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ISO 9004:2018の概要5 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.156 ■□■
*** ISO9004:2018の概要5 ***
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ISO9004:2018 の概要についての説明の5回目です。
ISO9004は2018年4月に改定版が発行されました。今回は箇条9の
リソースマネジメント(2回目)についてご説明いたします。

■□■ 9.2.4 人々の力量 ■□■

人々の力量を論じる場合、まず組織にはどのような人の力量が
必要なのかを検討しなければなりません。

その検討のプロセスは,次のようなステップに従うことが望ましいと
しています。

1.組織の個性(identity : 使命,ビジョン,価値基準及び文化)、
 戦略,方針及び目標に従って,組織が必要とする人の力量を明確にし,
 分析する。

2.組織が必要とする人の力量と現在の力量(組織外も含めて)の
 ギャップを明確にする。
 また、現在の力量と今後必要となり得る力量のギャップも明確にする。

3.ギャップとして明確になった力量を得るための処置を実施する。

4.得られた力量を維持する。

5.必要な力量が得られていることを確認し、講じた処置の有効性を
 レビューし,評価する。

■□■ 9.3 組織の知識 ■□■

組織の知識とは組織に固有なもので、知的財産,経験から得た知識,
失敗から学んだ教訓及び成功プロジェクト,文書化していないノウハウ、
などをいいます。これらは積極的に獲得すると同時に、保有したものを
散逸しないように管理し、活用することが重要です。

組織は次の事を行うことがよいとしています。

1.知識を知的財産として持続的成功に不可欠な要素として運用管理する。

2.組織の中長期戦略の裏付けとして活用する。

3.組織の知識の特定,保護、維持、検索の方法を確立する。

■□■ 9.4 技術 ■□■

技術が組織にとって固有なものであり、最も重要な要素の一つで
あることは論を待たないことでしょう。
技術は固有であるがゆえに、周囲との比較において何時の間にか
陳腐化して競争力を持たなくなる危険性があります。

トップマネジメントは,マーケティング,競争優位,顧客価値などの
観点から組織のパフォーマンスに貢献する技術開発を検討しなければ
なりません。

次の事項により技術開発及び革新をすすめることが望ましいとしています。

1.組織内外の技術レベル及び動向調査

2.技術開発に必要な財務資源の用意

3.技術変化に適用する組織の能力

4.リスク及び機会の検討

5.市場環境のモニタリング

■□■ 9.5 インフラストラクチャ ■□■

組織はインフラストラクチャの状況を常に監視し、最適な状態に
しておく必要があります。
組織は,定期的にパフォーマンスの達成にインフラストラクチャが
貢献できているかを評価することが望ましいとしています。

インフラストラクチャの運用管理には次の事の検討、実施が推奨
されています。

1.ディペンダビリティ(アベイラビリティ、信頼性、保全性及び
 保全支援の考慮を含む)

2.製品及びサービスの提供に必要なインフラストラクチャの 確保

3.必要とされる効率,能力及び投資

■□■ 9.5 作業環境 ■□■

作業環境は,組織内の人並びに組織を訪問する人々(顧客,供給者,パートナ)に
快適性を与え、それによって生産性、創造性が高まる要素です。

作業環境には次のものを含みますが、適切に機能しているか確認することが
望ましいとしています。

1.温度,湿度,換気,照明、騒音、衛生,清浄などの物理的特性

2.作業場及び機器

3.心理的側面

4.学習,知識の移転及びチームワーク

5.創造的な作業方法及び機会

6.安全衛生に関わる規則及び保護具の使用

7.職場の場所

8.組織内の人々のための施設

9.資源の最適化

組織は、作業環境が法的要求事項などを順守し,適用される基準
(環境及び労働安全衛生など)に適切に対応できていることを検証することが
必要であるとしています。

ISO 9004:2018の概要4 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.155 ■□■    
*** ISO 9004:2018の概要4 ***
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ISO 9004:2018 の概要説明の4回目です。
ISO 9004は2018年4月に発行されました。
このシリーズでは、ISO 9004:2018の概要を解説させていただいております。

今回は箇条9のリソースマネジメントです。

■□■ 箇条9 リソースマネジメント ■□■

組織が活動するには、当たり前ですが資源が必要です。この箇条では,持続的成功のために資源をマネジメントすることについてガイドしています。

箇条8プロセスマネジメントの中にもプロセスに必要な要素として資源が上げられていましたが、箇条9ではその資源に焦点を当てたガイドを提供しています。

組織の資源には次のものがあるとしています。

1.財務資源

2.人々

3.組織の知識

4.技術

5.機器,施設,エネルギー及び付帯設備などのインフラストラクチャ

6.組織のプロセスにおける環境

7.製品及びサービスの提供に必要な材料

8.情報

9.子会社,パートナーシップ及び協力関係など外部から提供された資源

10.天然資源

■□■ 資源のマネジメント ■□■

組織が運用管理すべき資源について個別にその要点を述べています。

まず1.財務資源です。これには組織設立時の資本金、その後の運営資金などがありますが、9004には格別のガイドはありません。

箇条9.2には、2.の人々についてガイドがされています。

組織にいる人々は、力量があり自分から積極的に仕事をする人であることが望ましいのですが、現実をそのような状況にするためのいくつかの作戦を推奨しています。

■□■ 9.2.2人々の積極的な参画 ■□■

人々が動機づけされ、積極的に参加するようになることが人的資源管理の目的です。

そのためには、組織全ての階層にて計画的で,透明で,倫理的な社会的責任を果たす行動を前提とした人的管理の実行が望ましいとしています。

人々は自分からやる気になった時に本当の力を発揮煤ことができます。

1.人々の仕事の目的、目標を明確にする。

2.必要な知識を共有する。

3.力量を活用する。

4.能力開発を促す技能認定、キャリアプラン制度を導入する。

5.満足度合い,ニーズ及び期待の継続的なレビューを実施する。

6.個別指導(mentoring)及びコーチングをする。

7.チーム改善活動を促進する。

■□■ 9.2.3人々への権限付与 ■□■

人を奮い立たせるためには権限の付与が必要です。組織全体にわたって,権限の付与を検討し、どこまでを個人に委ねるかを検討します。

人々が顧客に価値を提供するために、自らの作業に関連した決定を自ら行うことができ、必要な情報,他部門への要請、必要資材の購入などの権限及び自由度を付与されることは素晴らしいことです。

当然ですが権限付与には責任が付きまといます。人々は、権限付与と責任発生とが対になっている構造をよく理解することで、仕事への動機付けが強化されます。

1.明確な目標を定め,権限及び責任を委任し,人々が自らの作業及び意思決定を管理する作業環境を生み出す。

2.人々の業績についての実績を客観的に公平に評価するシステムを導入する。

3.人々がその主導権により行動するようになるためのインセンティブを提供するとともに,優れたパフォーマンスを表彰する制度を導入する。