■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.105 ■□■ *** 日本だけがおかしい? *** ----------------------------------------------------- ■□■ IIOCの事務局長 ■□■ 先月、IIOCの事務局長Mr. Marcus Long 氏が来日した折りに、1時間ほど 情報交換をさせていただきました。 IIOCとはIQネットと並んで国際的に活動している世界的な認証機関の連合 体のことで、"Independent International Organization for Certification" が 正式名です。 http://www.iioc.org/ Long氏の来日の目的は、世界の先進国において日本が他国と異なった動 きをしているのでその実態について情報交換をしに来たというものでした。 ■□■ 他の先進国と違った動きとは何か? ■□■ Longさんの話では、一つは、過去10年の認証数の動きをみると、他の先進 国と比較して日本が特に下降線をたどっている。 二つ目は、これも先進国と比較して認証価格の下落が著しい。 三つ目は、他国と比較して政府機関で使用されていない、というものでした 。 いずれもきちんとした調査が必要であると思いますが、IIOCにはインターナ ショナルに活動している認証機関、例えばBSI、ロイド(LRQA)、DNV、SGS 、TuVなどがメンバーになっていますので、ほぼこの情報に大きな齟齬は 無いのではないかと思います。 ■□■ ISO9001の認証数の過去推移 ■□■ 一番目の認証数については、自分でISO9001について調べてみました。 日本: 2006年 80,518件 → 2013年 58,836件 イギリス: 2007年 35,517件 → 2013年 44,585件 ドイツ: 2007年 45,195件 → 2013年 56,303件 フランス: 2006年 21,349件 → 2013年 29,598件 イタリア: 2007年 105,799件 → 2013年 160,966件 スペイン: 2005年 47,445件 → 2012年 59,418件 アメリカ 2010年 25,101件 → 2013年 34,869件 私の調べた数字は、基準年が異なるので正確さには欠けますが、認証の 絶対数への評価は別として、過去5~10年の推移をみますと、明らかに日 本の認証数は他の先進国と比較して異なる動きをしています。 第二、三の視点についても引き続き調べたいと思いますが、第一の視点 から私が引き出した仮説は次のようなものです。 ■□■ 平林の仮説 ■□■ 私の最初の仮説は次のものです。 「日本国内において、ISO9001の認証書の価値は経営者に認められていな い。」 この仮説については、私はいろいろな事象からほぼ正しいのではないかと 信じています。 ■□■ 二つ目の仮説 ■□■ 二つ目に次の仮説もあります。ISOがシステムという概念を持ち出したのは 約30年前でした。 「当時、日本においては既に品質保証に関するシステムは存在していたか ら何もISO規格を使う必要はなかった。貿易上欧米からの圧力に付き合っ てきただけである。」 自分で仮説を立てながら、この仮説には違和感を覚えます。 たとえ当時はそうであっても時代は30年経っています。今日の日本の企業 に本当の意味での「システム」は存在しているのでしょうか。ここでいうシス テムとは、品質という側面から永遠に企業が成功を収める組織の能力の 実証を意味します。 有能な人がいなくなっても、ベンダーが変わっても、機械設備が劣化して も、常に顧客に満足を提供する能力を実証できると胸を張って言えるでし ょうか。 第2、3の視点に関する問題は、私たちの業界にとって長年の課題になって います。 また機会を改めて論じたいと思います。 ■□■ 超ISO企業研究会 ■□■ 本当の意味でのシステムを構築するという目的で研究活動を行ってきてい る団体として、私自身が副会長を務めている超ISO企業研究会(会長は飯 塚悦功東京大学名誉教授)があります。 超ISO企業研究会では、企業が永遠に成功を収める品質マネジメントシス テムについての研究を行っています。 超ISO企業研究会では、民間企業各社様に過去1年~3年にわたって共同 研究を行って参りました。 今般その成果報告会を5社様にお願いしてご発表頂きます。 9/14(月)午後1時から午後3時30分、場所は東海大学高輪キャンパス、ご 参加は無料です。 ご興味を持たれた方は下記サイトからお申し込みください。 https://www.tqm9000.com/?p=314&preview=true