントシステムの再設計その4 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.38 ■□■

*** 品質マネジメントシステムの再設計その4 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

 今回も引き続き、

「品質マネジメントシステムの再設計」ということで発信させていただきます。

 ある中小企業で調査をさせていただきました。

現在のQMSに対してどのように感じているかということ、
どんな期待とニーズを持っているかということをです。

■□■ 社長の期待は利益を上げること ■□■

 社長に自社のQMSに対する期待とニーズは何ですか?

 一つだけ上げてください、と質問したところ帰ってきた答えは、

 ずばり「利益を上げること!」という極めて当然な回答でした。

 「利益を上げる」とは、

品質管理的に言えば「製品の顧客価値を上げる」ことになると思いますが、

 「製品の顧客価値を上げる」ことと「利益を上げる」こととは

比例関係にあると思います。

では、どうすれば「製品の顧客価値を上げる」ことができるのでしょうか?

 これまた当然の話ですが、次のような項目が羅列されました。

 ● 顧客の欲しいものを把握する。
  ● 組織を取り巻く事業環境の変化を把握する。
   ● 社会(行政、マスコミ、消費者、取引先他)の要求を把握する。
    ● 顧客の欲しい製品(サービスを含む)を開発し、市場に投入する。
     ● 顧客とのコミュニケーションをよくする。
      ● 顧客リレーションにおいてベストプラクティスな手順を採用する。
       ● 製品クレームを出さないようにする。

■□■ 部長の期待は計画どおりに仕事が進むこと ■□■ 

 さらに調査を進め、部長にQMSに対する期待を聞きました。

この会社の部長(管理者)の期待は、
「業務目標が計画どおりに達成されること」
であることが分かりました。

それでは、どうすれば部長の期待は達成されるのでしょうか?

   上げられたのは2つだけでした。

    ● 業務目標が適切である。
    ● 業務目標を計画どおりに実施する。

 しかし、この2番目の項目は更に下位項目に展開されました。

   - 責任権限を明確にする。
   - 社内コミュニケーションをよくする。
   - 手順を決める。
   - 全員の力を終結する。
   - 品質クレームを出さない。
   - 効率的で効果的なプロセス管理をする。
   - ミス、不具合をなくす。

■□■ 担当者の期待は楽になること ■□■

 さらに調査を進め、
       「担当者(一般従業員)のQMSに対する期待」を聞きました。

 一般従業員の期待は、
       「効率よく(楽に)仕事ができること」でした。

 それでは、
   「どうすればその期待は達成されるのか」については、たくさん上げられました。

   ● 手順書が必要な業務を明確にする。
   ● 手順書を確認する。
   ● 手順書を見える化する。
   ● 業務に必要な力量、設備、測定、管理項目を決める。
   ● 教育訓練をする。

   ● 標準化を推進する。
   ● 手順の遵守を徹底する。
   ● 根本原因を調査する。
   ● 是正・予防処置をとる。
   ● プロセスのインプット、アウトプットを決める。

   ● プロセスの繋がりをチェックする。
   ● プロセスのアウトプットが後のプロセスで使われているか調査する。
   ● 社内情報伝達の仕掛けを明確にする。
   ● 社内メール/ホームページを有効に利用する。
   ● 指示命令系統を常に明らかにしておく。

■□■ どれも当然な期待 ■□■

 QMSに取り込まれている全員の期待を確認すればいいのですが、

 代表して社長、部長、担当者など3階層の

 《QMSに対する期待》を確認し、整理してみました。

 どれもみても当然の期待であり、要求でありますが、

 これを実現するのは「期待している貴方である」というメッセージが

 実はこの調査で一番重要なことです。 

 QMSは組織に属する全員の努力によって維持がされ、

 日々改善がされていくという極めて当たり前のことを

 「QMSへの期待は何ですか」という質問によって、
 
 自覚してもらいたいわけです。

 ただ、ここで「極めて当たり前のこと」と言えるには、

 一つだけ重要な前提条件が存在します。

 それは組織のQMSが
     「期待に応えることができる構造になっている」ということです。

■□■ 期待とニーズを設計する ■□■

 QMS再設計で重要なことは、この期待が結果として得られるように構造にすることです。

 繰り返しになりましが、ISO9001:2008序文には次の一節があります。

 品質マネジメントシステムの採用は,組織の戦略上の決定によることが望ましい。 

 組織における品質マネジメントシステムの設計(及び実施)は

 次の事項によって影響を受ける。

   a) 組織環境、組織環境の変化、及び組織環境に関連するリスク
   b) 多様なニーズ
   c) 固有の目標
   d) 提供する製品
   e) 用いるプロセス
   f) 規模及び組織構造

 皆さんの組織のQMSは a)~f) を考慮して設計されているでしょうか?

