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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.142 ■□■
*** 製品及びサービス ***
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■□■ 製品、サービスの定義 ■□■
消費者が受け取る商品のほとんどは、製品(product)とサービス(service)
の組み合わせです。
例えば、家電、自動車などの商品は工業製品ですから、サービスは含まれて
いないと思いがちですが、消費者が商品をカタログから選択し、購入する
までの過程を考えると商品には必ずサービスが付随しています。
■□■ 製造業、サービス業、製品、サービス ■□■
世の中では、製造業、サービス業という言葉と、製品、サービスという
言葉をあまり区別して使用していません。しかし、サービス業とサービスは
違います。
サービス業にも製品はあります。逆に製造業にもサービスはあります。
■□■ 製品、サービスの定義 ■□■
ISO9000:2015では製品とサービスの定義が新たに規定されました。
・製品(product)の定義(ISO9000:2015箇条3.7.6)
「組織と顧客との間の処理・行為なしに生み出され得る,組織のアウト
プット」
・サービス(service)の定義(ISO9000:2015箇条3.7.7)
「組織と顧客との間で必ず実行される,少なくとも一つの活動を伴う
組織のアウトプット」
■□■ 製品、サービスの定義の説明 ■□■
製品、サービスの定義をみると、文章の頭と終わりは同じです。違うのは、
真ん中の部分です。製品は「・・・の処理・行為なしに生み出され得る・・・」
であり、サービスは「・・・で必ず実行される,少なくとも一つの活動を
伴う・・・」と表現されています。
製品の「・・・の処理・行為なしに生み出され得る・・・」の意味は、
契約交渉などは除き、製品実現の場面になると組織は自身の責任のもと
顧客との間の処置・行為は全くなく生産を進めることになる、という意味です。
このような背景から、製品は在庫が取れるし、出荷検査もできます。
■□■ サービスは在庫が取れない ■□■
当たり前でしょうが、サービスは在庫が取れません。
もちろん出荷検査もできません。
このことを、サービスの定義では、「組織と顧客との間で必ず実行される・・・」
と表現しています。
サービスで不適合が出たらどうするのでしょうか?製品みたいに事前に検査して、
不適合のものだけ不良箱に分離して、可能なものは修正して適合品質にすると
いうわけにはいきません。
サービスは実現プロセスを実行すると、即時に顧客に納入することになります。
したがって、不適合が出たら謝る、それでもだめなら損害に見合った賠償を
するしかありません。
■□■ こうした特性のサービスの品質管理は? ■□■
在庫が取れない、出荷検査もできないという特性を持つサービスの品質管理は
どのようにすべきでしょうか。組織はこの点にフォーカスしてサービスの設計を
しなければなりません【箇条8.3 製品及びサービスの設計・開発 参照】
■□■ 両者に使用されているアウトプットの定義 ■□■
製品、サービスの定義には両方ともに「アウトプット」という用語が使用されています。
そのアウトプットの定義は次の通りですが、注記には製品とサービスについての解説が
あります。
・アウトプットの定義(ISO9000:2015箇条3.7.5)
「プロセス(3.4.1)の結果」
【注記】
組織(3.2.1)のアウトプットが製品(3.7.6)又はサービス(3.7.7)のいずれで
あるかは,アウトプットがもっている特性(3.10.1)のうちのどれが優位かと
いうことに左右される。
【例】 画廊で売出し中の絵画は製品であるのに対して,委託された絵画を提供する
ことはサービスである。小売店で購入したハンバーガーは製品であるのに対して,
レストランでハンバーガーの注文を受け,提供することはサービスの一部である。