 もし答えがNOだったら、QMSは再見直し(再設計)されるべきでしょう。

品質マネジメントシステムの再設計その2 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.35 ■□■

*** 品質マネジメントシステムの再設計その2 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

中小企業では、
  社長の発案でQMSの構築、
   ISO9001認証プロジェクトを始めるケースが多いようです。

しかし、社長によっては、自分で発案したにもかかわらず、
 自身がQMSを使うユーザーでもあるという認識が薄いようです。

せっかくQMSという製品を買うと決めたわけですから、
 その製品の機能をフルに発揮させて、
  自分のニーズを満たすという発想になれば
   よりよくQMSの成果を享受できるはずですが、
    そうでない社長が世には多く存在すると感じます。

もっとも、社長自身がQMSの構築、ISO9001認証プロジェクトを
 発案する場合は、まだ社長の推進力に期待することができると思います。

問題なのは、中規模以上の組織に多く見られる、
 部下から具申されてはじめて重い腰を上げる社長のケースでしょう。

■□■ QMSのユーザーとしての社長 ■□■

社長にQMSのユーザーとなってもらい購入意欲を持っていただくには
工夫が必要です。

社長が会社を経営していて一番優先的に考えていることは
「利益を上げること」です。

したがって、利益を上げるというニーズを満たしてくれる製品には
強い購入意欲を持ちます。

会社組織の中には、まだまだ多くの無駄が潜んでいます。

組織はいろいろなリスクに晒されていますが、一番大きなリスクは
市場で発生するクレームでしょう。

会社利益増大に貢献する要素には、他にも次のようなものが考えられます。
     ・新製品の市場への投入
      ・市場シェアーの拡大
       ・目標の貫徹
        ・課題(再発防止など)の解決
         ・顧客満足の向上
          ・社会からの信頼性向上
           ・優秀な人材の確保
            ・教育訓練の効果的運用など

組織にはまだまだ利益を増大させるチャンスがたくさんあります。
  これらを社長に「見えるようにする」ことが第1点です。

第2点は、
  QMSが利益を増大させることに
    有用な道具であることを理解してもらうことです。

ここでは、第1点目の
  「利益を増大させるチャンスがたくさんあることを
    見えるようにする」ことを述べたいと思います。

■□■ 利益増大チャンスの「見える化」 ■□■ 

いろいろな利益増大チャンスの中にQMSに一番近いものが
  「品質コストの削減」です。

QMSは上述の「新製品の市場への投入」~「教育訓練の効果的運用」
  利益増大チャンスにも有効ですが、品質管理に関係するQMSを
    売り込もうとするならば、品質コストの削減が一番説得力あると思います。

一般に「品質コスト」と総称されていますが、
  品質コストは大きく分けて維持コストとロスコストの2つに分けることができます。

  さらに維持コストは
      ①検査コストと
       ②品質管理コストに分けることができます。また、ロスコストは
        ③工程内損失コストと
         ④市場クレームコストに分けることができます

■□■ ロスコストの削減 ■□■

ロスコストの削減とは「不良品の撲滅」です。

不良品と一口でいっても、
 社内で発見される不良品から
  社外で発見される不良品、
   さらに分けると外注会社で発見される不良品、
    社内中間工程で発見される不良品、
     社内最終検査で発見される不良品、
      流通過程で発見される不良品、
       顧客先で発見される不良品など

  いろいろな場所で不良品は発見されます。

まずは、品質コストの現状がどうなっているか調べましょう。
  この調査は「金額」で表します。

見える化とは見る人の頭脳に入りやすい手法をいいますが、
  ここでは金額をグラフなどにして表現するとよいでしょう。

「ロスコスト」の半減が
  社長をQMSのユーザーにする「セールストーク」であったとしても、
  第2点目である「果たしてQMSはロスコスト削減に効果がある」のでしょうか。

多くの人が多分あると答えるでしょうが、
 QMSが「ロスコスト」の半減に効果がある、
  もうすこし大きく捉えて経営目標とQMSとはどのような関係になっているかを、
   組織の多くの人に理解していただく必要があります。 
                                      
   (次回へ続く)